こんにちは、(株)日立製作所 研究開発グループ サービスコンピューティング研究部の木下です。
私達の研究部ではサービスコンピューティングという研究分野を対象とした技術を研究開発しています。本投稿ではサービスコンピューティングとは何か、私達がどう捉えているか、についてご紹介します。
サービスコンピューティングとは
Google等でサービスコンピューティングを検索すると以下の文献がヒットすると思います。サービスコンピューティングとは、様々なITサービスを用いてビジネスとしてのサービスを実現するための技術や方法論を検討する研究分野と定義されています。英語ではServices Computingです(Serviceが複数形です)。この定義を聞いてSOA(Service-Oriented Architecture)やSoS(System of Systems)を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。実際サービスコンピューティングはSOA等が盛んに議論された頃に始まった研究分野のようです。サービスコンピューティングでは、これらSOAやSoSといったアーキテクチャを踏まえ、様々なITサービスをAPIを介して疎結合で連携させて新しいサービスを実現することを想定しています。詳細な定義は以下の参考文献を参照してください。
- Wikipedia - Services Computing
- IBM Research - Services Computing
- IEEE - Services Computing
- 電子情報通信学会 - サービスコンピューティング研究会
世の中の変化
このようなサービスコンピューティングの考え方は、Webサービスが普及し、様々なWebサービスを活用する今となっては当たり前になりました。しかし、基盤となる技術や方法論は日々変遷あるいは進化しています。そのため、サービスコンピューティングにおける研究内容も変わってきているように思います。
例えばサービスの創生においては、単独一社での創生から、協創やオープンイノベーションに変わってきました。サービスのアーキテクチャにおいてはマイクロサービスやサーバーレスが、サービスの開発においてはDevOpsが普及しています。サービスの開発においてはまた、データと機械学習を用いることが欠かせなくなっており、サービスを継続的に改善する上でDataOpsやMLOpsを開発・改善プロセスに取り込むことが必要となっています。サービスの運用管理においても、データと機械学習を用いるAIOpsが進展してきました。サービス間連携においては、これまでのAPIを介したAPIエコノミーだけでなく、価値を流通させるトークンエコノミーが進展しています。
私達の取り組み
私達は、これら日々進化する基盤技術や方法論を踏まえ、様々なWebサービスを活用して新しいサービスを効率的に実現することをサービスコンピューティングの目的と捉え、改めて研究として取り組んでいます。研究のスコープは、サービスの創生からアーキテクチャ、開発、運用管理、サービス間連携といったサービスのライフサイクル全体です。
研究部の取り組みとして電子情報通信学会のサービスコンピューティング研究会に参画しています。次回の第33回サービスコンピューティング研究会は2020年3月16日に日立製作所中央研究所の協創棟で開催予定です。私達の研究部からも多数発表を行う予定です。ちなみに協創棟は、顧客協創を目的として2019年4月にオープンしたばかりの研究棟です。興味のある方は是非参加して下さい。
中央研究所: https://goo.gl/maps/KpybA6JU1MwZNvmN6