/doctor という診断コマンドが /help 経由でひっそり増えていたので試しました。結論から言うと、私の環境ではほぼ「掃除するところがない」判定でした。ただ、走らせて眺めていたら「スキルの棚が今どう使われているか」がデータで見えて、そちらのほうが収穫でした。今日はその素振り記録と、30 個ほど積み上げた自作スキルをどう運用しているかの tips を書きます。
TL;DR
- Claude Code 2.1.206 の /doctor は「未使用スキル・重い CLAUDE.md・冗長な設定・遅いフック」まで一気に棚卸ししてくれる健康診断コマンド
- 走らせた結果、実質「stray な計画 md が 1 枚あったので workshop 配下に移した」だけで完走。逆に「使用回数ゼロなのに残しているスキル」の存在価値をデータで再確認できた
- 30 スキルを回している側の tips: 起動語を「日本語で自然に口に出せる短句」で複数用意しておくと、AI が勝手にディスパッチしてくれる時間が伸びる
/doctor は何をチェックしてくれるか
/doctor は単なる claude doctor の環境診断より一段広い範囲を見ています。実際は次の 10 チェックが走ります(0〜9 で数える流儀)。
- インストールと設定ファイルの健全性(native / npm / brew の重複、settings.json のパース、agents 定義の重複)
- 使われていないスキル・MCP サーバ・プラグイン
- ローカル CLAUDE.md と checked-in CLAUDE.md の重複と矛盾
- checked-in CLAUDE.md から「コードを読めば分かること」を削るべきか
- 常時ロードの CLAUDE.md を遅延ロード(スキル化・サブディレクトリ化)できるか
- 遅いフック
- コンテキストを食っている拡張の内訳
- 本体のバージョンが最新か
- 既定パーミッションモードを auto にしていいか
- よく拒否されている read-only コマンドを事前承認していいか
「読み取り専用でまず全部走らせて、まとめて提案 → 最大 2 回だけ確認 → 適用」という進行が固定されていて、勝手にファイルをいじらないのが良いです。
実際に走らせた結果(マスクあり)
私の環境(Windows / PowerShell 主・Bash 併用)で走らせた結果はこんな感じでした。
-
インストール:
~/.local/bin/claude(native) 一本。installMethod: nativeと一致、npm-local の残骸なし -
バージョン: 2.1.206(最新と一致)。
autoUpdates: falseは自分の意思なのでそのまま -
既定モード: すでに
permissions.defaultMode: "auto"設定済み。提案なし - 拒否パターン: 直近 50 セッションで拒否記録は約 10 件、すべて単発。事前承認に値する繰り返しなし
- 未使用: 有効化中のプラグイン 1 個が 0 使用だったが LSP 系(受動的に働くやつ)なので keep 判定
- 自作スキル 30 個: 6 個が使用回数ゼロだったが、いずれも「特定プラットフォーム配布用の狭用途」で、トリガー語での on-demand 発火が前提。削らない 判定
唯一「あ、これは掃除だな」だったのが ~/.claude/skills/plan_memory-broom-skill.md という stray な計画 md が、スキル置き場のルート直下に置きっぱなしになっていたこと。スキルローダーは無視するだけなので実害はないんですが、置き場所として不適切。workshop の plans/ 配下に移動して完走しました。
自作スキル 30 個の内訳(一部マスク)
これがこの記事の本題です。「30 スキルもあると管理どうしてるの」とたまに聞かれるので、種類別に晒します。名前はぼかしています。
よく使う高頻度スキル(月に何十回)
- 記事下書きスキル(write-*)。note / Qiita / Zenn 用の下書き生成。ヒーロー画像パイプラインとフッターの定型化まで込み。使用回数 57
- HTML 資料生成スキル(design-*)。インシデント報告・UI モック・LP・スライドを 1 ファイル self-contained な HTML で作る。使用回数 42
-
スキル早見表ディスパッチャ(S)。
/S <自然言語>で 30 個の中から 1 個をピンポイント起動する薄いラッパー。使用回数 101(実質的にスキル群への玄関) - 協議シート生成(review-sheet 系)。意思決定用の HTML5 チェックシート
- セッション振り返り(session-recap)。「今日の学び/次にやること」を md に書き出す
- 監査プロンプト集(audit-prompts)。DB や WebApp を別 AI CLI(codex 等)で監査する時の貼り付け用プロンプトを 1 発で用意
中頻度(週〜隔週)
- リリースパイプライン適用(release)。タグ駆動で npm / crates / GitHub Release まで通す。使用回数 11
- プロジェクト初期化(project-init)。CLAUDE.md / AGENTS.md / .gitignore / secrets-scan を新規リポに 4 層防御込みで配線
- LICENSE 生成(license-init)。個人 OSS の LICENSE を家の正典フォーマットで生成
- リポ整合監査(repo-consistency)。README / manifest / アプリ内表記のズレを検出
- GitHub Actions セットアップ(github-actions 系)
- アイコン生成(make-icon)。SVG 手書き→favicon 一式を焼く
- DB マイグレーション適用(supabase-migrate)
- 地図系プロジェクトのデプロイ(domain-specific-deploy)
低頻度・0 使用だが持っておく(狭用途配布スキル)
- Chrome ウェブストア申請
- Firefox AMO 申請
- Rust crates.io 予約・公開
- Python PyPI 公開
- 分類列の master 化 refactor
これらは「使う頻度は年 1〜2 回だが、その一回で 3 時間節約できる」タイプ。使用回数がゼロでも消さないのは、トリガー語(「Chrome 拡張のリリース」「crates 予約」など)で AI が勝手に到達してくれることに価値がある からです。人間が「どのスキルだっけ」と思い出す必要がない状態が本体の効用。
上の図のように、稼働はピラミッドになっていました。頂点の 5〜6 個が高頻度で 8 割を持ち、底辺の 0 使用スキルは「年 1〜2 回の保険」です。回数だけで切ると、いちばん効く保険から先に落ちます。
効率的な運用 tips
30 個回してみて実感している運用のコツ。
1. 起動語は「日本語で自然に口に出せる短句」を 3 個以上用意する
英字コマンド名で呼ばせるのは負け筋。「Chrome 拡張 公開」「ウェブストア 申請」「webstore publish」のように、その状況で人間が自然に口走る言い方 を description に埋めておくと、AI が SKILLS.md から自力でディスパッチしてくれます。私の場合、/S に「これ HTML で説明して」と投げれば design-html が起動する。呼び出し方を覚えなくていいのが最強。
2. スキル本体は薄く、参照 md を厚くする
SKILL.md 本体に手順を全部書くと、AI が読み込む時のコンテキスト食いが増えます。SKILL.md には「起動判定 → 判断ロジック → 参照先」だけ書いて、実手順は references/*.md に分割。必要な時だけ Read してもらう構造にしておくと、他のスキルを圧迫しません。
3. 「4 層防御」で秘匿情報を漏らさない
公開スキル(記事生成・画像生成・README 生成)は毎回 secret-leak-guardrails を Read してから走らせる作法。①スキル本体で AI に自問させる ②pre-commit hook で機械チェック ③GitHub Actions で最終チェック ④リリーススキルの前提チェックで再確認。書く瞬間の自問が一次防御で、後段の grep は保険という考え方。
4. スキル置き場は 1 箇所に集約、各 CLI からはジャンクションで見せる
Claude Code / Codex / Cursor / opencode で同じスキル棚を共有するために、正本を 1 箇所(C:\dev\workshop\skills\)に置いて、各 CLI の期待するパスへディレクトリジャンクションを張っています。スキルを 1 か所直せば全 CLI に反映される。管理コストが 4 分の 1 になります。
5. /doctor は「掃除」より「棚卸し」ツールとして使う
診断結果で削除するものが出なくても、skillUsage を眺めると自分のワークフローがデータで見えます。「意外とこのスキル使ってないな」「このスキル、月 3 回叩いてるじゃん」という気付きのほうが、掃除より価値があります。四半期に 1 回くらいのペースで走らせるつもりです。
上の図は、走らせる前の期待と実際の収穫の対比です。削除リストはほぼ空でも、0 使用スキルを keep する根拠と、高頻度スキルの偏りが数字で見えました。掃除道具というより棚卸し表、という感覚です。
小さな決意
30 個は多いようで、実際は 5〜6 個の高頻度スキルが 8 割の稼働を持っていて、残りは「その一回のための保険」でした。/doctor がそれをデータで裏付けてくれたのが良かった。掃除は少なかったけど、棚卸しは十分できた。棚を大きくしすぎず、でも保険は捨てず、次の 3 か月もこのペースで積んでいこうと思います。
紹介した /doctor コマンドは /help から一覧に出ます。走らせて眺めるだけでも 10 分。おすすめです。
※ ヘッダー画像とインフォグラフィックは AI(画像生成)で作成しています。
書いた人: ishizakahiroshi
群馬の北部で、保護猫2匹と暮らす、在宅エンジニア(何でも屋)
https://ishizakahiroshi.github.io/
https://github.com/ishizakahiroshi
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