はじめに
これは「エンジニア集会 Advent Calendar 2025」9 日目の記事です。
こんにちはやまいしです。
最近VRChat (以後VRCと表記) というゲームにはまっており、周辺機器やギミックを作って遊んでいます。
本記事では1万円という格安投資でフルボディトラッキングとPCVRを始めようとして、半分成功し半分失敗した話をしようと思います。
背景
Twitterにいる技術屋さんみんな (クソでか主語) VRCやってるな~と思って始めたのが始まりです。アバターやワールドの改変に手を出していたらやはりハード屋の血が騒ぎ始め、せっかくなのでVR機材とトラッカーを作ろうと思い立ちました。
目的
そんなものはない
原価でほしけりゃ自分で作れ、ということでVR機材とトラッカーを自作してみることにしました。
方法
トラッカー
いろいろな方法を試しました。以下それぞれの方法の所見です。
機械式
トラッカー自作にあたり、最初に試したのは機械式です。なぜかって?IMUなどに特有のドリフト問題を回避しようと欲張ったからです。フルボディトラッキングって結局全身の関節の角度を取ってるだけなので、腕に直接角度センサつければできるんじゃね?という目論見です。しかしこの目論見は外れることになります。

上の画像がその時の試作CADです。肩の角度をとるだけでこんなにゴテゴテしてしまいます。肩関節は球関節なので3自由度で (というか肩甲骨の動き加えたらもっと) 動くんですよね。その動きを外付けの骨格で取るのはまあまあ困難な上、VRCに入るたびに外骨格つけるのは利便性の観点からたいへん面倒なのでこの案は没になりました。
光学式
検討の結果、じゃあもうカメラでええやんになり試したのが光学式です。通常のカメラだとマーカーや体の認識が面倒なので、赤外線カメラを買うことにしました。Aliexpressで2400円の赤外線カメラがあったので3台お買い上げ。

上画像は自作の赤外線マーカーです。
気になる結果は...
画角狭すぎ部屋狭すぎ全身映んねえ!って感じでした。キャリブレーション面倒なことも発覚し、これも没。
IMU方式
結局これじゃねという感じです。カメラなど使わないので布団の中で寝ながらプレイしてもトラッキング飛ばないし。
さらにSlimeVRというOSSもあるということで、ソフトよわよわな私は気づけばIMU方式の基板設計を始めていました。

さくっと基板を起こして

例のごとくJLCPCBでPCBA (部品実装) までやってもらいました。
IMUはLSM6DSVを採用。
マイコン (ESP32C3) と電池ボックスは手はんだにしました。
基板エッジでコネクタを作ってコストカットしています。20枚発注し、基板1枚の原価は約1130円となりました。
回路設計においては
霧雨なのは@ボイチェン地雷系Vtuber (X:@kirisamenanoha) 氏
のトラッカーをかなり参考にさせてもらいました。ありがとうございます。

外装は3Dプリントで適当にあつらえました。よい時代です。
SlimeVRをGitHubから落としてきて、PlatformIOで少し改変して終わりです。とっても簡単でした。
VR機材について
1万円以下に収めるべく、Wiiヌンチャクをコントローラとし、VRヘッドセットにはスマホを使ってみました。
決算発表!
フルトラ (6点) の原価を出してみました。単位: 日本円。
| 項目 | 単価 | 個数 | 小計 |
|---|---|---|---|
| 基板実装 | 710 | 6 | 4,260 |
| ESP32 | 340 | 6 | 2,040 |
| 電池ボックス | 80 | 6 | 480 |
| 3Dプリント | 50 | 1 | 50 |
| 固定用テープ | 580 | 1 | 580 |
| 電池 | 50 | 6 | 300 |
| Wiiヌンチャク | 110 | 2 | 220 |
| スマホVR | 1,500 | 1 | 1,500 |
| 合計 | 9,430 |
なんと1万円以下に収まってしまいました!目標達成ですね!
ただし試作や余分のコストは見ないことにします。見たくない...
使ってみよう
- フルボディトラッキング成功
- iVRyでスマホVRも映った
- レティクルが出ないので、メニュー開いても選択ができない
- 上の理由で、VRC内でトラッキング初期化ができないので、VRCでトラッキングデータを受け取れない
こんな感じの結果となりました。一応成功ではあるが、メニュー選択できない時点で詰んでますね...
結局...
これが俺の答えや。
市販品に自作で勝つことは、真っ向勝負では基本的に無理です。
自作はロマンでやるものです。楽しけりゃそれでいいんです。
実際に自作してみて、知識も経験も身についたし、後悔はしていないです。
今はMeta Questに感動しながらときどきフルトラで遊んでいます。楽しい。
というわけで本記事はここらで終わりにします。
最後に一言。
自作ハードは楽しいぞ!





