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人工知能概論【第十五講】

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Last updated at Posted at 2026-02-24

Lecture 15: Prompt Engineering and Useful LLM Tools

プロンプトエンジニアリングとLLMの便利ツール

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今回のテーマ

これまでの講義で自然言語処理の歴史、LLMの仕組みとリスク、そしてRAGやAIエージェントといった発展的な技術を学んできました。
今回は、これらの強力なAIを日常業務や学習で最大限に使いこなすための実践的なテクニックとして、「プロンプトエンジニアリング」の基礎と、LLMと非常に相性の良い「便利ツール(NotebookLM、Mermaidなど)」について解説します。

1. プロンプトエンジニアリングの基礎:AIを上手く操る技術

AIに対する指示文のことを「プロンプト」と呼びます。プロンプトエンジニアリングとは、LLMから望む精度の高い出力を引き出すために、指示文の構成や与え方を最適化する技術のことです。

近年はAIモデルの性能が飛躍的に向上したため、「プロンプトエンジニアリングはもう下火になった(不要になった)」と思われがちです。しかし、業務に合わせた独自の出力形式や、AIの論理展開を意図的にコントロールしたい場面では依然として強力であり、AIを使いこなす上でまだまだ必要不可欠な基礎技術です。プロンプトの質がそのまま回答の質(品質・正確性)に直結することをしっかり意識しておきましょう。

■ 代表的なプロンプトのテクニック

  1. Zero-shot Prompting(ゼロショット)
    予備知識や例を与えず、直接質問を投げかける方法です。最近のLLMはこれだけでも十分に高い精度を出しますが、複雑なタスクには不向きな場合があります。
  2. Few-shot Prompting(フューショット)
    質問文の中に「例(Q&Aのペアなど)」をいくつか含める方法です。希望する出力形式やトーン(口調)をAIに学習させることができ、回答のブレを抑える効果があります。
  3. 役割(ロール)の付与
    「あなたはプロの編集者です」「あなたは経験豊富なPythonエンジニアです」といった役割を前置きとして与えることで、LLMはそのドメイン(専門領域)に合わせた適切な言葉遣いや専門知識を引き出しやすくなります。
  4. 制約条件と出力形式の指定
    「箇条書きで3点にまとめること」「文字数は300字以内」「Markdownの表形式で出力すること」など、出力フォーマットを明確に指定することで、後の作業を大幅に効率化できます。
  5. Chain of Thought(思考の連鎖 / CoT)
    「ステップ・バイ・ステップで考えてください(Think step by step)」などの指示を含め、AIに対して思考や推論の過程を言語化させる手法です。複雑な論理パズルや計算などで回答精度を飛躍的に高めることができます。

2. ツール導入の前に:ツール活用とDXの本質

これから具体的なAIモデルや便利ツールを紹介していきますが、ここで一つ釘を刺しておきたい重要なポイントがあります。

私自身、これから紹介するAIツールを日常業務で多用しており、その強力さを日々実感しています。しかし、AIツールを導入し、ただ使うこと自体がDX(デジタルトランスフォーメーション)ではないという点には十分に注意してください。

これらはあくまで「手段」に過ぎません。このツールを用いて既存の業務プロセスをどう変革させていくか、どう新しい価値を出していくかを考え、実行することこそがDXの本質です。ツールの導入そのものを目的(ゴール)にしてしまうのではなく、組織の変化や価値創造に向けた強力な武器として活用するという視点を常に忘れないようにしましょう。

尚、本講座は非エンジニア向けに執筆しているため、エンジニア向けの便利ツールの説明は割愛させていただきます。

3. 実務で役立つ代表的な生成AIモデル(Gemini・Claude)

プロンプトエンジニアリングを実践する上で、「どのAIモデル(LLM)を選ぶか」は非常に重要です。ここでは、最新のAI事情として特に業務やリサーチで利用される2つの代表的なサービスを紹介します。ChatGPTはあまりにも有名すぎるので割愛します。

■ Googleのエコシステムと連携:Gemini

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Geminiは、Googleが開発した生成AIです。
Gmailやドキュメント、スプレッドシートといったGoogle Workspaceとシームレスに連携し、日々の業務効率を飛躍的に向上させます。

  • 巨大なコンテキストウィンドウ: 最上位モデル「Gemini 3.1 Pro」は、巨大なコンテキストウィンドウを持ち、膨大な資料や音声を一度に読み込んで分析・要約することが可能です。

  • Gemini AI Pro(有料版): 月額2,900円のプランでは、最上位モデルの利用や、インターネット上の情報収集と分析を強化したDeep Research機能の制限が大幅に緩和されます。更に音楽生成から動画生成、画像生成まで可能になります。ストレージも2TBと大容量です。更にその他便利ツールへのアクセスができます。whiskやFlow、AntigravityやGeminiCLI、スライド生成やNanobanana Proなど素晴らしいです。正直ほかの契約ChatGPTとかは入り込む余地がありません。詳細はGeminiの料金プランを参照してください。困ったらGeminiです!熱が入りすぎてしまいましたね、オタクなので。

  • 充実した無料枠(API): Geminiで提供されるAPIは、充実した無料枠が特徴で、開発者がコストを気にせず機能を試せる環境が整っています。

  • データの学習に関する注意点: Gemini(通常の無料ウェブ版など)は、デフォルトの設定のままだとユーザーの入力データがAIの学習に利用される可能性があります。業務で機密情報を扱う場合は、設定から学習利用をオフにするなどの対策が必須です。

リサーチ業務やデータ分析、Googleサービスを多用するユーザーに最適な選択肢です。

■ Geminiを無料で試せる実験室「Google AI Studio」

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Google AI Studioでは、Googleが開発した最新のGeminiモデルを使って、さまざまな生成AIの体験ができます。ここで利用できるAIそのものはGeminiであり、Google AI StudioはそのGeminiを実際に動かして試すための「実験室」となっています。特別な開発環境を用意しなくても、ブラウザからすぐに以下のようなことが可能です。

  • Gemini Proなど最新モデルを無料で試す: Gemini Proをはじめとする最新の生成AIモデルにアクセスでき、自然で精度の高い文章生成や複雑な情報処理を無料で体験できます。初めての方でも手軽にAIの性能を試せる環境です。
  • テキスト生成(文章作成・要約・翻訳など): レポートや記事の下書き作成、長文要約、英語⇔日本語の翻訳などに対応。日常業務からビジネス文書まで幅広く活用できるため、執筆時間の短縮や情報整理に役立ちます。
  • 高精度な文字起こしと音声生成: 筆者自身が日常業務で最も多用している機能です。非常に精度が高く、とりわけ音声生成においては、アナウンサー並みに淀みのない流暢な日本語音声を出力してくれるため、動画や音声コンテンツ等の制作に非常に有用です。
  • コード生成やアプリへの組み込み検証: 自然言語の指示でプログラムコードを自動生成し、アプリやWebサービスにAI機能を組み込むPoC(概念実証)にも活用可能。開発者やエンジニアが効率的に試作・検証を進められる強力なサポートツールです。
  • プロンプト作成・調整(プロンプトデザインの学習にも): 「どんな指示を出せば望む出力が得られるか」を試行錯誤でき、プロンプトエンジニアリングの練習環境としても最適。AIとのやり取りを通じて、より的確な指示文を設計するスキルが身につきます。

■ 長文と倫理性の覇者:Claude

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Claudeは、Anthropicが提供する生成AIで、安全性と倫理性が高く評価されています。
不正確な情報や有害なコンテンツの生成を抑制するようAIに学習させており、ビジネス文書の作成や顧客対応など、信頼性が求められる場面に適した生成AIです。

  • 業界最高レベルの長文処理能力: 最大の武器は長文処理能力です。最新モデル「Claude Opus 4.6」は、Opusクラスモデルとして初めて最大100万トークンに対応したコンテキストウィンドウを備え、超長文でも文脈を維持したまま高精度な処理が可能です。さらにコーディングでは、複雑なコードの生成やデバッグにおいても高い精度を発揮します。
  • データの学習について(安心): Claudeはデフォルトでユーザーの入力データをAIモデルの学習に利用しません。そのため、機密性の高いビジネス文書や顧客対応データも安心して扱うことができます。

Claudeは、法務、研究開発、出版といった専門分野やビジネスシーンでの活用が最適な生成AIです。

4. 話題のLLM特化ツール①:NotebookLM

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Googleが提供しているNotebookLMは、LLMの用途を「学習・リサーチの補助」に特化させた革新的なツールです。

■ NotebookLMの特徴と強み

通常のChatGPTやGeminiなどのチャットAIは、モデルが学習した広範な知識から回答を生成します(そのためハルシネーションのリスクがあります)。
一方、NotebookLMは「ユーザーがアップロードした資料(PDF、テキスト、Googleドキュメント、WebサイトのURLなど)のみ」を情報源(ソース)として回答を生成します。筆者がノーコードの中では最も活用しており、最もおすすめのツールです。ハルシネーションのリスクがかなり低いです。

これは、第十四講で解説したRAG(検索拡張生成)の環境を、個人がノーコードで即座に構築できるツールと言えます。

  • ソースに忠実な回答: アップロードした資料に書かれていないことは「資料には記載されていません」と答えるため、ハルシネーションのリスクが極めて低いです。

  • 強力なリサーチ機能: 複数の長文PDF(論文や社内マニュアルなど)を横断して検索し、要約や関連部分の抽出を瞬時に行うことができます。

  • データの学習について(安全): NotebookLMも、ユーザーがアップロードした資料や質問内容をAIモデルの学習に利用することはありません(デフォルトで学習なし)。クローズドで安全なRAG環境を手軽に構築できます。

※注意点として、機密情報や個人情報を含む社内資料をアップロードする際は、利用規約や社内セキュリティポリシーを必ず確認する必要があります。

■ NotebookLMの多彩な出力機能

NotebookLMは単なる質疑応答にとどまらず、資料からワンクリックで様々な形式のコンテンツを生成できます。

  1. 音声解説 (Audio Overview)
    • 内容: アップロードした資料の内容を、2人のAIホストがポッドキャストのような対話形式で解説してくれる機能です。
    • 特徴: 難しい内容を噛み砕いて話してくれるため、移動中などの「ながら学習」に最適です。
    • 生成物: 数分〜10分程度の音声ファイル。
  2. スライド資料 (Slide Material)
    • 内容: 資料の内容をプレゼンテーション用の構成案としてまとめます。
    • 特徴: 各スライドのタイトルや要点、構成を提案してくれるため、発表資料作成の時間を大幅に短縮できます。
    • 生成物: プレゼン用のテキストベースの構成案。
  3. 動画解説 (Video Overview)
    • 内容: 動画制作のためのスクリプト(台本)や、動画で説明する際のポイントを生成します。
    • 特徴: YouTubeなどの動画コンテンツとして情報を発信したい場合のベースとして使えます。
    • 生成物: 動画用シナリオや構成案。
  4. マインドマップ (Mind Map)
    • 内容: 資料に含まれる主要な概念やキーワードのつながりを、階層構造で整理します。
    • 特徴: 複雑な情報の全体像を視覚的に把握するのに役立ちます。
    • 生成物: 概念図のテキストまたはプレビュー。
  5. レポート (Report)
    • 内容: 特定のテーマに基づき、情報を網羅的かつ構造的にまとめた文書を作成します。
    • 特徴: 論文の要約や、業務上の調査報告書のドラフトとして活用できます。
    • 生成物: フォーマルな構成のドキュメント。
  6. フラッシュカード (Flashcards)
    • 内容: 資料の中から重要な用語や概念を抽出し、問題と答えのペアを作成します。
    • 特徴: 学習や試験対策、専門用語の暗記に便利です。
    • 生成物: 暗記カード形式のリスト。
  7. クイズ (Quiz)
    • 内容: 資料の内容をどれくらい理解できているかを確認するためのテストを作成します。
    • 特徴: 研修の理解度チェックや、自分自身の学習の定着度を確認するのに使えます。
    • 生成物: 選択肢付きの問題と正解。
  8. インフォグラフィック (Infographic)
    • 内容: データやプロセスを視覚的に分かりやすくまとめるための構成案です。
    • 特徴: 数値やステップをグラフィカルに表現したい際のデザイン案として使えます。
    • 生成物: 視覚的構成案のテキスト。
  9. Data Table (データテーブル)
    • 内容: 資料内に散らばっている数値データや項目を抽出し、表形式で整理します。
    • 特徴: 複数の資料から特定のデータを比較・集計したい時に非常に強力です。
    • 生成物: 整理されたテーブル(表)。

5. 論文検索に特化したAIツール②:Elicit

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Elicitは、非営利の機械学習研究ラボであるOughtが開発した論文検索AIです。
Semantic Scholarの1億本超の論文データベースと連携しており、検索結果をAIが要約し出力してくれます。(2025年11月現在では1.38億本以上)

特に注目すべきは、NASAやスタンフォード大学をはじめ世界の大学・公的研究機関でも活用されているほど信頼性の高いツールだという点です。エビデンスに基づいた論文情報を短時間で収集でき、リサーチを大きく効率化できます。

特にエンジニアとして研究レベルの開発を行う場合に重宝するツールです。

6. LLMと極めて相性が良い記述言語③:Mermaid

LLMは文章の生成は得意ですが、そのままでは図解(フローチャートや構成図)を出力することができません。しかし、「図解を生成するためのコード(テキスト)」を出力させることは非常に得意です。そこで活躍するのがMermaidです。

■ Mermaid記法とは

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Mermaidは、Markdownテキストを利用して様々な図表(フローチャート、シーケンス図、ガントチャート、クラス図など)を動的に描画するためのテキストベースのツールです。GitHubやQiitaなど、多くのエンジニア向けプラットフォームで標準サポートされています。

■ なぜLLMと相性が良いのか?

「この業務フローを図にして」と指示する際、LLMに画像を作らせるのではなく、この業務手順をMermaid記法のコードで出力してとプロンプトで指示します。
構造化されたテキスト情報を出力するのはLLMの得意分野であるため、高精度なMermaidコードが一瞬で生成されます。それをQiitaやNotion、Markdownエディタに貼り付けるだけで、綺麗な図解が完成します。

【プロンプト例】

以下の「問い合わせ対応フロー」を、Mermaidのフローチャート(TD)で記述してください。

  1. 顧客からメールを受信
  2. AIが内容を一次判定
  3. クレームなら人間の担当者へ通知
  4. 一般の質問ならテンプレートで自動返信

【Mermaidによる出力結果】

このように、プロンプトとMermaidを組み合わせることで、テキスト入力 → LLMによる構造化 → 図解の自動生成という強力な効率化パイプラインを構築できます。蛇足ですが、必ずホームページで試してみてください。美しさの精度が違います。このようにLLMから中間出力を得て、生成物を得るということは現在でもよく使われる手法の一つです。Pythonコードからスライド自動生成などもできますが、これはまたの機会ということで。

まとめ

  • プロンプトエンジニアリング: 指示の具体化、役割の付与、例の提示(Few-shot)、思考の連鎖(CoT)による論理展開の指定などを駆使することで、LLMの出力精度と利便性は劇的に向上します。
  • 代表的な生成AI: 優れたエコシステムを持つ「Gemini」と、長文処理・安全性に長けた「Claude」など、目的に合わせたモデル選びが重要です。
  • NotebookLM: 個人の資料に基づいたクローズドなRAG環境を手軽に構築でき、リサーチや長文読解に革命をもたらします。
  • Elicit: 膨大な論文データベースと連携し、エビデンスに基づいた高精度な検索と要約を行う研究・リサーチ特化のAIツールです。
  • Mermaid: テキストから図解を描画できるツールであり、LLMとの組み合わせで「図解の自動生成」が可能になります。

単にAIにおしゃべりさせる段階を抜け出し、「適切なプロンプト」で「便利なツール」と組み合わせることこそが、実務でAIを活用する「真のAIリテラシー」と言えるでしょう。

■筆者のひとりごと

今回は熱をあげて書きましたが、いいものですね。たまには。
結局今のツールとしての結論は、NotebookLMとMermaidあたりなんでしょうかね。
ほんとうにエンジニアとしておすすめしたいツールは、ほかにあるんですがここでは余白が狭すぎるということで。
非エンジニアが課金するなら正直Geminiが一番ですね。単体ならClaudeやGPTも戦えるのですが、プランとしては圧勝でしょう。

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