ストレージクラスとは
S3では借りられるストレージの種類が各種用意されている。ストレージ種類のことをストレージクラスと言う。
ストレージクラスは、標準クラスやアクセスパターンに応じて階層(コストが異なる層のこと)を移動できるクラス、
あまりアクセスしないデータに適したクラスなどがあり、使用用途に合わせて選べる。
バケット(オブジェクトを格納するコンテナ)単位でなく、
オブジェクト(ファイル)単位でクラスを選択できる。
ストレージクラスの変更は手動でも行えるが、ライフサイクルポリシーを設定すると自動で行える。
ストレージクラスの種類
標準(Standard)
標準は最もスタンダードなストレージクラス。
3つ以上のAZ(アベイラビリティーゾーン)にデータが保存されるため、99.9%の可用性(システムが稼働し続けること)が保証されている。
データの取り出しに料金はかからず、最小キャパシティ(最小値)料金なし、日割り計算なのでシンプルで使いやすい。
Intelligent-Tiering(IT)
S3 Intelligent-Tieringでは、高頻度・低頻度それぞれに最適化された2つの階層にオブジェクト(ファイル)を保存する。
どちらに保存されるかは、オブジェクトごとにモニタリングされ、その結果に応じて自動的に稼働される。
このクラスでは取り出し料金がかからない。またアクセス階層間の移動にも料金がかからない。
よく使うファイルと使わないフィイルが混在していて、頻度が変わるような使い方をするときにコストを抑えられる
低頻度アクセス(IA)
標準クラスに比べ、保存料金が安価に設定されている代わりに、アクセス料金が若干高く設定されている。
アクセス頻度は低いものの容量の多いデータなどの適している。
また、低頻度アクセスの中にも2種類のストレージクラスがあり、
標準-低頻度アクセス(Standard-IA)と1ゾーン-低頻度アクセス(One Zone-IA)がある。
この2つでは保存に使用されているAZの数が違う。
Standard-IAは少なくとも3つ以上のAZに保存されるが、One Zone-IAは1箇所のみ。
そのため、その地域に物理的なトラブルが起きると、データが失われる可能性がある。
低冗長化ストレージ(RRS)
低冗長化ストレージ(RRS)は、正確にはストレージクラスではなく、
そのオプションという扱いですが、1種類しかないため、実質はストレージクラスの1つと考えていい。
標準ストレージに比べて、冗長化のレベルを下げることで、低価格での提供を実現している。
保存されるAZは1箇所なので、データが失われる可能性がある。
S3 Glacier/S3 Glacier Deep Archive
Clacierはデータアーカイブ、及び長期のバックアップを意識して作られたストレージクラス。
他のクラスと同じ99.999999999%(イレブンナイン)の耐久性ながら低価格なので、大量のデータを低コストで保存することができる。
データは「ボールド」というコンテナに格納される。そのため、保存したデータを読む場合は、ほかのS3バケットへの取り出し操作が必要。
基本的には一部データだけでなく、丸ごとデータを取り出す。しかし、Glacier上のデータと取り出し先のデータ両方に保存料金がかかる。
ストレージクラスの基本的な違い(RRSを除く)
ストレージクラス | Standard | IT | Standard-IA | One Zone-IA | Glacier | Glacier Deep Archive |
---|---|---|---|---|---|---|
可用性 | 99.99% | 99.9% | 99.9% | 99.5% | 99.99% | 99.99% |
保存されるAZ | 3AZ以上 | 3AZ以上 | 3AZ以上 | 1AZ | 3AZ以上 | 3AZ以上 |
データの取り出し費用 | なし | なし | あり | あり | あり | あり |
モニタリング費用 | なし | なし | あり | なし | なし | なし |
オートメーション費用 | なし | なし | あり | なし | なし | なし |