✅ 1. ModelDrivenとは何か？

Struts2の ModelDriven インターフェースは、「フォームの入力値」と「ビジネスロジックで扱うモデルオブジェクト」とを直接結びつけるための仕組みです。

public class CreateUserAction implements Action, ModelDriven<User> {
    private User user = new User();

    @Override
    public User getModel() {
        return user;
    }

    public String execute() {
        // user に直接値がバインドされている
        return SUCCESS;
    }
}

getModel() で返したオブジェクトに、フォームの値がバインドされます。
通常は setXxx() があるActionクラスにプロパティをバインドしますが、ModelDrivenを使うとActionクラスをスリムに保てるというメリットがあります。

✅ 2. なぜModelDrivenが使われるのか？

📌 Actionの肥大化を防ぐため

// ModelDrivenを使わない場合
private String name;
private int age;
private String address;
// getter / setter がActionにずらずら…

// ModelDrivenを使うと
private User user; // ← モデルにまとめて管理できる

📌 フォームの構造とドメインモデルの一致

HTMLフォームの構造と、ビジネスロジックで扱う「ユーザ」「商品」などのエンティティが一致しているなら、
そのままModelクラス（POJO）を使った方がシンプルです。

✅ 3. 実際の画面フォームとの連携

<!-- ユーザ作成フォーム -->
<s:form action="createUser">
    <s:textfield name="name" label="名前" />
    <s:textfield name="age" label="年齢" />
    <s:textfield name="address" label="住所" />
    <s:submit value="登録" />
</s:form>

上記のようなフォームに対して、ModelDrivenを使うと以下のようにマッピングされます：

public class CreateUserAction implements ModelDriven<User> {
    private User user = new User();

    public User getModel() {
        return user;
    }
}

フォームの <s:textfield name="name"/> は user.name に自動でバインドされます。
（内部的にOGNLで getModel().setName(...) が呼ばれます）

⚠️ 4. 注意点と落とし穴

❗ name="name" ではなく name="user.name" と書く必要はない？
→ 不要です。
ModelDrivenを使うと、user は暗黙的に省略されます。
Struts2が getModel() の戻り値に対して直接バインディングを行うからです。

❗ 複数のフォームを扱う場合
複数のオブジェクトにバインドするような複雑な画面ではModelDrivenは向きません。

1画面1モデル（＝単一Model）で使うのが基本。

❗ validate() や input に影響はある？
validate() メソッドで user.getName() のようにバリデーション対象にアクセスできます。

input result はそのまま有効。戻った時にも user モデルに値が保持されています。

✅ 5. ModelDriven + Validationの組み合わせ

以下のように組み合わせることで、Modelクラスにバリデーションロジックを集約できます：

public class CreateUserAction extends ActionSupport implements ModelDriven<User> {
    private User user = new User();

    public User getModel() {
        return user;
    }

    public void validate() {
        if (user.getName() == null || user.getName().isEmpty()) {
            addFieldError("name", "名前は必須です");
        }
    }
}

name フィールドのエラーとして画面に表示されます。

✅ 6. まとめ

項目	説明
✔ 利点	Actionがスリムになる。モデルとフォームの構造が一致するなら最適。
✔ 使用条件	単一のオブジェクトにバインドするシンプルなフォーム。
⚠ 注意点	複数モデル or フォーム構造が特殊な場合は不向き。
✅ Validation	`validate()` メソッドで Model を検証できる。

📝 おまけ：ModelDrivenとParamバインディングの比較

スタイル	特徴	コード例
通常のsetterバインド	フィールド＋getter/setterで個別定義	`private String name;`
ModelDriven	モデルクラス1つに集約	`private User user;` ＋ `getModel()`

🚀 次回予告：Vol.11.12 SessionAware と RequestAware でセッション/リクエスト管理

ModelDrivenでデータを綺麗に扱えるようになったら、
次はセッションやリクエストにどのようにデータを保存し管理するかがテーマです。

👉 Struts2の「状態管理」戦略をわかりやすく解説します！

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