今回はプロンプトエンジニアリング手法の一つのモックプロンプトについて解説していこうと思います!
ぜひ使用時の参考にしてみてください!
本記事の実装環境で使用しているLLMはGPT-4oです。
モックプロンプト
前提の認識として、AIのことをAIと捉えずに一人間として捉える認識を持ってください。
曖昧な指示をLLMに送って、成果物が期待と異なる、そもそも見当違いのものが出る、という経験はないですか?
人間社会でも曖昧な指示により、認識齟齬が発生するケースは見られると思います。
一例として以下の状況を考えてみましょう。
プロジェクト管理において、チームメンバーに「タスクの優先順位を考えて進めてください」とだけ指示した結果、以下のような問題が起きたことはないですか?
- メンバーごとに優先順位の基準が異なり、進行がバラバラになる
- 重要なタスクが後回しにされ、プロジェクト全体の遅延につながる
- 指示した側の「重要度」が正確に伝わらず、誤解された成果物が出てくる
これらの問題の根本原因は、指示を出す側と受け取る側のコンテキストの不一致にあります。このような曖昧さを解消するため、モックプロンプトを活用する方法が役立ちます。
モックプロンプトは、本題に入る前にLLMとやり取りを行い、質問のコンテキストについてすり合わせを行う手法です
モックプロンプトを実際に使用してみる
まず、以下のような抽象的な質問をLLMに投げかけた場合を考えます。
タスクの優先順位をつけるための重要なポイントを教えてください。
回答:
1.緊急度と重要度を考慮する。
2.プロジェクト全体の目標に沿うタスクを優先する。
3.リソースの利用効率を最大化する。
この回答は表面的には役立つ情報ですが、具体的な状況や背景に適応するには不足しています。
次に、背景を明確にしたモックプロンプトを使用します。
モックプロンプト↓
私はプロジェクトマネージャーで、現在、納期が迫っている複数のタスクを管理しています。
限られたリソースで、重要なタスクを効率的に進める必要があります。
タスクの優先順位を決めるために、具体的にどのような基準を考慮すべきか教えてください。
回答:
1.納期に直結するタスクの優先度を高く設定する。
2.他のタスクの進行に影響を与える依存関係を確認する。
3.高いインパクトを持つタスク(顧客満足や収益に寄与)を優先する。
4.リスクの高いタスクを早めに対処しておく。
5.タスクごとの所要時間とリソース配分を考慮する。
上記回答には具体性があり、状況に応じた実践的なアドバイスが含まれています。
また、LLMに指示を出す場合、自分がどういう立場で、どういう目的を持って、どういうことをしたいのか明確に示すことで、正確な背景を考えてくれるので意識すると良いポイントです。
最初に記載した通り、LLMは人間と同じなので、人間と同じように物事を伝えましょう
本題に基づいた再質問
背景設定後に、本題の質問を改めて行います。
これらの基準を踏まえて、以下のタスクに優先順位をつけてください。
1.クライアント用のプレゼン資料作成(納期: 2日後)
2.新商品の試作レビュー(他チームの進行待ち)
3.定例会議の準備(1週間後)
4.納期延期リスクのある問題対応(影響範囲が広い)
回答:
1.納期の最も近い「クライアント用のプレゼン資料作成」
2.プロジェクト全体に影響を与える「納期延期リスクのある問題対応」
3.次に進行できる状態を整えるための「新商品の試作レビュー」
4.最後に「定例会議の準備」
上記回答は、背景のコンテキストを反映しており、具体的な優先順位付けの理由も明確です。
LLMを利用したAIチャットサービスは、直前までのユーザーとAIのチャットのやり取りを記憶し、コンテキストとしてLLMへ情報を渡します。
モックプロンプトの効果と応用
モックプロンプトを活用した結果、曖昧な指示が解消され、具体的かつ状況に応じたアクションプランが得られることが分かります。
モックプロンプトのメリットと応用例を以下に記載します。
- メリット
コンテキストの共有がスムーズ
背景を明確に伝えることで、LLMの回答が具体性を増し、実用的になる。
やり直しの削減
曖昧な指示による手戻りを防ぎ、効率的にプロジェクトを進行できる。
学習とフィードバックの活用
モックプロンプトで得られた回答を基に、さらなる改善や意思決定の精度向上が可能。
- 応用例
プロジェクト計画: 複数タスクの優先順位付けやスケジュール調整。
リスクマネジメント: 潜在的な課題を早期に洗い出し、対策を計画。
意思決定支援: 資源配分や戦略の優先順位設定。
まとめ
モックプロンプトは、曖昧な指示を明確にし、LLMの回答精度を高めるツールです。特に、タスク管理やプロジェクト進行の場面では、背景を共有し、段階的に質問を掘り下げる手法が効果的であることがわかります。
ぜひ、日常業務やプロジェクト管理でモックプロンプトを試してみてください。より具体的で効果的なアウトプットが得られるはずです!