はじめに
Akamai Cloud Computingでは、インスタンス間の通信をいくつかのネットワークインターフェイスを通じて行えます。
今回は異なるネットワークインターフェイスに性能差があるのか確認するために、iperf3とpingを利用して通信速度の確認を行いました。
VLAN と VPC について
Akamai Cloud Computingのインスタンスの通信を任意のアドレス帯域を利用してネットワークを分割するには、VLANもしくはVPCを利用する必要があります。
この2つのインターフェイスはインスタンスに両方付与することもでき、使い分けが可能です。
VLANとVPCはOSIのレイヤーが異なる技術であり、利用できる機能に差分があります。
機能 | VLAN | VPC |
---|---|---|
OSI Layer | Layer 2 | Layer 3 |
ネットワークの分離 | 可能 | 可能 |
ブロードキャスト | 可能 | 不可 |
マルチキャスト | 可能 | 不可 |
複数のサブネット | 不可 | 可能 |
ファイアウォール | 不可 | 可能 |
利用料 | 無料 | 無料 |
同一リージョンの通信料 | 無料 | 無料 |
MTU | 1500 | 1500 |
参考:https://www.linode.com/ja/products/private-networking/
インスタンス間のネットワーク速度差を確認
今回は、大阪リージョンを利用してインスタンス間の通信速度を確認しました。
利用したツールはiperf3とpingになります。
iperf3では、高負荷を並列に与える設定で1分間のreceiverのBandwidthの平均値を測定しました。
iperf3 --parallel 100 -i 10 -t 60 -c [DST_IP]
pingでは、30秒間の応答時間を測定し、平均値を算出します。
ping -c 30 [DST_IP]
今回は、測定するインスタンスは対向で同一タイプとし、下図のPremiumインスタンスの種類を変えて、それぞれのインスタンスでスペック表通りの速度がでるかどうかも試しています。
通信の宛先IPを変更し、性能差があるか確認しました。
- VLANは同一サブネット間
- VPCは別サブネット間
- PublicIPはVPCの1対1NATを利用
本試験結果は執筆時点に測定した結果であり、製品の通信速度を保証するわけではありません。あくまでも参考値となります。
iperf3
Instance Type | Public IP | VLAN | VPC |
---|---|---|---|
Premium 4 GB | 4.02 Gbits/sec | 4.02 Gbits/sec | 4.02 Gbits/sec |
Premium 8 GB | 5.00 Gbits/sec | 5.02 Gbits/sec | 5.00 Gbits/sec |
Premium 16 GB | 5.99 Gbits/sec | 6.03 Gbits/sec | 5.99 Gbits/sec |
Premium 32 GB | 6.99 Gbits/sec | 7.03 Gbits/sec | 7.00 Gbits/sec |
Premium 64 GB | 8.01 Gbits/sec | 8.03 Gbits/sec | 8.02 Gbits/sec |
Premium 96 GB | 9.02 Gbits/sec | 9.05 Gbits/sec | 9.03 Gbits/sec |
Premium 128 GB | 10.0 Gbits/sec | 10.1 Gbits/sec | 10.0 Gbits/sec |
Premium 256 GB | 11.0 Gbits/sec | 11.1 Gbits/sec | 11.1 Gbits/sec |
Premium 512 GB | 12.1 Gbits/sec | 12.1 Gbits/sec | 12.1 Gbits/sec |
ping
Instance Type | Public IP | VLAN | VPC |
---|---|---|---|
Premium 4 GB | 0.325 ms | 0.233 ms | 0.287 ms |
Premium 8 GB | 0.382 ms | 0.319 ms | 0.300 ms |
Premium 16 GB | 0.305 ms | 0.230 ms | 0.305 ms |
Premium 32 GB | 0.361 ms | 0.367 ms | 0.328 ms |
Premium 64 GB | 0.351 ms | 0.342 ms | 0.318 ms |
Premium 96 GB | 0.388 ms | 0.303 ms | 0.336 ms |
Premium 128 GB | 0.354 ms | 0.310 ms | 0.317 ms |
Premium 256 GB | 0.421 ms | 0.337 ms | 0.378 ms |
Premium 512 GB | 0.527 ms | 0.521 ms | 0.649 ms |
試験結果から、インターフェイスの違いによる大きな性能差は見られませんでした。
また、全通信試験を同時(全18インスタンス)で行った場合も試験結果に差はありませんした。
通信速度もインスタンスのスペック表どおりの性能が出ており、低レイテンシーで通信ができていることも確認することができました。
リージョン間の通信速度が気になる際には、ぜひこちらの記事も参照ください。
ネットワークインターフェースの補足
Linodeインスタンスには3つのIFを設定することができます。
VPCを1つ付与した場合には、VLANは2つ付与することができます。
ネットワーク帯域は各IFごとに制限がありますが、インスタンスに付与されている帯域を超える通信は非推奨となります。
また、VPCのIFでインターネットへの通信を行う場合には1対1 NAT が行われ、制限する帯域は内部通信でも外部通信でも同一になります。
※図の帯域はDedicated 4Gになります。
まとめ
VLANやVPCを利用することで、インスタンス間の通信をセキュアで安定したものにすることができます。
また、通信の速度、品質も安定しているため、高負荷なワークロードでも問題なく利用できるサービスです。
また、VPCに関しては、今後の機能アップデートも予定されておりますので、ぜひ利用していただければと思います。
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