追記(230611)
たくさんの方に記事をご覧いただき、まことにありがたく存じます。
自分でもびっくりするくらい時間がかかりましたが、
PDFの論文情報を自動でNotionに追加するツールについての記事を書きました。
ぜひあわせてご覧ください。
TL; DR
↓こんな感じで、Notion使って論文管理してます。
↓ページリンク機能で、論文間にリンクを貼れるのが便利です。
↓ページリンク機能を使えば、自分用先行研究リストも便利にまとめられます。
論文管理ソフト、なに使ってる?
普段から学術論文を読んでいる人の多くが、なんらかのツールを使って論文を管理しているかと思います。
あなたは何を使っていますか?
Zotero?Mendeley?EndNote?Paperpile?
どれも優秀なソフトウェアだとは知りつつ、私はあえてNotionを使っています。
Notionは様々な機能と拡張性を備えた万能メモアプリです。
なにかを「記録する」あるいは「管理する」タスクであれば、だいたいNotionに任せられるなと感じています。
そこで私は、論文管理もNotionに任せてしまうことにしました。
これがなかなか便利なので、この場でご紹介&オススメいたします。
もちろん、専用の管理ソフトがもっている機能すべてがNotionに備わっているわけではありません。
そのため、Notionによる論文管理を万人にオススメすることはできません。
しかし、それらを補って余りある強みがNotionにはあると感じています。
こうやって使ってます
こちらは、論文一覧を表示した画面です。
左から、第一著者・出版年、第一著者フルネーム、出版年、フルテキストのPDF、雑誌を表示しています。
ほかにも論文タイトルや全著者リスト、DOIなども入力しています。
なので、必要な情報を簡単に、好きなように表示させることができます。
論文情報を追加する
Notionの標準機能だけでなくNotion APIを利用した自作プログラムを併用しています。
詳しくは別の記事をご覧ください。
「この先行研究おもしろいな〜」
と思ったら、PDFファイルを副クリック→NotionDBに追加
1
数秒待つと……
論文情報が自動で追加されています。2
Kawashima2023
をクリックしてページを開くと、より詳細な情報が確認できます。
著者リストから雑誌名まで、論文から自動で抽出・記録してくれています。3
論文にメモを残す
このページにメモを残していきましょう。
Markdown記法に対応しているので、ヘッダを作るのも楽々です。
こんな修飾をつけることもできます。
自分の意見や感想を分けてメモするのにいいですね。
重要な図のスクショを撮って貼り付けてもよし。
関連するファイルを自由に貼り付けてもよし。
論文を振り返る
目当ての論文を探す
Cmd(Ctrl) + K
でページ検索画面を呼び出せるので、ここからさくっと目当ての論文に飛べます。
データベースのフィルター機能でより詳細な条件検索をすることもできますが、これが一番手っ取り早いです。
論文間でリンクを貼る
Cmd(Ctrl) + L
で、開いているページへのリンクをクリップボードへ保存できます。
例えば論文Aのページに、「この論文について、論文Bが言及してた」みたいなことをメモる時に便利です。
「このページにリンクしているページの一覧」を見ることも可能です。
ページリンク機能で作る先行研究リスト
なにかについて先行研究を網羅的に調べること、ありますよね。
関連する文献情報と一言メモをまとめたエクセル表を作ったり、しますよね。
そういった先行研究リストをNotion上で作ることができます。
Notionの表機能を使っています。
適宜見出しを振ることができるので、より見やすく整理できますね
また、上述したページリンク機能を使っているので、この表から直接論文メモに飛ぶことができるんです。
論文管理専門のソフトに敵わない点
柔軟に作れるメモやページリンク機能など、Notionで論文管理する強みは上述した通りです。
とはいえ、やっぱり専門の論文管理ソフトには敵わない点もいくつかあります。
以下に、特に大きな問題になると思われる2点をご紹介します。
ただし、最後に述べる解決策を用いれば致命的な問題にはならないと感じています。
Referenceの出力
↓こういった先行文献リストの出力はできません。
ちなみに、ちょっとプログラムを書いてやれば.bib
ファイルで出力することはできました。
RmarkdownやPandocを使って論文を書いている人にはほぼ問題にならないでしょう。
Wordとの連携機能
Microsoft WordやGoogleドキュメントと連携して、執筆中の論文に参考文献を埋め込むような機能はありません。
私のようなMarkdownで書いている人種には問題ないですが、これらのソフトで執筆している人には厳しいかと思います。
解決策
上述した問題点は、人によってはかなり重大なものに思えるかもしれません。
しかし、とてもシンプルな解決法があります。
それは、一般的な論文管理ソフトを併用することです。
なんて非効率な……!
そう思われるかもしれませんが、意外にいい感じです。
上にあげた限界点は要するに、参考文献リストを生成する機能がないということです。
なのでその仕事のみ論文管理ソフトにやらせるのです。
普段はNotionで論文を管理し、自分で論文を書くとき(先行研究を引用するとき)だけ論文管理ソフトを使います。
執筆する論文のなかで引用することになる論文は、自分の読んだ論文のうちほんの一部だけです。
引用が必要になったほんの一部の論文情報だけ、管理ソフトに入れ直してやればいいのです。
やってみると、意外と手間になりません。
料金
詳細な料金体制は公式HPをご覧ください。
https://www.notion.so/ja-jp/pricing
記事執筆時点では、フリープランでもかなりの機能が解放されています。
論文管理をする上で問題になるのは、アップロードできるファイルのひとつ当たりの容量が5MBまでになっているところでしょうか。
しかしファイルの合計容量に制限があるわけではないので、たくさんの論文を管理していても問題ありません。
ひとつの論文PDFファイルが5MBを超えていることはそうないでしょう。
Supplementaryファイルが超える場合は、なにか工夫をする必要が出てきますね。
なお、Notionには学割プランがあります。
学生と教員は、プラスプラン(別ユーザーとの共有に一部制限あり)を無料で使用させてもらえるのです。
https://www.notion.so/ja-jp/help/notion-for-education
プラスプランならファイル容量を気にすることもなくなるでしょう。
そもそもNotionが好きなんです
洗練されたUI、反応の良さ、APIの充実さ……
タブ機能といった痒いところに手が届く機能も満載です。
他にも、それぞれ挙げるには些細なGoodポイントが多くて、使っていてとにかく楽しいアプリです。
論文の管理という研究者ならかなりの長時間を占める仕事を、Notion上で行えるのはとても嬉しいです。
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macOSのAutomatorを使ってPythonプログラムを起動し、Notion APIを使ってデータベースに情報を追加しています。 ↩
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PDFファイルは手動でドラッグ&ドロップして追加します。Notion APIがファイルのアップロードに対応していないためです。対応してくれたらもっとスマートになるのになぁ。 ↩
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pdf2doiを使ってDOIをPDFから抽出し、CrossrefのAPIを使って情報を拾っています。 ↩