デスクトップが広く使えて快適なデュアルディスプレイですが、片方を縦にしてみるとさらに便利かもしれません。
縦にして便利な部分
最近はスマホ向けに縦の動画が流行っているようですが、そういったものに限らず、多くのWebサイトは縦長にできていますし、A4などのビジネス文書も多くは縦長に印刷します。実際、レスポンシブデザインにしても「ある程度以上の幅には広がらず、左右に空白ができてしまう」ようなことも多いので、そのようなサイトは縦長のディスプレイで見ると、普段よりずっと広い範囲を一気に見られます。
プログラムのソースコードも、「理想は80桁以内」と言われるように、横には広げずに書くものなので、縦長のディスプレイではメリットを受けられます。
縦ディスプレイだけだと足りない部分
ただ、ふつうディスプレイは横長ということもあって、多くのソフトウェアが「横長画面で使うこと」を前提に作られています。YouTubeの動画やプレゼンテーション資料なども横長な構造なので、縦ディスプレイで使うには不便なものとなってしまいます。また、21インチのモニタを縦にすると横幅が1000ピクセルちょっとなので、少々狭い感もあります。
こういったものでも、縦横両方のディスプレイがあれば、適切な方に表示させることで、「いいとこ取り」のように運用することができます。
縦横置きのデメリット
ただ、縦横置きにして気になったところがいくつかありました。
- 縦にも横にもディスプレイが広がっているので、目を動かす範囲が広くなって、(慣れるまでは)目が疲れる
- ディスプレイが長方形でない&マウスカーソルはディスプレイから出られないので、凹んだところにマウスカーソルが引っかかって、思うところに行ってくれない
とはいえ、どちらも慣れれば解決するとは思います。
既存のデュアルディスプレイの縦横化
新たにデュアルディスプレイを組むのなら、縦置きできるモニタを用意してくればいいのですが、すでに横に2台置いてある場合でも、比較的容易に縦にできます。
VESAマウント
VESAというグラフィックス関連の標準化団体があるのですが、そこが液晶ディスプレイの取り付けに関しても標準化をしています。多くのディスプレイには、10cm角の正方形になるように、4つ穴が開いています。
あとは、これに取り付けるアームを用意すれば、置き方はいくらでも変えられます。机にクランプするタイプのものが多いですが、置けるようなものも探せばありました(使う環境で机にクランプできないので、据え置きのを用意しました)。
論理的回転
ディスプレイ自体やグラフィックカード側に回転対応の機能がなくても、WindowsやLinuxのOS側で、回転した画像を送信させることで、縦置きにして使える状態とすることができます。
ディスプレイを回転させるデメリット
ふつうのディスプレイをOSから回転させて運用すると、それが故の問題もあります。
OS起動前の状態
OSから回転させる都合上、OS起動前には横長のまま映ってしまいます。普段は起動画面がちょっと崩れる程度でどうということはないのですが、BIOS設定やトラブルシューティングの際にはやりづらいことになってしまいます。できれば、BIOSが映るプライマリディスプレイは横のまま運用したほうが使いやすいかもしれません。
左右非対称
実際に縦にしてから気づいたことなのですが、一般的なディスプレイの場合、下から見た場合の視野角がかなり狭くなっています。ということで、90度回転させてしまうと、左右どちらかに視野角の狭いところが来てしまいます。配置する位置と見る方向を考えて、左右どちらに回転させるか考えておきましょう。
ClearType
ClearTypeは、液晶ディスプレイでRGBが別々の画素になっていることを利用して、横方向の解像度を本来のピクセルより増してフォントを描画する技術ですが、これも当然画素が横に並んでいることを前提としています。縦にした場合は、ClearTypeだと色が化けるだけで解像度向上の効果は見込めません。オフにするのがいいでしょう(自分自身はMacTypeを使っていたので、もともとClearTypeは切っていました)。