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エンジニアリングマネージャーとしてこころがけていること

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これはEngineering Manager Advent Calendar 2018 22日目の記事です。
(遅刻しました、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。)


とあるIT企業で、エンジニアのチームのマネージャーをやっています。1

スロースターターかつスローモーなもので、10年以上マネージャーをやってきて、ようやくここ数年、自分なりのマネジメントのやり方に自信とか確信とかいうようなものができてきました。それまでは、上司や先任のマネージャーにダメを出されて自信がぐらぐらすることが多かったように思います。自信をぐらぐらさせながらも続けてきたことが結果になって表れるのを何度も経験したことと、同じ考えでマネジメントをやっている方々が自分以外にもたくさんおられることを最近知ったことで、「あ、俺、意外と間違ってなかったじゃん」と思えるようになってきた次第です。
そんな私の自分なりのやり方、意識してこころがけてきたことを、初めて文字にしてみました。EM Advent Calendar を書いている方々/読んでいる方々にとっては、あたりまえのことも多いかと思いますが、ご笑覧いただければ幸いです。


1. チームを心理的安全性の高い場にするために

マネージャーになった当初から (当時は「心理的安全性」という言葉はありませんでしたしそんな高尚なことを考えていたわけでもなく) 妙に気をつかった堅苦しいコミュニケーションをするのもされるのも嫌いで、私とチームのメンバーとの間もメンバー同士の間も、言いたいことをフランクに言い合える間柄にしたいと思っていました。そうなるように、と言うよりも、そうならなさそうで嫌なので避けていたことがこんな感じです。

上下関係にしない。 (「部下」「上司」という言葉を使わない、役職で呼んでもらわない)
辞令が出たその日に「課長って呼ぶの禁止な」と宣言しました。「部下」「上司」という言葉を使うのもやめました。
自分のダメなところも隠さず晒す。
私が、マネージャーとしてどころか社会人としてどうよっていうくらいのダメっぷり ─ 期限を守れないとか…このエントリみたいに ─ なもので、隠そうにも隠しようがなかったというのがほんとのところです。
叱らない、提案する。人前ではやらない。
否定しない、なにごとも一旦は「共感」する。
自分が「上司」からやられてモチベがだだ下がりになったことが反面教師になりました。
褒めない、感謝する。みんなの前でやる。
お気づきかと思いますが、アルフレッド・アドラーの受け売りです。これはごく最近知って、変えました。

2. チームを自律的組織にするために

「自律的な組織にしましょう」とは昔も良く言われていたのですが、そのわりには、いちばんダメ出しを食らって自信がぐらぐらしたのがこのあたり、指示しないこと、決定・決断しないことでした。

指示しない、提案・アドバイスする。
決断・決定しない、チームに任せる。チームの決断・決定は無条件に支持し責任をとる。
私が、適時的確に、指示したり決断したりできるほど有能ではなかったってだけです。 その代わりというか、私にでもできることは「ケツを持つ」ことくらいだと思ってそこは徹底しました。
情報は原則オープン。アクセスを制限しない。
どうも日本人は (って主語大きすぎかもですが)、原則「非公開」例外的に「公開」なことが多くて不満だったことの裏返しです。ただし、制限はしてませんが、積極的に共有できているかというと、なかなか大変でまだまだできているとは言えません。
思いを、ありたい姿を語る。常に、何度も。
「マネージャーは組織のビジョンをチームのビジョンにブレークダウンしてチームに伝えるべし」みたいなことをよく言われますが、そう簡単に伝わりゃ苦労はしません。組織の/チームのビジョンを自分の「思い」まで消化/昇華して、何度も何度も「あー、また言ってるよ」と言われるくらいまで、ことあるごとに語らないと伝わらないよなと、これだけは長年やっていたおかげで、実感しました。

3. 人を活かす

得意がない人はいない、だめな人もいない。全力で得意を見つける。
問題行動は「場」が原因、場を改善して解決する。
問題の原因は人ではない、コト。
このへんも昔からなんとなく思っていたことですが、ここ数年の実体験で確信に変わってきました。 得意なことが見つかったり、場が (心理的安全性が高いとかに) 変わるだけで、人って変わります。 ただし、得意なことを見つけたり、安全な場で心を丸腰にして動けるようになるまでに、年単位の時間はかかります。
得意をメンバー間で相互補完する。不得意を無理に改善させない。
多様性を全面的に肯定する (得意不得意、性格、考え方、働き方、etc)
学生のときは「不得意科目の点数を伸ばしなさい」とよく言われたものですが、それは得意科目には100点満点という上限があったからなんですね。でも社会に出たら満点も上限もありませんから得意なことは伸ばし放題、不得意を改善するよりも、本人にとってもチームにとってもはるかにお得だと思うのです。

4. サーバント リーダーシップ

これも、言葉を知らないころから、自信はないながらもなんとなくそのように行動していました。最初は Simon Sinek だったと思いますが、この考え方を知って膝を打ちました。その後、前述のアドラーロッシェル・カップさんなど、いろいろな方の知見で

「信用」ではなく「信頼」する (無条件に信じる)。性善説に立つ。
チームとメンバーを守る盾になる。

5. 技術

技術力では、チームメンバーにはまだ負けないぞ、と思っています。もちろん、技術のディテールや実践経験でチームメンバーを上回るのは難しいですが、自分の知識・知見を常にアップデートして、チームが技術で困ったとき・悩んだときには一緒に悩めるように、高い視点と広い視野は維持し続けたいと思っています。

チームに高い視点と広い視野を提供する。
悩むときは一緒に悩む

私のこういう「こころがけ」がどれだけ奏功しているかは検証できていませんが、今のところチームは、私が年寄りゆえに研修や啓蒙などの業務に引っ張って行かれてなんだかんだで1週間くらいオフィスに顔を出せなくても何の問題もなく(?)回っているし、親子に近いくらい年齢の離れたメンバー同士が相互に教え・教えられしているし、いい感じに回っていると思います。でも実は私には見えていない問題を抱えているかもしれないし、近い将来何かをきっかけにおかしくなり始めるかもしれない。この「こころがけ」は、EM MeetupEM.FM や、ここ集まったみなさんの知見も参考にさせていただきながら、アップデートし続けていかないといかんと思っています。


  1. 実は、マネージャーになった当時の肩書は「課長」だったとか、今は既に役職定年して「マネージャー」という肩書ではなくなっているとか、細部が正確ではありませんが、そこは本題ではないのでよしなにお願いいたします。 

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