3Dプリンター住宅に憧れたので、まずはClaudeCode×3Dプリンターで施工してみた
この記事でやること
Claude Code + OpenSCAD で設計 → Bambu Lab P1S で PLA 中空シェルを印刷 → 針金で配筋 → 軽量粘土を充填 → 竣工。
コンクリート3Dプリント建築(大林組 3dpod)の工程を、机上で 1/30 スケール再現する試みです。
はじめに
最近、建設テック(ConTech) に取り組んでいるなかで、気になっていた建設3Dプリンティング技術について調べてみた。
建設3Dプリンティングとは
建設3Dプリンティング(Construction 3D Printing)とは、大型のロボットアームやガントリー型の装置にノズルを取り付け、コンクリートや特殊モルタルを層状に積み上げていく建築工法だ。
従来の工法では、型枠を組んでコンクリートを流し込み、養生後に型枠を解体する。
この工程に多くの人手と時間がかかる。
建設3Dプリンティングはこれを自動化し、データさえあれば複雑な曲面形状も直接施工できる。
前々からメディアにも取り上げられていて、なんとなくご存知の方も多いかもしれない。
独特な造形や、施工技術、近未来感にわくわくを感じ「いつか住んでみたいな」と漠然と思っていた時期もありました。
いや、いつかではだめだ!
ということで、実際に作ってみようと思います。
ただ、いきなり本物のコンクリート3Dプリンターで家を建てるには、いろいろ足りない。
土地がない。建築士資格もない。コンクリートポンプもない。近隣説明会を突破できる気もしない。
なので今回は、手元にある 3Dプリンター Bambu Lab P1S を小規模ゼネコンとして稼働させ、机の上で「3Dプリント建築っぽいこと」をやってみることにした。
今回やること
今回のテーマは、単なる住宅模型づくりではなく、できるだけ実際の3Dプリント建築っぽく、工程を寄せてみることにした。
本物の建設現場と今回のミニチュアを対応させると、こんな感じになる。
| 本物の3Dプリント建築 | 今回のミニチュア |
|---|---|
| コンクリート3Dプリンター | Bambu Lab P1S |
| 3DP製打込み型枠 | PLA中空シェル |
| 鉄筋 | Φ0.5mm針金 |
| スリムクリート等の充填材 | 百均の軽量粘土 |
| 現場施工 | 机上施工 |
| 現場監督 | たまに様子を見る自分 |
参考にした考え方:3dpodっぽい構成
大林組の 3dpod では、3Dプリンターで中空の型枠を造形し、その内部に鉄筋を配置して材料を充填する。
「印刷したものを最終部材にしつつ、型枠としても使う」という考え方がめちゃくちゃ面白い。
普通の3Dプリント模型なら、家の形をそのまま全部出力すればいいが、今回は工程をできるだけ本物っぽくするために、
- 外壁だけをPLAで出す
- 中は空洞にする
- 配筋用の穴を残す
- 後から材料を充填する
という構成にした。
ツールチェーン
Claude Code
↓ OpenSCADコード生成・修正
OpenSCAD
↓ STL出力
Bambu Studio
↓ スライス
Bambu Lab P1S
↓ 印刷
机の上
↓ 配筋・充填・屋根施工
竣工
今回は、CADソフトをゴリゴリ触るのではなく、ClaudeCodeを使い、OpenSCADでコードとして形状を定義した。
ClaudeCodeでOpenSCADを操作できるので、「壁厚を7mmにする」「配筋穴を2.8mmにする」「ドア位置を少しずらす」といった修正が、自然言語からそのままコード変更に落ちる。
3Dモデリングのハードルが本当に下がって、これまでCADを扱える人だけに閉じていた設計のプロセスが、少しずつ民主化されてきているように感じる。
これは、ものづくりの入口をかなり広げる変化だと思う。
設計仕様
スケールは 1/30。
| 項目 | 模型寸法 | 実物換算 |
|---|---|---|
| 壁高さ | 100mm | 3,000mm |
| 壁厚 | 7mm | 約210mm |
| ドア高さ | 約67mm | 約2,000mm |
| 配筋穴径 | Φ2.8mm | 約84mm |
| 針金径 | Φ0.5mm | 約15mm |
配筋穴は実物換算だとかなり太い。ただし今回は、針金を通すだけでなく、軽量粘土が入り込んで固定される余白もほしかったので、穴径は少し大きめにした。
机上基準法では適合。
形状:ポッド住宅にする
せっかく3Dプリンターで作るなら、四角い箱ではもったいないので、楕円をベースに少し歪ませた、有機的なポッド形状にした。
function organic_r(a) =
1
+ 0.10 * sin(2*a - 20)
+ 0.06 * sin(3*a + 80)
- 0.04 * cos(a + 10);
中空壁の実装
壁の断面は、外形から壁厚ぶん内側をオフセットして差し引く。
module wall_xsection2d() {
difference() {
footprint2d();
offset(delta = -wall_thick)
footprint2d();
rebar_holes2d();
}
}
配筋穴は2D断面で抜く
最初は3D円柱で後から引こうとしたが、曲面壁に対して穴がスリット状になった。先に2D断面で円を抜いてからZ方向に押し出すと、縦方向にまっすぐ通る真円の縦穴になる。
module rebar_holes2d() {
for (a = [10, 35, 70, 105, 145, 185, 225, 265, 305, 340]) {
translate(inward_from_outer(a, REBAR_INSET))
circle(d = REBAR_D, $fn = 28);
}
}
3Dプリンターは正直である。雑な設計は、雑に現物化される。
※全部ClaudeCodeがやってくれました。
Bambu Studio の設定
P1S は標準の 0.4mm ノズルで印刷。
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| Printer | Bambu Lab P1S |
| Nozzle | 0.4mm |
| Filament | PLA グレー |
| Layer height | 0.20mm |
| Wall loops | 2 |
| Top shell layers | 0 |
| Bottom shell layers | 3 |
| Sparse infill | 15% |
| Support | なし |
Top shell layers = 0 について
これを0にすることで、壁の上面が開いた状態になり、印刷後に軽量粘土を充填できる。Bambu Studio は警告を出すが、意図的な設定なので無視する。
印刷
Bambu StudioでスライスしたSTLをP1Sに送り、実際に印刷。
5~6時間ほどかかるので、あとはP1Sに任せて監督は家に帰って寝ます。
配筋
翌朝、ビルドプレートの上には無事にPLA製の壁が立ち上がっていました。
印刷後、配筋穴に Φ0.5mm の針金を挿入。
本物の鉄筋のように構造計算されたものではなく、あくまで「配筋っぽい工程」の再現です。
充填
百均の軽量粘土を少し柔らかくして、壁の中に充填していく。
本当は石膏を水で溶いて流し込む予定でしたが、百均にありませんでした…
粘土をチューブから絞り出している様子は、かなり生コン打設っぽい。
見た目は完全にホイップクリーム。
充填後はヘラでならし、上面をフラットに。
指で押した感じ、少し強そう。構造計算はしていない。
屋根施工
今回の屋根材はダンボール。在来工法である。
つまり、手で切って乗せた。
これはこれで味がある。
次回は屋根もOpenSCADで別パーツとして設計し、勾配屋根や軒を作ってみたい。
竣工
最終的に、PLA製の中空シェルに針金を入れ、軽量粘土を充填した小さな3Dプリント住宅が完成した。
まとめ
| フェーズ | 本物 | 今回 |
|---|---|---|
| 設計 | BIM / 専用CAD | Claude Code + OpenSCAD |
| 型枠製造 | コンクリート3Dプリンター | Bambu Lab P1S(FDM) |
| 配筋 | D10鉄筋 | Φ0.5mm針金 |
| 充填 | スリムクリート | 軽量粘土 |
| 屋根 | 別途設計・施工 | ダンボール |
今回やってみて感じたのは、3Dプリント建築の本質は「家を一発で印刷すること」ではなく、設計データ、材料、施工順序、補強、検査までをどうつなぐかにあるということでした。
これまで職人の経験や現場の段取りに閉じていた一部の工程が、少しずつデータ化され、自動化され、再現可能になっていく。
そこに建設3Dプリンティングの面白さがあると思う。
今回は、Bambu Lab P1SでPLAの中空シェルを出力し、針金を入れ、軽量粘土を充填しただけの小さな実験だった。
本物の建築とは、材料もスケールも責任もまったく違う。
それでも、データから形が生まれ、形に手を加え、少しずつ「建築っぽいもの」になっていく過程には、わくわくを感じた。
また、AIによって、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアやものづくりのハードルも確実に下がっていると感じた。
CADを完璧に扱えなくても、Claude Codeに自然言語で指示し、OpenSCADのコードを修正し、実際に3Dプリンターで出力できる。
これまで専門的な知識や設備が必要だったものづくりが、少しずつ個人や小さなチームにも開かれてきている。
自分たちは現在、建設業向けのAI開発や業務効率化の支援を行っています。
図面、見積、現場管理、発注、書類作成など、建設業にはまだまだAIやソフトウェアで変えられる余地が大きい。
一方で、今回のように実際に手を動かしてみると、画面の中だけでは分からない面白さもある。
材料に触れる。
形が立ち上がる。
思った通りにいかない。
でも、少しずつ現物になっていく。
やっぱり、ものづくりは楽しい。
将来的には、AIやデジタル技術を使って業務を効率化するだけでなく、自分たちでも実際に家や施設を建ててみたい。
小さな住宅、宿泊施設、オフィス、サウナ、地域の拠点。
そういうものを、設計から施工、運用まで、できるだけ自分たちの手で作ってみたい。
今回の机上施工は、そのかなり小さな第一歩になったのではなかろうか。
まずは、倒壊しないペン立てからである。
使用ツール: Claude Code / OpenSCAD 2026 / Bambu Studio / Bambu Lab P1S
参考: 大林組 3dpod









