🧩 1. はじめに：Struts2の「2大設定スタイル」

Struts2 では、アクション設定やバリデーション、リザルト定義などが
XMLファイル（struts.xml） または Javaアノテーション で構成できます。

本記事では、両スタイルの特長や違いを整理し、「どちらを選ぶべきか？」という開発スタイルの観点から実践的に解説します。

🧩 2. XML定義スタイルの特徴とメリット・デメリット

✅ 特徴

中央管理型。struts.xml にアクション・パス・リザルトなどを集中管理。
非侵入型（コードに設定が混在しない）。
フレームワーク色がコードから分離されている。

✅ メリット

ビルド不要で設定変更可能（ホットデプロイがしやすい環境では有利）。
保守・設計視点で「アクション全体像」を一括把握しやすい。

⚠ デメリット

XML記述が冗長。
設定ミスに対する補完が効きにくい（IDEの支援が弱い場合も）。
Actionクラスとの対応関係を確認するためにファイルを行き来する手間がある。

🧩 3. アノテーションベースの特徴とメリット・デメリット

✅ 特徴

Actionクラス内に @Action、@Result、@Namespace などで直接定義。
Javaコードと構成情報が一体化している。

✅ メリット

メンテナンスの分散化（各クラスが自己完結）。
EclipseやIntelliJなどの IDE 補完が効きやすい。
テストしやすく、モジュール分離にも強い。

⚠ デメリット

コードにStruts2の依存が混在する（侵入型）。
アクション設定の全体像が把握しづらくなる（初学者や設計段階ではつらい）。
複数のアクションや共通リザルトが増えると重複記述になりやすい。

🧩 4. 実務視点での比較表

観点	XML定義	アノテーション定義
中央管理	◯（集中管理）	△（分散配置）
コード分離	◯	×（侵入型）
保守性	◯（全体像把握）	△（局所性重視）
IDE補完	△	◯
開発スピード	△	◯
共通設定の管理	◯（共通リザルトなど）	△（重複定義に注意）
テストのしやすさ	△	◯

🧩 5. 実際の併用パターンとおすすめ戦略

小〜中規模アプリ：アノテーションベース中心
- 単機能・短納期・IDE主導で高速開発したい場合に向く。
中〜大規模アプリ：XMLベース or 併用
- 共通アクション、共通リザルト、モジュール管理に有利。
- 「初期段階はアノテーション → 後半でXML統合」など段階的移行もOK。
併用例：struts.xmlで共通設定 → 各アクションクラスでアノテーション定義

🧩 6. まとめ：どちらを選ぶべきか？

プロジェクト規模・チーム構成・保守性 を見極めて選ぶ。
IDE補完とスピードを重視する開発者が増えているため、アノテーションは現代的な選択。
ただし、XMLで一括制御する方が安心な場面（大規模・共通設定管理）も多い。

🔜 次回予告

🧩 Vol.11.9 @Validations アノテーションとバリデーション戦略完全ガイド
Struts2での高度な入力チェックの実装方法と、XML・アノテーションの選択ポイントを解説

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