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ぼくのかんがえたさいきょうのレーザーポインター

Last updated at Posted at 2020-09-03

#というわけで
私の考えたさいきょうのレーザーポインターの作り方をできる限り丁寧に説明します。
※さいきょうの定義は各個人によりますので予めご了承ください。
laser.jpg

今回、さいきょうの定義は以下の三要素とします。

その1. 高機能
欲しい機能はこんな具合。

  • スライドを送る/戻す
  • スライドショー発表中に黒背景にする
  • プレゼンタイマー

その2. 拡張性がある
機能を後から追加、変更できる。

その3. 安い
上の機能が入ったレーザーポインタを市販品より安く作れる。
今回比較対象としたのは、ロジクール R800 (2020/9/1時点で8,500円) です。

##対象読者

  • Arduinoでの初歩的なスケッチの文法が分かる。例)setup()loop()の使い分けができる。
  • Arduino IDEを用いてマイコンに書き込みができる。
  • ビルドでエラーが起きても諦めない心を持っている。

#用意する部品
parts.jpg
M5StickC以外は秋月電子通商でほぼ揃います。M5StickCはマルツで購入できます。
どちらの店舗もオンライン通販に対応しているので、コロナ禍でも大丈夫です。

試作用の部品を除くと、__総額2,718円__で調達できます。

品名 価格 備考
40ピン基板用ピンヘッダー 40ピン×1列 88円 8ピン以上だったら大丈夫です。
タクトスイッチ 10円
レーザーモジュール 500円
単4形アルカリ乾電池 80円
電池ボックス 単4×3本 60円
M5StickC 1,980円

以下は試作用の部品なので、必須ではありません。

品名 価格 備考
ジャンパワイヤー(オス-オス) 180円 抵抗の足で代用可能。
ブレッドボード 200円

#電子回路
レーザーモジュールとM5StickCに乾電池を繋ぎます。
step1.jpg

##注意事項
秋月電子通商のよくある質問を見ると、レーザーモジュールは3V以上の電圧や電源逆接続すると壊れます。と書いてありますが、1
上の回路では乾電池3本の直列電圧(1.5V×3本=4.5V) を印加しています。
私の環境ではレーザーモジュールは壊れませんでしたが、気になる方は分圧なりしてください。

M5StickCの3.3Vから出すのもありですが、仕様上、電源OFF状態では3.3Vは出力されないようです。2

#M5StickCのプログラム
Githubはこちら→only-my-laser
とりあえず使ってみたい方はGithubから落として、Arduino IDE等で焼いてみて下さい。
何も変更しなくてもそのまま使えます。(多分)

完成形はこちら
m5stickc_display.jpg

では、__要点のみ__解説していきます。

##ざっくりした考え方
スライド操作
M5StickCはBLE(Bluetooth Low Energy)が喋れるので、キーボードとして認識させて、PowerPointのショートカットキーに対応させます。

プレゼンタイマー
M5StickCに内蔵されているタイマーで時間を計測をします。

##スライド操作
BLEキーボードとして利用するために、BleKeyboard.hを利用します。
有り難いことにライブラリを作ってくださっている方がいるので、活用しましょう。ライブラリへの追加方法やSampleは下のGithubに書かれています。
BLEキーボードのライブラリはこちら→T-vK/ESP32-BLE-Keyboard

ライブラリのダウンロード/インクルード

  1. GithubからライブラリのZIPをダウンロードします。
  2. Arduino IDEのメニューからスケッチ > ライブラリをインクルードを選択し、先程落としたZIPファイルを指定します。

ライブラリの宣言
スケッチ先頭の宣言部に書いてください。

#include <BleKeyboard.h>
BleKeyboard bleKeyboard("only-my-laser");

2行目でBLEキーボードの名前を指定しています。PC等からペアリングするときはこの名前で探します。

PowerPointのショートカット送信
loop()に書いてください。

    /* -- スライド操作関連 -- */
    // Bluetooth接続後の動作
    if( bleKeyboard.isConnected() ){
        FlagBleConnected = true;
        // ボタンAが押されたとき、[n]を送信
        if( M5.BtnA.wasReleased() ){
            Serial.println("Send n key");
            bleKeyboard.print("n");
        }
        // ボタンBが押されたとき、[p]を送信
        if( M5.BtnB.wasReleased() ){
            Serial.println("Send p key");
            bleKeyboard.print("p");
        }
        // ボタンBが指定秒数以上押されたとき、[b]を送信
        if( M5.BtnB.wasReleasefor(TIME_BTNB_LONG_PRESS) ){
            Serial.println("Send b key");
            bleKeyboard.print("b");
        }
        bleKeyboard.releaseAll();
    } else {
        FlagBleConnected = false;
    }

M5.BtnAは正面の「M5」と書かれたボタン、M5.BtnBは右側のボタンです。

wasReleased()はボタンが押されて、__離されたとき__にTrueが返ってきます。
wasReleasefor()は__何ms以上押して離したか__でTrueが返ってきます。

##プレゼンタイマー
タイマーの宣言
スケッチ先頭の宣言部に書いてください。

hw_timer_t * presenTimer = NULL;

タイマーの作成と初期化
setup()に書いてください。

presenTimer = timerBegin(0, 80, true);
// presenTimer 初期停止と初期化
timerStop(presenTimer);
timerWrite(presenTimer, 0);

timerBegin(0, 80, true)
第1引数でタイマーのIDを指定し (0〜3の4つのタイマーが内蔵されています)、
第2引数で何クロックでカウントアップするのか指定し(通常は80MHz)、
第3引数でカウントアップを意味しています (falseだとカウントダウンします)。
第2引数に関する解説はこちらに詳しく載っています。
ESP32の高精度タイマー割り込みを調べる

タイマー操作
loop()に書いてください。

    /* -- タイマー関連 -- */
    // 電源ボタンの押下状態を取得する。
    // HACK: GetBtnPress()は0以外の値は一度しか値を取得できないから、ここで取得する。
    //       格納しないで下のif文で呼ぶと、ボタンを長押ししても[1]ではなく、先に短い場合の[2]を返してしまうため、長押しの分岐に入らない。
    int axpBtn = M5.Axp.GetBtnPress();
    // 電源ボタンが短時間押されたときは、タイマーのStart/Stop
    if( axpBtn == 2 ){
        if ( timerStarted(presenTimer) ){
            timerStop(presenTimer);
        } else {
            timerStart(presenTimer);
        }
    }
    // 電源ボタンが長時間(1.5s)押されたら、タイマーリセット
    if ( axpBtn == 1 ){
        timerStop(presenTimer);
        timerWrite(presenTimer, 0);
    }

今回、本体の電源ボタンをタイマー操作ボタンと兼用しています。
BtnAなどの汎用ボタンと違い、押された秒数によってM5.Axp.GetBtnPress()の返り値が変化します。

#完成!
というわけで完成!!:clap:
laser2.jpg

電源電圧や接続状態のモニターをしていますが、そちらはGithubのソースコードを読んでみてください。

##それで、結局「さいきょう」になったの?

高機能 :o:
スライドを送る/戻す、黒背景にする、プレゼンタイマーは実装できました。

拡張性 :o:
M5StickCは後でいくらでも書き換えできるので、機能変更にも対応できます。
今回はBluetoothぐらいしか使っていませんが、他にもいろんなセンサやモジュールが乗っているので夢は無限大ですね!

低価格 :o:
今回、外装は3Dプリンターで製作しました。
プリンターのフィラメント代を含めても安く作れたと思います。

強いて弱点を言うなら、「でかい」ぐらいでしょうか。
そこは外装設計を見直してバージョンアップしていきたいと思います。

「さいきょう」のレーザーポインターを作ることが出来ました。めでたしめでたし。:clap:

#(余談)本当に格安で作るなら
今回はプレゼン操作やタイマーのためにM5StickCを導入しましたが、
「レーザーポインターさえあればいい!余計な機能は不要だ!!」という方は、とっても低価格で作ることが出来ます。

作り方は簡単。
レーザーモジュールと乾電池×2本を繋ぐ。
以上。

外装は蓋付きの単4形乾電池ケース(120円)にレーザ光の穴を開けるだけ。
単4形乾電池の直径(10.5mm)とレーザーモジュールの直径(最大で10mm程度)がほぼ同じなので、すっぽり収まるはずです。
そうすればなんと、外装も含めて700円で作ることが出来ます

  1. 赤色レーザー発光モジュール(円筒型) LM-101-A2の質問と回答, 秋月電子通商

  2. AXP192の調査, M5StickC非公式日本語リファレンス

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