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日本企業のERP導入史を、情シス視点で振り返る

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Last updated at Posted at 2026-06-04

本記事は、現場で見てきた個人的な感覚をもとに振り返ったものです。
事実誤認や時期のズレなどがあるかもしれませんし、
それってあなたの感想ですよね。も含まれる可能性もあります。

ERPってなに

ERP(Enterprise Resource Planning)という言葉は、1990年に調査会社Gartnerが提唱したとされ、決して新しいものではない。MRP→MRP IIと進化してきた製造業向けの仕組みが、会計・人事・販売までを束ねる概念へと広がったものだ。

ただ、日本国内でERPの導入が「本格的に進んだ」と体感するようになったのは、デスクトップアプリケーションからサーバー/Webアプリケーションへの移行が一段落し、さらに保守費用やレガシー化の見直しが入り始めた2015〜2020年頃ではないかと感じている。

2000年~デスクトップアプリケーションが主流だった時代

2000年代前半の日本企業において、業務アプリケーションはデスクトップアプリが主流だった。

Microsoft Access や VB、PowerBuilder などを使い、業務ごと・部門ごとに個別のアプリケーションを開発・運用する形が一般的で、業務にフィットしたシステムを自社で育てていく、という文化があったと思う。

2010年~サーバー/Webアプリケーションへの移行

しかし、技術革新やセキュリティ、そして更新管理(クライアント端末ごとの配布・バージョン管理の煩雑さ)の観点から、2010年頃を境に、クライアント常駐型のデスクトップアプリを、サーバー側で動くWeb(ブラウザベース)アプリケーションへ置き換える流れが進んだ。

当時、開発現場に携わっていたエンジニアであれば心当たりがあるかもしれないが、プロジェクトとしては以下のような体制が一般的だった。

  • 日立や富士通といったベンダーから大型のサーバー筐体を購入
  • Linux をインストールし、LAN を構築
  • 社内に専任のインフラ部隊が存在
  • 既存のデスクトップアプリの仕様を Excel に転記していくソフトウェア部隊

サーバー向けの開発パッケージをベースに、顧客ごとに画面設計や承認フローを Excel の仕様書へ書き起こし、それを元にWebアプリケーション(JavaScript、HTML)を開発する、といった進め方が主流だった。

データベースも Microsoft Access から SQL Server 等へ移行しながら、SQL を駆使してデータ抽出を行う運用が一般的だった。

保守・メンテナンスコストの限界

こうしたサーバー向けアプリケーションの開発・導入が一巡した後、次に課題として浮き彫りになってきたのが、
保守・メンテナンスコストの増大である。

業務ごとに個別最適で作られたシステムは、年数が経つにつれて改修コストが積み上がり、開発を担当していたエンジニアの属人化も進んでいった。

このタイミングで、

自社開発や属人化を続けるよりも、出来合いのシステムを導入した方が、開発・保守コストを抑えられるのではないか

という考え方が徐々に広まり、乗り換え先としてERPが注目されるようになったように思う。

なぜ「2015〜2020年」にERPへの移行が集中したのか

個人的な体感だけでなく、この時期に移行を後押しした出来事がいくつも重なっている。

  • 経済産業省「DXレポート(2025年の崖)」(2018年):複雑化・老朽化したレガシーシステムを刷新できなければ、2025年以降に最大で年間12兆円もの経済損失が生じうる、と警鐘を鳴らした。
  • SAPの保守期限問題:SAP ERP 6.0 の標準保守が当初2025年末で終了予定(=いわゆる2025年問題)だったため、基幹システム見直しの機運が一気に高まった(その後サポートが延長され、現在は「2027年問題」と呼ばれている)。
  • クラウド/SaaSの普及:自社でサーバーを抱え込まずに使えるクラウドERPが、現実的な選択肢として広がった。

「レガシーをこのまま使い続けるリスク」と「クラウドERPという受け皿」が同時に揃ったのが、ちょうどこの数年だった——という整理ができると思う。

そして、その流れを一気に押し出したのが2020年のコロナ禍だ。リモートワークが半ば強制される中で、オフィスのサーバーや専用端末を前提にしたシステムは途端に使いづらくなり、「ブラウザさえあれば自宅からでも使える」クラウド/SaaS型ERPの価値が、誰の目にも明らかになった。“どこからでも基幹業務が回せる”ことが、選定の決め手になっていったように思う。

出典

  • 経済産業省『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』(2018年9月7日)[本文PDFサマリー
    既存システムを刷新できずDXが進まない場合、2025年以降に最大で年間12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じうる、と指摘。

デスクトップ → 自社サーバー → クラウドERP

流れとして整理すると、多くの日本企業では以下のような変遷を辿ってきたと思う。

  • デスクトップアプリケーション
  • 自社サーバー上の業務アプリケーション
  • クラウドERP

ERPには「カスタマイズがしづらい」というデメリットはあるものの、それをきっかけに自社の“個別の業務システム”を見直し、会計・販売・在庫・購買といった業務を「統合された1つのシステム」でスタンダードに管理していく、という考え方が一般的になっていったのではないだろうか。

ERPは「管理するシステム」から「司令塔」へ

情シスとして見ていて面白いのは、ERPの“立ち位置”そのものが変わってきたことだ。

かつてのERPは「業務の結果を集約・管理するシステム」という色が濃かった。会計データをまとめる、在庫を把握する、販売実績を管理する——あくまで各業務の結果を後から集める器、というイメージだった。

その後、ビッグデータ分析やデータサイエンティストという言葉が広まり、データ活用は“ERPの外側”で行うものになっていった。BIツールにデータを吸い出して分析する、という構図だ。

ところが近年は、その流れがまたERPの中心に戻ってきているように感じる。会計・人事・販売・購買・在庫・サプライチェーンをリアルタイムにつなぎ、組織全体の動きを俯瞰して次の一手につなげる——いわば「司令塔」としての役割だ。業務やデータのサイロ化を解消し、意思決定を速く・正確にする方向へ進化している。

そして、さらにその先がいま始まりつつある。AIやMCP(Model Context Protocol)といった技術によって、ERPの中の膨大なデータに“自然言語で”問いかけられるようになってきた。集計する器でも、外部の分析基盤でもなく、「聞けば答えてくれる相棒」へ——というのが、情シスとして今いちばんワクワクしている変化だ。

おわりに

個人的におすすめのクラウドERP:NetSuite

ここまで一般論を書いてきたが、最後に個人的な意見を。
これからクラウドERPを検討するなら、私は Oracle NetSuite をおすすめしたい。

  • クラウドネイティブ:自社でサーバーを抱えなくていい。この記事で書いた「自社サーバー時代」の保守・更新の悩みから、そのまま解放される。
  • ひとつに統合:会計・販売・在庫・購買を最初から1つのプラットフォームで扱える。かつて大企業しか手が出せなかった統合ERPが、中堅・成長企業でも現実的になった。
  • 自社に合わせて“育てられる”:本文で「ERPはカスタマイズしづらい」と書いたが、NetSuiteはむしろ例外的に作り込みの自由度が高い。SuiteScript / SuiteCloud などで自分でカスタマイズでき、自社の業務に合わせて発展させていける自前で作り込む難易度は高めだが、その分柔軟なビジネスを組める。
  • AIと相性がいい:SuiteQLや保存済み検索でデータに触りやすく、公式MCPコネクタで Claude などのAIと自然言語でつながる。まさに「司令塔」から「相棒」へ——この記事で書いた変化を地で行ける。
  • 実績がある:特に米国で広く使われているクラウドERPの定番のひとつ。

もちろん価格感や、上で触れた「作り込みの難易度」など、合う・合わないはあるし万能ではない。
それでも“統合された基幹をクラウドで持ち、自社に合わせて育て、AIと一緒に使っていく”——これを一台で体験できる点で、いま個人的に一番おすすめできるERPだと思っている。

そして、その「AIと一緒に使う」を実際に試したのが次の記事。
NetSuite に Claude をつないで、在庫や売上を“日本語で”引き出すところまでハンズオンでまとめています。

👉 NetSuiteに話が通じる日が来た。── NetSuite × Claude 接続〜実践プロンプトガイド

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