Struts2の画面遷移は、Interceptorがすべてを握っている。
「defaultStackって何？」「独自Interceptorってどう動くの？」という疑問に答える、Interceptor完全理解の第一歩。

🧭 はじめに：defaultStackの正体とは？

Struts2のアクションは、直接実行されているようで実はされていません。
その前後をがっつり取り囲むのが、Interceptor（インターセプター）。そして、Struts2がデフォルトで適用するInterceptorのセットこそが、今回の主役 defaultStack です。

🧱 Interceptorとは何か？（復習）

Struts2における“フィルター”のような存在
リクエスト処理の「前後」で共通処理を差し込める（Before／After）
実際には、ActionInvocation.invoke() を通してアクション実行が「チェーン状に」制御される

📦 defaultStackとは？

defaultStack とは、Struts2がデフォルトでアクションに適用する**Interceptorの集合体（プリセット）**です。

🔗 定義場所

struts-default.xml に定義されており、Struts2が提供する基盤Interceptorの一覧がここにまとめられています。

<interceptor-stack name="defaultStack">
    <interceptor-ref name="exception"/>
    <interceptor-ref name="alias"/>
    <interceptor-ref name="servlet-config"/>
    <interceptor-ref name="i18n"/>
    <interceptor-ref name="prepare"/>
    <interceptor-ref name="chain"/>
    <interceptor-ref name="debugging"/>
    <interceptor-ref name="profiling"/>
    <interceptor-ref name="scoped-model-driven"/>
    <interceptor-ref name="model-driven"/>
    <interceptor-ref name="fileUpload"/>
    <interceptor-ref name="checkbox"/>
    <interceptor-ref name="multiselect"/>
    <interceptor-ref name="static-params"/>
    <interceptor-ref name="action-mapping-params"/>
    <interceptor-ref name="params"/>
    <interceptor-ref name="conversionError"/>
    <interceptor-ref name="validation"/>
    <interceptor-ref name="workflow"/>
</interceptor-stack>

🔍 代表的なInterceptorたち（defaultStackの中身）

✅ params

フォームの入力値（リクエストパラメータ）をアクションプロパティにバインド
OGNLによるプロパティ設定がここで行われる

✅ conversionError

文字列→数値など、型変換時のエラーをキャッチしてエラーメッセージを生成

✅ validation / workflow

validation.xml や @Validations に基づく入力チェックを実行
エラーがある場合はアクション本体を呼び出さず、入力画面に戻す

✅ fileUpload

アップロードされたファイルの一時保存、サイズ制限、MIME検査を実行

✅ model-driven

ModelDriven インターフェースの getModel() を通じて入力モデルをバインド

🧪 defaultStack の実行順序とアクション呼び出しの流れ

Struts2の実行フローは、Interceptorチェーン（InterceptorStack）を順に通過しながら進行します。

(1) exception
↓
(2) alias
↓
(3) servlet-config
↓
...
↓
(17) validation
↓
(18) workflow → エラーなら終了、OKなら…
↓
★ Actionクラスの execute() 実行

この流れを知らないと、

なぜアクションに入る前にエラーが出るのか？
パラメータが突然消えるのはなぜか？
など、ブラックボックス感を持ったまま開発することになります。

💡 開発に役立つ defaultStack の活用術

🧭 1. 必要なInterceptorだけ使いたい場合

<action name="upload" class="...">
  <interceptor-ref name="fileUpload"/>
  <interceptor-ref name="params"/>
  <interceptor-ref name="workflow"/>
</action>

defaultStack を使わず、自前で組み立てれば、余分な機能を省けます。

🔧 2. 独自Interceptorの追加

たとえば、ログ出力や権限チェックなどを行う独自Interceptorを追加できます。

<interceptor name="authCheck" class="com.example.interceptor.AuthCheckInterceptor"/>

<action name="secureAction" class="...">
  <interceptor-ref name="authCheck"/>
  <interceptor-ref name="defaultStack"/>
</action>

※ 独自Interceptorは次回 Vol.11.4 で詳しく取り上げます。

🚨 よくある落とし穴

症状	原因
`execute()` に入る前に画面遷移してしまう	`workflow` による validation エラーでスキップされている
パラメータがバインドされない	`params` がInterceptorStackに含まれていない or OGNLエラー
ファイルアップロードが動作しない	`fileUpload` が入っていない／multipart/form-data 未指定

✅ まとめ

観点	内容
`defaultStack`とは	Struts2がアクション実行前後に適用するInterceptor群
Interceptorの役割	共通処理（入力、検証、変換など）をアクションの外側で担う
defaultStackの中身	18個前後のInterceptorが順に呼ばれる（順番に意味あり）
カスタマイズ可能	自作Interceptor追加／構成の再定義もOK

🧩 次回予告：Vol.11.4 独自Interceptorの作り方と使い所

「権限チェック」「操作ログ出力」「初期化処理」など、共通処理はInterceptorにまとめよう！
次回は自作Interceptorの実装／テスト／組み込み手順を詳しく解説します。

🎓 Interceptorを理解すれば、Struts2の本質が見えてくる。
アクションの“前後”を制する者は、UXと保守性を制す。

🧭 関連記事（Vol.11.xxxシリーズ）

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Vol.11.4	入門者のための「パラメータ自動バインディング」完全理解ガイド	自動バインディング
Vol.Vol.11.4.1	入門者のための自動バインディング実践パターン集	自動バインディング
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Vol.11.5.1	Struts2の“画面遷移の全体像”を理解するためのマイルストーン記事	設定ファイル構造
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