こんにちは!今回は、生成AIと著作権について、提供者としての視点と作品を作るクリエイターとしての視点の両面から解説します。以前のブログ記事「文化庁「AIと著作権に関する考え方について」(令和6年4月)を読んで気になったところ」では主に著作権侵害の定義について取り上げましたが、今回はさらに進んで、AI提供者としてのガイドラインやクリエイターとしての対応策について詳しく紹介します。この資料は、文化庁がまとめた「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(令和6年7月31日発行)を参考にしています。
法律に関しては詳しくないので、あくまで私の解釈ということでご注意お願いします。詳しくは本文を参照し、専門家に相談してください。
資料では、生成AIに関わるステークホルダーを以下の4つのカテゴリに分類しています。
- AI開発者: システムやアルゴリズムを開発する人
- AI提供者: 開発されたAIをサービスとして提供する人
- AI利用者(業務利用者): 事業でAIを利用する人
- 業務外利用者(一般利用者): 個人的にAIを利用する人
今回は、この中から「AI提供者」と「AI利用者(一般利用者)」に焦点を当てて解説します。
1. 「AI提供者」としての視点
1.1 類似生成物の防止
生成AIが著作物に類似したコンテンツを生成することを防ぐための技術的措置を導入することが推奨されます。例えば、学習データの出所を明確にし、生成物が特定の著作物と高い類似性を持たないようにするフィルタリング技術の実装が考えられます。これにより、法的リスクの低減が図れます。一定の場合にAI提供者も責任を問われる可能性があるため、注意が必要です。
1.2 情報提供と透明性
AIサービスを提供する際には、利用者に対して透明性のある情報提供を行うことが求められます。どのようなデータが使用されているか、アルゴリズムの基本的な仕組みを説明することで、利用者の安心感を高めることができます。また、利用者が著作権侵害を行わないよう、適切な使用方法を示すことも重要です。
1.3 利用規定での明文化
生成AIを利用させるに際して、利用者による著作権侵害行為を抑制するための利用規約を整備することが必要です。例えば、「著作権を侵害する可能性のあるコンテンツの生成を禁じる」といった利用規約を明示し、ユーザーが違反行為を行わないようにすることで、AI提供者が侵害の責任を問われる可能性を低減できます。
2. 「AI利用者」としての視点
2.1 利用前の確認事項
AI利用者としては、利用する前に生成AIの仕組みや特性を理解し、提供された学習済みモデルや利用規約を確認することが重要です。特に、著作権侵害のリスクを避けるためには、使用されている学習データやモデルに関する情報をしっかりと確認し、適正な利用方法を理解しておくことが求められます。
2.2 生成物の著作権確認
生成されたコンテンツが既存の著作物に類似していないかを確認することも重要です。特に商業利用を考えている場合は、生成物が著作権を侵害しないように注意する必要があります。インターネット検索などを行い、類似性のチェックを行いましょう。また、他の作品に依拠していないことを示すために、生成の過程や使用したプロンプトを記録しておくと良いでしょう。
2.3 著作物の入力に関する注意
AIに既存の著作物を入力して生成を行う場合、「その著作物を複製して使用する意図がある」と見なされる可能性があります。したがって、著作権法の制限内での利用かどうかを確認し、必要であれば権利者の許諾を得ることが重要です。
2.4 問題発生時の対応策
万が一、生成物が著作権を侵害している疑いがある場合には、すぐに利用を停止し、提供者や関係者に報告することが必要です。「まさか自分が!?」にならないよう、生成AIを使う人は問題が起きる可能性まで考慮しておきましょう。
おまけ:クリエイター(AI利用者)としての視点
3.1 自身の作品の保護
クリエイターとして、自身の作品が無断でAI学習データとして使用されないよう、権利管理を徹底することが重要です。発見した場合は、適切な対応を取りましょう。
3.2 類似生成物の発見と対応
自身の作品と類似したAI生成物を発見した場合、類似性と依拠性を確認し、必要に応じて法的措置を取ることができます。差止請求や損害賠償請求の手続きを行うことも考慮しましょう。
終わりに
AI提供者として、適法なデータ利用、技術的な安全策の導入、透明な情報提供、そして問題発生時の迅速な対応は、著作権侵害のリスクを最小限に抑えるために不可欠です。AI利用者も、適切な利用方法を理解し、問題が発生した際には迅速に対応することで、生成AIを安全に活用できます。皆さんも、これらのガイドラインを参考に、生成AIの活用を楽しんでください!