はじめに
Webアプリケーションのアクセシビリティは、ユーザーが利用しやすいかどうかを左右する重要な要素です。障害のあるユーザーやアシストテクノロジーを利用するユーザーにも良好なユーザーエクスペリエンスを提供するために、アクセシビリティを考慮したコンポーネントを開発することが必要です。そこで登場するのが「React Aria」です。
React Ariaとは?
React Ariaは、アクセス可能なUIプリミティブを提供するReact Hooksのライブラリです。WAI-ARIA Authoring Practicesに従い、スクリーンリーダーやキーボードナビゲーションのサポートを提供します。これにより、ユーザーがアプリケーションをより簡単に操作できるようになります。
WAI-ARIA Authoring Practicesとは?
WAI-ARIA Authoring Practices(以下、Authoring Practicesと略します)は、Web Accessibility Initiative(WAI)によって提供されるアクセシビリティに関するガイドラインの1つです。Authoring Practicesは、開発者やコンテンツ作成者に対して、アクセシビリティに配慮したWebコンテンツを作成するためのベストプラクティスや方法論を提供します。特に、WAI-ARIA(Accessible Rich Internet Applications)仕様の実装に関する具体的な指針を含んでおり、ユーザーにとってよりアクセス可能なWebアプリケーションを作成するための支援を行っています。
React Ariaコンポーネント一覧
以下は、React Ariaが提供するアクセス可能なUIコンポーネントの一覧です。
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Button
- マウス、タッチ、キーボードでアクションを実行するボタンを提供します。
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ToggleButton
- 二つの状態を切り替えるトグルボタンを提供します。
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ComboBox
- テキスト入力とリストボックスを組み合わせたコンボボックスを提供します。リストのオプションをフィルタリングして選択することができます。
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Select
- 折りたたみ可能なオプションのリストを表示し、ユーザーが一つを選択できるセレクトボックスを提供します。
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Menu
- アクションやオプションのリストを表示し、ユーザーが選択できるメニューを提供します。
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ListBox
- 選択可能なオプションのリストを表示し、ユーザーが一つまたは複数を選択できるリストボックスを提供します。
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GridList
- キーボードナビゲーションや行の選択、アクションを含む対話型アイテムのリストを表示します。
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Table
- 行と列でデータを表示し、行の選択やソートを行うテーブルを提供します。
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TagGroup
- アイテムのリストを表示し、キーボードナビゲーション、選択、削除をサポートするタググループを提供します。
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DatePicker
- 日付フィールドとカレンダーのポップオーバーを組み合わせた日付ピッカーを提供します。
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DateRangePicker
- 二つの日付フィールドとレンジカレンダーのポップオーバーを組み合わせた日付範囲ピッカーを提供します。
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DateField
- キーボードで日付の値を入力・編集できる日付フィールドを提供します。
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TimeField
- キーボードで時刻の値を
入力・編集できる時刻フィールドを提供します。
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Calendar
- 日付のグリッドから単一の日付を選択できるカレンダーを提供します。
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RangeCalendar
- 日付のグリッドから連続した範囲の日付を選択できるレンジカレンダーを提供します。
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Dialog
- 他のコンテンツの上にオーバーレイ表示されるダイアログを提供します。
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Popover
- トリガー要素に対してポップオーバーでインタラクティブなコンテンツを表示します。
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Tooltip
- 要素にホバーまたはフォーカスした際に説明を表示するツールチップを提供します。
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Checkbox
- 単一のオプションを選択するためのチェックボックスを提供します。
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CheckboxGroup
- 複数のオプションのリストから一つ以上のオプションを選択するためのチェックボックスグループを提供します。
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RadioGroup
- 複数のオプションのリストから一つだけを選択するためのラジオボタングループを提供します。
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Switch
- オンとオフの状態を切り替えるためのスイッチを提供します。
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TextField
- キーボードでプレーンテキストを入力・編集できるテキストフィールドを提供します。
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SearchField
- 検索クエリの入力とクリアが可能な検索フィールドを提供します。
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NumberField
- 数値の入力、増減が可能な数値フィールドを提供します。
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Slider
- 指定された範囲内で値を選択できるスライダーを提供します。
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Tabs
- 複数のセクションにコンテンツを整理し、ユーザーが1つを表示できるタブを提供します。
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Link
- 他のページに遷移するためのリンクを提供します。
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Breadcrumbs
- 現在のページやリソースへの階層を表示するためのパンくずリストを提供します。
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ProgressBar
- 操作の進捗状況を時間の経過とともに表示するプログレスバーを提供します。
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Meter
- 既知の範囲内の数量や割合を表現するメーターを提供します。
まとめ
React Ariaは、アクセス可能なUIコンポーネントを簡単に作成できる強力なライブラリです。WAI-ARIA Authoring Practicesに従い、国際化対応もされているため、多様なユーザーに対して高品質なユーザーエクスペリエンスを提供することができます。ぜひReact Ariaを使って、アクセス可能なWebアプリケーションを開発してみてください!
公式URL: React Aria
以上が、React Ariaについてのテックブログ記事となります。アクセシビリティに配慮したWebアプリケーションの開発に役立てていただけると幸いです。ご確認ください。