AWS EC2 入門:仮想サーバーの仕組みとストレージ・セキュリティの基本
AWS(Amazon Web Services)を利用する際、まず最初に触れることになるのが Amazon EC2 です。
この記事では、EC2の立ち位置から、スペックの選び方、ストレージの種類、セキュリティ設定までを分かりやすく解説します。
1. EC2は「クラウド上の仮想サーバー」
EC2(Elastic Compute Cloud)は、インターネット経由で利用できる仮想サーバーです。
自分のパソコンの中に別のOSを立ち上げるような感覚で、AWSの巨大なデータセンター内にある計算リソースを借りることができます。
OSのテンプレート「AMI」
サーバーを立てる際、中身のOS(WindowsやLinuxなど)をゼロからインストールする必要はありません。AMI(Amazon Machine Image) と呼ばれるテンプレートから選ぶだけで、すぐにサーバーが起動します。
- Amazon Linux: AWSが提供する、クラウド環境に最適化されたLinux。
- Windows Server: 使い慣れたWindows環境も選択可能。
- マーケットプレイス: 他社が作成した設定済みのイメージも利用できます。
2. スペック選びは「定食屋スタイル」
EC2の性能(CPU、メモリ、ネットワーク帯域)は、**「インスタンスタイプ」**というパッケージから選びます。
パソコンの自作のように「メモリだけを1GB単位で増やす」といった細かいカスタムはできず、あらかじめ決められた組み合わせから選ぶ**「定食屋のメニュー」**のような形式です。
- 選び方のコツ: 自分の用途に最も近い「セットメニュー(タイプ)」を選びます。
- ネットワーク帯域: これもインスタンスタイプによって固定されており、個別に増速することはできません。
3. ストレージの使い分け:EBS、インスタンスストア、S3
EC2に接続するストレージにはいくつか種類があり、それぞれ役割が異なります。
インスタンスストア(内蔵一時ディスク)
EC2にデフォルトでアタッチ(接続)されることがあるストレージです。
- 特徴: 非常に高速ですが、**「揮発性」**があります。
- 注意点: インスタンスを「停止」または「終了」すると、データが消えてしまいます。一時的なキャッシュデータ保存に向いています。
Amazon EBS(外付けSSD/HDD)
OSのインストール先や、消えてはいけないデータの保存に使用します。
- イメージ: パソコンにUSBで繋ぐ**「外付けSSD」**のような存在です。
- 信頼性: マネージドサービスとして裏側で冗長化されているため、ハードウェアの故障を過度に心配する必要はありません。
- 制約: EBSは、接続するEC2インスタンスと**同じAZ(アベイラビリティゾーン)**に配置されている必要があります。
Amazon S3(クラウドストレージ)
より大容量なデータを保存する際に使います。
- イメージ: EBSが「外付けSSD」なら、S3は**「クラウドストレージ(DropboxやGoogleドライブのようなもの)」**です。
- IO(読み書き速度): EBSに比べると、ネットワーク越しになるため読み書きの特性が大きく異なります。
4. セキュリティと拡張性
セキュリティグループ
EC2を守るための「単位ファイアウォール」です。
「どのポートを開けるか(例:Webサイトなら80番など)」をインスタンスごとに設定します。
Auto Scaling(オートスケーリング)
アクセス数に応じて、サーバーの台数を自動で増やしたり(スケールアウト)、減らしたりする機能です。これにより、急なアクセス増加にも耐えられるようになります。
可変な情報(あとから変更できるか)の説明
AWS運用において、何が変更可能で、何が固定なのかを知ることは非常に重要です。
- インスタンスタイプ(可変): インスタンスを一度停止すれば、あとから別のスペック(タイプ)に変更できます。
- EBSのサイズ(可変): 容量が足りなくなったら、後から増やすことが可能です。
- セキュリティグループ(可変): サーバーを動かしたまま、いつでも設定を書き換え・反映できます。
- EBSの配置場所(固定): 作成したEBSのAZ(データセンターの場所)を後から変更することはできません。別のAZに移動したい場合は、バックアップ(スナップショット)をとって作り直す必要があります。
用語解説
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AMI (Amazon Machine Image)
サーバーの「中身」のコピー。OSやアプリケーションの設定が含まれたテンプレートのこと。 -
AZ (アベイラビリティゾーン)
一つの地域(リージョン)内にある、物理的に切り離されたデータセンター群のこと。 -
揮発性(きはつせい)
電源を切ったり、サービスを停止したりすると、保存されていたデータが消えてしまう性質のこと。 -
IO (Input/Output)
データの読み込みと書き込みのこと。この速度がサーバーの体感速度に大きく影響します。 -
スケールアップ / スケールアウト
性能を上げるのがスケールアップ(サーバーをデカくする)、台数を増やすのがスケールアウト(サーバーを並べる)です。