はじめに
皆さん、お疲れ様です。
ジンシンです。
今回は多くの方が一度は耳にしたことがあろう基本情報技術者試験を2024年8月に受験し、ギリギリながら合格することができました。そこで、実際の受験体験や勉強方法について、私なりの視点から詳しくシェアしていきたいと思います。
注意: この記事は2024年10月の試験改訂前の内容に基づいています。
基本情報技術者試験とは
基本情報技術者試験(FE:Fundamental Information Technology Engineer Examination)は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が主催する国家資格です。
試験の概要 (公式情報)
- 対象者レベル: ITエンジニアとして必要な基本的知識・技能をもっている
- 試験形式: CBT(Computer Based Testing)方式
- 実施時期: 通年実施(2023年4月より)
- 受験料: 7,500円(税込)
試験構成
科目A試験(従来の午前試験)
- 出題数: 60問(四肢択一)
- 試験時間: 90分
- 合格基準: 1,000点満点中600点以上
科目B試験(従来の午後試験)
- 出題数: 20問(多肢選択式)
- 試験時間: 100分
- 合格基準: 1,000点満点中600点以上
受験申込みと当日の流れ
受験申込み
- 申込みサイト: IPA公式サイトのマイページ
受験当日の流れ
持参物:
- 身分証明書(写真付き)
- 確認票(印刷またはスマートフォン画面、私は心配なので印刷しました)
注意事項:
- 手荷物はロッカーに保管
- 予約時間の15分前には到着推奨
- 科目A試験と科目B試験の間に10分程度の休憩ありまして、私が行っていたテストセンターは少し多めに時間を取ってくれました。
- ちなみに、予定の時間よりも早く着いた場合、空いていれば早く受験を開始することも可能です。
受験後の流れ:
- 試験終了と同時に結果が画面に表示される(ここの点数でほぼ合否が決まります)
- 正式な成績は数時間後にマイページで確認可能
- 合格証明書は後日郵送(結構時間かかるので気長に待ちましょう)
実際の勉強期間と学習プロセス
学習期間
- 開始時期: 2024年5月頃に受験を決意
- 実際の学習期間: 2024年5月~8月までだらだらやっていました
- 受験日: 8月上旬
皆さんが情報収集の段階でよく見かける記事として短期間で集中して合格している記事が多いのではと思います。実際に合格だけを目的としているならそちらのほうがおすすめです。ただ、私のように時間を短期間取れない方としてはある程度勉強期間が長くなっても合格することは可能です。
社会人であるため、平日は1,2時間。週末での多くて3時間程度しか勉強していませんでした。学習時間の目安を多くの方が書いてますが、学んだ内容に対して理解度が人それぞれ異なるためあまり参考にしなくていいと思います。
使用した教材とリソース
YouTube教材
- 基本情報技術者試験対策の解説動画(体系的なことなど全てあります)
- アルゴリズムとデータ構造の解説動画
(アルゴリズムがどういったものかを4時間程度の動画にまとめられている) - 発信内容や教材の評価が高い
書籍教材
- かやのき先生の基本情報技術者教室(リンクは最新版となります)
- アルゴリズム関連の参考書(必要に応じて)
Webサイト
-
基本情報技術者過去問道場: 科目A試験対策のド定番サイト
- 分野別学習機能が優秀(苦手意識のある分野を集中的に学べる)
- 解説が詳しく理解しやすい
- 他の受験者のコメントや疑問点を確認できる上、出題形式に慣れることに優れている
オンライン講座 (私の場合は使いませんでした)
- Udemy(セール時を狙って購入)
- 動画での解説が理解しやすい
- 実際の問題解法のプロセスが学べる
教材として使えそうなものを一通り紹介しましたが、実際にはYoutube動画、過去問道場で事足りるかと思います。わたしは当日の試験でたまたま見た参考書の内容が何問かの正解となっていましたので、参考書は買っておいて損はないと思います。
学習のコツと対策法
科目A試験対策
1.参考書,Youtubeの動画を見る:
これらは1周するぐらいで問題ないです。(完全に理解する必要はないです)
2.過去問道場でひたすら問題を解く:
何度も解いて正解する問題はパスして、よく間違える問題を練習しましょう
計算問題の練習:
基数変換、論理演算など計算問題は絶対に何問か出ますので解き方をしっかり覚えておきましょう。
3.わからない問題は見直しのチェックをして飛ばす:
本番での話ですがわからない問題をずっと考えるのではなく、最後まで一通り解いて、チェックをつけた問題を一つずつ解くといいと思います。全問正解する必要はありませんので、わかる問題を確実に抑えればそれだけで合格に近づきます。
2択で迷ったら直感を信じてください、大体当たります。
科目B試験対策
1.アルゴリズムの理解:
疑似言語に慣れることが最重要
2.プログラミング的思考:
処理の流れを追跡する練習、よく言われているトレースするというものです。
上記の記事の「科目Bの勉強法→はじめのうちはトレースする」を参考にしてみてください。
3.時間配分の練習:
20問を100分で解く練習をしましょう、20問のうち4問は現代文読解セキュリティマネジメントに関する問題で文章を読むのに時間がとられますので要注意です。
アルゴリズム問題に苦手意識を持っている人は優先的にこちらを先に解いて4問正解する前提で進めてもいいと思います。
学習を振り返って
合格につながったと思うポイント
- 科目A試験対策に時間を十分確保した(科目Bに謎の自信があったので)
- 過去問道場を活用した反復学習(最終的に答えを覚えてしまうくらい)
ひやひやしたポイント
-
科目B試験を軽視していた
疑似言語形式にもっと慣れておく必要があったと反省がありますね。浮かれていたらほんと不合格でしたので(ラインすれすれ)油断禁物です。
これから受験する人へのアドバイス:
まずは科目Aについてですが、過去問道場を使用してたくさん問題を解く人がたくさんいると思います。ただ、私が思うに過去問よりも本番の問題のほうが明らかに難易度が変わっており過去問がそのまま出るといったようなことはあまりないです。ここでも言いますが強く参考書を一つ買うことを勧めます。
次に科目Bですが情報系大学卒業ということもありアルゴリズム問題に変な自信を持っていました。それであまり練習しなかったことで冷や汗が止まらなかったわけですが、普段プログラミングに取り組んでいる方でも一度科目Bの疑似言語に慣れておく必要があります。
ITパスポートとの比較
よく比較されるITパスポートとの主な違い:
項目 | ITパスポート | 基本情報技術者 |
---|---|---|
対象者 | 職業人及びこれから職業人となる者が備えておくべき、ITに関する共通的な基礎知識をもち、ITに携わる業務に就くか、担当業務に対してITを活用していこうとする者 | ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者 |
試験時間 | 120分 | 190分(科目A+B) |
出題数 | 100問 | 80問(科目A 60問 + 科目B 20問) |
技術的深度 | ・ストラテジー ・マネジメント ・テクノロジー |
・科目A: ITパスポートとほぼ同様 ・科目B:アルゴリズム、データ構造、情報セキュリティなど |
これから受ける人へのアドバイス:
ITパスポートを既に取得している場合でも、基本情報技術者試験は別物として捉えて準備することが重要です。科目Aにおいては重複している箇所があるかもしれませんが、科目Bで出題されるアルゴリズムに時間をかけて勉強しておく必要があります。
あくまで私見となりますが、ITパスポートの延長線上に基本情報技術者試験があるのでそれだったら最初から基本情報技術者試験を受けるリターンが大きいと思います。新卒採用としても、未経験エンジニアとしても断然採用側からのウケがいいと思います。(ちなみに私は全然でした笑)
就職・転職における価値
基本情報技術者試験の位置づけ
プラス面:
- 基礎知識の証明: IT分野の幅広い基礎知識を体系的に学んだ証拠
- 学習意欲のアピール: 自主的な学習姿勢を示せる
- 書類選考での差別化: 同条件の候補者との差別化要素(実務経験を除いた書類比較として)
- 企業での優遇: 一部企業では資格手当や昇進要件として設定
注意すべき点:
- 万能ではない: 実務能力とは別物
- エンジニアとしての基礎: あくまでスタートライン
- 継続学習の必要性: 技術の進歩に合わせた継続的な学習が重要
それとなくいろいろ並べてみましたが、結局はただの資格です。公認会計士や弁護士といったような資格を合格しないと仕事ができないとは違って、影響する範囲が小さいわけです。上位資格ともなると話が違ってきましたがエンジニアとしてのスタートラインに立ったと思っていただければと。
余談ですが、エンジニアを目指している方に私はプログラミングスクールに通ってもいいと思います。プログラミングだけでなく、体系的なものを学べる上、どのコミュニティにもいるであろう先輩エンジニアの話を聞けるわけですからこんないいことはめったにない。おまけに国から補助金もありますので、少しの我慢で先の幸せをより早くつかめると思います。
受験を検討している方へのメッセージ
私自身、この試験を通してIT業界でキャリアを築くのに最初の資格としてはもってのほかだと思います。ここで学んだ知識はあなたがこれから目指す方向性が異なるにしろ、必ずどこかで見聞きするようなものです。自分を奮い立たせる成功体験を得られるのでぜひ皆さんの挑戦を心から応援しています。