複数のフォームを同一画面・複数画面で扱う際に起こりやすい「競合」「衝突」「セッション不整合」などの問題を防ぐための設計と実装方針を、Struts2の視点から整理して解説します。

✅ 1. なぜ複数フォームはトラブルを招くのか？

☑ 例：同一画面に複数フォームがある場合

<!-- 検索フォーム -->
<s:form action="searchUser">
  <s:textfield name="keyword" label="キーワード" />
  <s:submit value="検索" />
</s:form>

<!-- 新規ユーザ登録フォーム -->
<s:form action="createUser">
  <s:textfield name="username" label="ユーザ名" />
  <s:textfield name="email" label="メールアドレス" />
  <s:submit value="登録" />
</s:form>

🔥 起こりうる問題

どちらのフォームでエラーが起きたのか特定しづらい
入力チェックが他のフォームにも影響を与える
セッションに一時保存していたデータが他のフォーム操作で上書きされる

✅ 2. 対策①：トークンでの二重送信防止（tokenInterceptor）

Struts2には tokenInterceptor が用意されており、同じフォームを2度送信することを防ぐのに有効です。

<s:form action="createUser">
  <s:token />
  <s:textfield name="username" label="ユーザ名" />
  <s:submit value="登録" />
</s:form>

<action name="createUser" class="CreateUserAction">
  <interceptor-ref name="token"/>
  <interceptor-ref name="defaultStack"/>
  <result name="invalid.token">duplicateSubmit.jsp</result>
  <result name="success">success.jsp</result>
</action>

🔐 注意：
複数のフォームでを使うと、同じセッション内で最後のトークンだけが有効になるため、
セッションに依存せず、JavaScriptで動的に送信先を切り替える方式も併用を検討します。

✅ 3. 対策②：フォーム単位での専用Action＋専用Formクラス設計

❌ NGパターン：

public class UserAction extends ActionSupport {
    private String keyword; // 検索用
    private String username; // 登録用
    private String email;    // 登録用
    // フォームを兼ねたフィールドが混在
}

✅ OKパターン：

SearchUserAction（検索専用）
CreateUserAction（登録専用）

Actionクラスごとにフォームを完全に分離し、1アクション＝1フォームの原則を守ることで、
フィールド競合・バリデーションの混乱を防止できます。

✅ 4. 対策③：セッション一時保存はスコープと命名を厳密に管理

☑ よくあるバグの元：

session.put("userInput", form);

→ 複数画面で同じキー名 "userInput" を使うと、他フォームの入力が上書きされる

✅ 改善例：

session.put("createUserForm", form);
session.put("editUserForm", form);

または、フォームの状態管理用にForm IDやタイムスタンプを付ける方法もあります。

✅ 5. 対策④：動的フォーム生成時はhidden＋ID管理で状態を持つ

JavaScriptなどでフォームを動的に増やす場合：

<form action="editUser">
  <input type="text" name="username" />
  <input type="hidden" name="formId" value="create-1" />
</form>

サーバ側で formId を受け取り、セッション上のどのフォーム状態と対応するかを判断します。

✅ 6. よくあるケース：画面A → B → Cで途中セッション消える問題

セッションを多用したステップ式フォームの場合、別画面のアクセスによりセッションが破棄・上書きされることがあります。

✅ 対策：

状態管理をセッションでなくDBやクッキーに移す
セッション内でも、画面単位でオブジェクト名を完全分離（例：createUser.step1, createUser.step2）

✅ 7. テスト時に注目すべきポイント

タブを複数開いて操作してみる
バリデーションエラー後に戻って入力できるか
戻るボタン・リロードで意図しないデータが送信されないか
セッションタイムアウト後の動作確認

🎯 まとめ

課題	解決策
フォーム同士の競合	Actionクラス・Formクラスの分離
二重送信	`<s:token />` + `tokenInterceptor`
セッション上書き	セッションキーを画面単位にする
フォーム状態の混乱	`formId` をhiddenで渡す
多画面セッション競合	セッション管理設計の明確化 or DB化

▶️ 次回予告：Vol.11.21 JSON返却の基本とStruts2 REST連携の仕組み

JSONベースのAPIレスポンスや、RESTful構成への第一歩として、Struts2での stream や json タイプの使い方と実例を解説します。

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