Qiitaの「いいね」が「LGTM」に変わった件について、そして今の Qiita が不便だと思う点について
LGTMという略語を知らなかった
Qiita運営としても、流れてきた記事に「いいね」するのではなく、しっかりその内容を読んで、その内容が少なくとも自分にとって良いものだと思ったときに「LGTM(Looks Good To Me)」と言ってもらった方が良いと考えました。
(中略)
LGTMという言葉は、エンジニアがコードレビューをするときにも用いるワードで、エンジニア文化に馴染みのあるワードだったので採用することになりました。
そうでしたか。これまで使ったことがなくて知りませんでした。
まあエンジニアにも色々な文化があるのでしょうがないということで勘弁してください。
で、LGTMを検索してみると..
LGTM! チャットやGitHubでよく見る英略語ってこんな意味
LGTM - "Looks Good To Me”
これは「Looks Good To Me」、つまり「自分的にはOKだよ」という意味です。 開発したシステムやコードのレビューをお願いされたり、資料のサマリを確認を行った際、特別問題がなかった場合に使います。
「良いように私には見えます(by Google翻訳)」は「問題ないんじゃない?」程度の意味で「その内容が少なくとも自分にとって良いものだと思った(At least good for me か)」とは全然違うじゃないですか。
考えてみればコードレビューするときに「自分にとって良いもの」が出てくることってめったにないですよね? コードレビューって役に立つものを発掘する作業じゃないんだから。
たまたま「自分にとって良いもの」が出てきたとしても、レビューコメントに書くことはありません。レビューに関係ないから。
だいたい Qiita の 良い投稿記事にLGTMしよう でも
LGTMとは、読んで良かった、面白かったと思った記事やコメントに対して行える評価アクションです。 LGTMをすることで記事の評価が上がり、より多くの人へ読んでもらえるようになります。
と一般的な意味の「いいね」であって、「少なくとも自分にとって良いものだ」と一致していません。
「いいね」が多い記事は多くの共感を呼んだ記事であって、役に立つかどうかとは関係ない、と思っていたのは別に間違っていないようです。
上の説明を見る限り、今後の「LGTM」の多い記事も同じことでしょう。
「いいね」と「ストック」とはなんだったのか
Qiitaのランキングの最初の設計者としての「いいね」の設計と、「LGTM」は下においてほしいという話 を読んで、なるほど「いいね」はそういう考えでできたのか、と今さらながら思いました。
が、この時点ですでに自分の思っていた機能とは違っていたという衝撃の事実が。
まず、Qiita には最初にストックがありました。これは「後で読む」ということを意図した機能です。なので、ストックは記事トップにありました。ランキング機能を作るにあたって、読まずにストックする可能性が高い「あとで読む」を転用すると、タイトル詐欺が加速する懸念がありました。
ストックって「後で読む」だったんですか、ならそう書いてくださいよ..
ストックは自分にとって「後でまた読む」価値のある記事を長期間取っておく機能だと思っていました。
これは他の人にとっての価値や共感とは必ずしも一致しませんし、読んだら外す「後で読む」とも違います。
もっというと、自分はストックは完全に不要な機能だと思っていました。個人のブックマークやソーシャルブックマークなどによって、それらは別途個々人がもっていたはずです。ただし、これは既存のユーザー の体験を壊すことになってしまうという yaotti の強い反対で、ストックの廃止は見送られ、ストックといいねが共存することになりました。(自分は今でもストックの存在は不要だと思っています)
いや、それを言うなら「後で読む」チェックも「自分にとって良いもの」を保存する機能も、両方 Qiita 外の手段として持ってますよ?
でないと Qiita でしか情報収集できないじゃないですか。
ログインしてないとLGTMもストックもできないし。
他にも気になることが。
記事を更新するとき「変更通知を送る」機能がありますが、説明には「ストックしているユーザーに変更の通知を送ります」とあります
「自分にとって良いもの」だと思ったユーザーには送られず、「ちょっと気になるから後で読もう」ととりあえずチェックしたユーザーに送られる、これはストック機能作成時の意図が正しく継承されていないことを示しているのではないでしょうか?
何が問題だったのか
ボタンの見た目が、想定する機能を正確に表していないのが問題だと思います。
うまくできたという記事やほっこりした記事や共感した記事に「いいね」を押すのは自然だし、
全体的には納得しないが明日使いたい部分が1行あって「少なくとも自分にとって良いものだ」を押すのも、
後輩が書いた記事を読んでおかしなことは書いてないなと思って「LGTM」を押すのも、
ときどき見直したり将来役に立つかもしれない記事に「ストック」を押すのも自然でしょう。
たいして興味はないけど「まあいいんじゃない?」という記事にわざわざ「LGTM」を押すことはたぶんないでしょう。
それが開発側の意図しない押し方だと言うのなら、意図を正しく表していないボタンのせいです。
行動の意味を変えられても困る
いいねランキングもストックランキングも貢献度ランキングも、それぞれ別にあってよかったと思います。
けれども、いずれかのランキングが「多くの人にとって役に立つ記事」ランキングや「価値の高い技術者」ランキングであると考えたところに無理があったのではないでしょうか。
そういうランキングを作りたいなら「役に立つから勧めたい」LooksGoodForOthers ボタンが必要です。
しかし「いいね」がそのまま「LGTM」に変更されてしまったため、わたしが「LGTM」したわけではない記事が勝手に「LGTM」したことになってしまいました。
自分に正直であるためには「LGTM」を全て外すほかないですね。
ですよねー。
結局みんながこれをしない限り、LGTMに基づくランキングは運営の意図通りに機能しないわけだし。
最近の Qiita が不便だと思っている点
昔の Qiita はジャンルを問わない最新記事リストが見られたと記憶しています。
今は検索で当たるか、ランキングか、タグ等で登録していたジャンルの記事しか見られません。
知らなかったマイナージャンルの記事に刺激を受けることができないのです。
誰もが Python や JavaScript の記事を見たいわけではありません。
それらは必要になったときにあらためて探せばいいのであって、今チェックする必要はないのです。
むしろ「メジャージャンルを見せない」リストが欲しい。
マイナーかもしれないけれど、役に立つかもしれない記事や刺激を受ける記事にたどり着くのが難しい現状は残念です。
まとめ
- 機能を正しく表す見た目にしよう(オブジェクト名や関数名もね)
- 別の機能を無理に転用しない
P.S. ううむ、「いいね」がなくなったので特に自分の役には立たない良い記事に「共感した」と表明できなくなった.. 読み捨てるか