プロンプトエンジニアリングと出会って5ヶ月目の初心者が、現在に至るまでに学んだ手法を記載していこうと思います。
今回は再帰プロンプトについて解説していこうと思います!
本記事の実装環境で使用しているLLMはGPT-4oです。
再帰プロンプト
この手法は最近流行っている手法の1つになります。
現状生成されるであろう作成物に対してセルフフィードバックを行い、より精度の高い生成物を作成する手法です。
早速再帰プロンプト手法の解説をしようと思います
現在日本が抱える課題を5点挙げてください。
最初はシンプルに課題を5点作成してもらいましょう
GPTに上記内容を作成してもらうと↓
現在の日本が抱える課題を5点挙げると、以下のようになります:
1.少子高齢化と人口減少: 日本では出生率の低下と高齢者の増加が進んでおり、労働力の不足や社会保障制度の持続可能性に深刻な影響を与えています。
2.経済成長の停滞: 長期間にわたるデフレと経済成長の停滞が続いており、特に若年層の雇用不安や地域経済の衰退が問題視されています。
3.環境問題とエネルギー政策: 持続可能なエネルギー政策の策定や、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが求められています。特に再生可能エネルギーの普及と原子力発電の是非が議論の対象です。
4.社会保障制度の見直し: 高齢化に伴う医療費や年金の負担が増加しており、社会保障制度の持続可能性が課題となっています。特に世代間の公平性や給付と負担のバランスが重要視されています。
5.地方創生と過疎化対策: 都市部への人口集中により、地方の過疎化が進行しています。地方の経済活性化や地域コミュニティの維持・発展が求められています。
これらの課題は、日本社会が直面する深刻な問題であり、それぞれに対する解決策が求められています。
日本が現在抱えている課題を5点挙げてくれました。
それでは再帰プロンプトを使用してもう少し核心に迫りましょう!
# 指示:
作成した日本の課題について以下の **#再帰プロセス**を元に、核心に迫る課題を作成してください。
# 再帰プロセス:
日本の課題を5点生成したら次のステップに移ります。
## 1回目の再帰
現在の生成した課題をそれぞれ70点とします。一般的ではない踏み込んだ課題を作成し、80点の出力を目指してください。
## 2回目の再帰
現在の生成した課題をそれぞれ80点とします。解決するには困難である課題を作成し、90点の出力を目指してください。
## 3回目の再帰
現在の生成した課題をそれぞれ90点とします。上記の内容を再度確認し、100点の出力を目指してください。
上記が再帰プロンプト手法の記載になります。
GPTに現状作成された結果に対して点数を付けます。その点数を上げるために具体的なアドバイスを施し、そのアドバイスを元に100点を目指す事が重要です。
今回は核心的な課題を生成したいので、核心的ってこういう事ですよというアドバイスを施しました。
作者の中での「核心的」を具体化すると、
・一般的ではない踏み込んだ課題を作成してね
・解決するには困難である課題を作成してね
という風に考えたので今回は上記を採用しました。
アドバイスを具体的に言語化して、詳細に落とし込むのがポイントです!
それではこの結果はどうなるのか確認してみましょう!
1.地方の完全消滅と国土の縮小化: 過疎化が進んだ結果、一部の地方は社会インフラの崩壊とともに完全に消滅しつつある。これにより、日本の国土全体が縮小し、国家としての一体性が失われる危機が迫っている。
2.デジタル敗戦とグローバル経済からの脱落: デジタル化の遅れと技術革新の停滞により、日本は「デジタル敗戦」と呼ばれる状況に陥り、グローバル経済の主流から脱落しつつある。これにより、日本は国際的な経済システムの中で孤立するリスクを抱えている。
3.エネルギー安全保障の崩壊と脱炭素の失敗: 日本のエネルギー政策の失敗により、エネルギー安全保障が崩壊し、エネルギー供給が不安定になる可能性が高まっている。さらに、脱炭素社会の実現が絶望的な状況にあり、国際的な気候変動対策から取り残される危険性がある。
4.社会的崩壊と若年層の諦観: 若年層への過度な負担と将来の展望の無さにより、彼らが社会からの撤退や諦観を選択する傾向が強まっている。これにより、日本社会全体の活力が失われ、社会的崩壊が現実化しつつある。
5.地方自治の崩壊と国家統治の再編: 地方自治体が財政的・機能的に立ち行かなくなり、国家としての統治機能が再編を迫られる状況が生じている。これにより、従来の地方分権体制が崩壊し、中央集権的な統治が再び強まる可能性がある。
これらの課題は、日本が今後直面する可能性が高い深刻な問題であり、解決には国家レベルでの大規模な改革が必要となるでしょう。
再帰プロンプトを記載する前の結果と比較して、文章に厚みが増し、より核心に迫った内容の結果がでました。
施したアドバイスの効果が見られる内容になってます。
再帰させる上でのアドバイスの重要性
ではアドバイスしないで再帰させるとどうなるのでしょうか?
作成した日本の課題について以下の **#再帰プロセス**を元に、核心に迫る課題を作成してください。
# 再帰プロセス:
日本の課題を5点生成したら次のステップに移ります。
## 1回目の再帰
現在の生成した課題をそれぞれ70点とします。80点の出力を目指してください。
## 2回目の再帰
現在の生成した課題をそれぞれ80点とします。90点の出力を目指してください。
## 3回目の再帰
現在の生成した課題をそれぞれ90点とします。100点の出力を目指してください。
上記がアドバイス無しで、シンプルにセルフフィードバックをするようにしたプロンプトです。
何を目的として点数を上げていくのか確認してみましょう!
1.少子高齢化と人口減少
少子高齢化は、日本の社会経済システムを根本から再構築することを迫っています。出生率向上には、包括的な家族支援政策、柔軟な労働環境の整備、教育改革、そして社会的価値観の変革が不可欠です。移民の受け入れや定住促進も、人口問題への包括的アプローチとして検討されるべきです。
2. 経済成長の停滞
経済成長の停滞を克服するためには、革新的な産業政策の導入が急務です。新興産業の育成、スタートアップの支援、そしてAIやバイオテクノロジーといった先端分野への集中投資が必要です。また、教育と産業の連携を強化し、グローバル市場における競争力を再構築することが求められます。
3. 地方の過疎化と都市集中
地方の過疎化と都市集中に対処するためには、地方の自主性を強化し、中央と地方の対話を深める必要があります。地方経済の活性化には、地域資源を活用した持続可能なビジネスモデルの創出が重要です。都市集中に関しては、過密化対策として公共交通インフラの拡充や都市の再開発が求められます。
4. 環境問題とエネルギー政策
環境問題とエネルギー政策において、日本は世界に先駆けたリーダーシップを発揮する必要があります。具体的には、カーボンニュートラルを目指す明確な時間軸を設定し、それに基づく法制度とインセンティブを導入することが求められます。また、国際協力を通じたグローバルな環境技術の推進も必要です。
5. 労働環境の改善
労働環境の改善には、組織全体でのパラダイムシフトが必要です。企業文化の変革を推進し、従業員のウェルビーイングを中心に据えた経営戦略が求められます。具体的には、メンタルヘルス支援、キャリア成長機会の提供、柔軟な労働制度の導入、そして包括的なダイバーシティ戦略が重要です。
以上の再帰プロセスを経て、より深く日本の抱える核心的な課題を抽出しました。これらの課題は、長期的かつ包括的な視点での対応が必要であることを示しています。
なるほど、そこまで悪くない回答ですね!
ただ、どういう観点を持ってセルフフィードバックを行ったのか気になるので、追加で質問してみます。
どういう観点を持ってセルフフィードを行ったのか教えてください
セルフフィードバックの観点としては、以下のポイントに基づいて再帰プロセスを行いました。
1.問題の深掘りと具体化:
初期の課題では、一般的な問題を広く捉えていましたが、再帰プロセスではそれぞれの課題の根本原因や具体的な側面に焦点を当てました。たとえば、少子高齢化の問題では単に人口減少という表面的な課題に留まらず、労働市場や社会保障制度に与える影響に踏み込みました。
2.現実的な解決策の提案:
再帰プロセスを通じて、単なる問題提起にとどまらず、現実的かつ具体的な解決策や戦略を提案することを重視しました。例えば、経済成長の停滞については、新興産業の育成やスタートアップの支援といった具体的な施策に言及しました。
3.課題の相互関連性の考慮:
再帰プロセスでは、各課題が相互に関連していることを考慮し、相互作用を反映した提言を強化しました。例えば、地方の過疎化と経済成長の停滞が相互に影響を与えている点を指摘し、地方経済の活性化が経済成長にもつながることを強調しました。
4.先進的かつリーダーシップを発揮できる視点:
特に環境問題とエネルギー政策については、単に国内の課題として捉えるのではなく、国際的なリーダーシップを発揮する視点を取り入れました。日本がカーボンニュートラルを目指す具体的なロードマップを設定することや、国際協力を通じた環境技術の推進といった視点を強化しました。
5.長期的な視野と包括的アプローチ:
各課題に対して短期的な対応だけでなく、長期的に持続可能な社会の構築に向けた包括的なアプローチを提示しました。労働環境の改善においても、単なる労働時間の短縮だけでなく、組織文化やメンタルヘルスの観点を含めた根本的な改善が必要であることを強調しました。
このように、再帰プロセスを通じて、課題をより深く、具体的に分析し、解決策や提言を洗練させることを意識してフィードバックを行いました。
なるほど、GPT側である程度改善していく上での観点を持っているのですね!
ただ、アドバイスがない事で、自分の狙った回答はされないという事が明確に分かりましたね
こういう目的をもって、こういう回答を求めている!という場合にはアドバイスを記載してあげる事で、そのアドバイスに沿った回答が返ってきます
最後に
まだまだ再帰プロンプトは奥が深く、作者も
・再帰プロンプトは回数多い方が精度は上がるのか?
・100点をMaxにするのではなく120点をMaxにしたらどうなるのか?
・10点刻みではなく50点刻みで再帰させたら結果は変わるのか?
など試したいことはたくさんあります。
今後も定期的に謎に迫っていこうと思いますのでこれからもプロンプトエンジニアリングの勉強を続けて行きます!