今日もネットの海から拾ってきた、個人的に気になった技術ニュースや記事を厳選してお届けします。ご意見や補足があればコメントで教えていただけると嬉しいです。
プログラミング
Go言語
Go1.27で新たに標準ライブラリ入りする encoding/json/v2 について解説した記事です。前年のGo1.25では GOEXPERIMENT=jsonv2 を有効にして試す実験的機能でしたが、この1年でどう変わったかが中心に語られています。
Go1.27では、encoding/json/v2 と encoding/json/jsontext が GOEXPERIMENT 不要で利用可能になります。既存の encoding/json(v1)も内部実装がv2エンジンをバックエンドとして全面的に書き換えられ、コードを変えずにGoのバージョンを上げるだけで内部的にv2へ切り替わります。GOEXPERIMENT の意味も反転し、デフォルトが有効となり、旧実装に戻す場合のみ nojsonv2 を指定する形になりました。なお実験段階で使えた format タグは標準から外れています。
注意点として、Marshal・Unmarshalの挙動自体は互換が保たれるものの、エラーメッセージの文言は変わり得るため、文字列の完全一致でテストしているコードは壊れる可能性があります。エラー判定は errors.Is / errors.As を使うのが推奨されます。
またv2はv1より厳格なデフォルト挙動を採用しており、不正なUTF-8や重複キーがエラーになる、フィールド名が完全一致のみになる、nilスライス/マップが [] / {} になる、time.Duration がエラーになるなどの差分があり、これらは特に注意が必要です。
.NET
Microsoftがオープンソースで公開した、リポジトリの規約を学習してユニットテストを自動生成・検証する多言語対応AIエージェント「code-testing-generator」を、ベンチマーク結果とともに紹介する記事です。
GitHub / GitHub Copilot
GitHubは2026年7月30日、大規模なコード変更を、依存関係のある小さなプルリクエスト(PR)の連鎖として管理する「Stacked pull requests」のパブリックプレビューを開始しました。今後数日かけてすべてのリポジトリへ順次展開される予定です。
この機能では、同一リポジトリ内の複数のPRを順序付きの「スタック」として扱います。最下層のPRはmainなどの基準ブランチをマージ先とし、上層のPRは一つ下のPRをマージ先とします。基盤となる変更を下層に、それに依存する変更を上層へ重ねることで、各PRを個別にレビューしながら並行して開発を進められます。既存のレビュー要件やCIチェック、コードオーナーの承認要件も引き続き機能します。
途中のPRをマージすると下層から順にマージされ、残ったブランチは自動でリベースされます。Webサイト、GitHub CLI、モバイル、APIに対応し、CLIではgh stack拡張機能でスタックの作成や順序変更、公開などを行えます。またGitHub Copilotアプリでは作業セッション自体を積み重ね、AIによる大きな変更を小さな単位に分けて管理する活用例も紹介されています。
GitHubのコード検索エンジンBlackbirdにおけるケースフォールディング処理を、早期終了の分岐をあえて無くして分岐フリーのループにすることでベクトル化を可能にし、メモリ帯域に近い毎秒45GiBまで高速化した手法を解説する記事です。
2FAをバイパスするnpmのアクセストークンでは、アカウントやパッケージの管理といった重要な操作ができなくなり、対話型の2FA認証が必要になります。
GitHub Enterpriseで、AI管理者がエンタープライズ全体のモデルを基準設定した上で、特定のチームに追加モデルを付与できるユーザー単位のモデルポリシー機能がパブリックプレビューとして提供開始されます。
GitHub Copilotで提供されていたGemini 2.5 ProとGemini 3 Flashが2026年7月31日に廃止され、それぞれGemini 3.1 Pro(Preview)とGemini 3.6 Flashへの移行が推奨されています。
AI
Microsoft
VS Code向けFoundry Toolkitの2026年7月アップデートで、リソース画面のタブ化・整理、インラインでのツール追加、エージェントの全イベント確認、計測しながら調整できるエージェント最適化(プレビュー)などが提供されるようになりました。
OpenAI
OpenAIは2026年7月30日、GPT-5.6ファミリーのうちLunaを80%、Terraを20%値下げすると発表しました。Lunaは高頻度・大量処理向けの高速低コストモデル、Terraは性能とコストのバランス型です。最上位のSolは料金据え置きですが、標準の最大2.5倍で動作する高速モードが料金2倍で導入されました。これらはSolを使ったCodexによるモデルスタックの効率化で実現されています。
論文・その他
中国のSNSでのAI占いの実態調査から、ユーザーは予測の精度を信じていないにもかかわらず、不安をやわらげる感情的な支えを求めて使い続けている姿が明らかになったという内容です。
AIエージェントの制御・インフラ・世界モデルという3つの進展を通じて、AIの能力が周辺の安全・運用体制の整備を上回るスピードで進んでいる現状を解説する記事です。
セキュリティ企業Trail of BitsのCEOが実践する、従業員の抵抗を乗り越えて会社そのものをAIネイティブに作り変えるための具体的な仕組みづくりを紹介する記事です。
相手の頭の中で起きていたことを決めつけずに聞き出す「聞く技術」を、AIで再現しようとした研究についての記事です。この技術は心理学の調査手法をもとにしており、通知が鳴った瞬間に考えていたことを正確に言葉にしてもらうもので、決めつけを避ける、相手の言葉をそのまま使うといった厳しいルールを守る必要があります。
研究チームは当初、数百時間分のお手本をAIに読ませて真似させましたが失敗しました。話題がそれる、曖昧な説明を受け入れる、相手に迎合するなど、普通のチャットAIが持つクセがそのまま出てしまったためです。
そこで発想を切り替え、専門家が無意識に行う判断を四つの手順に書き出し、返事のたびに必ず実行させる方式にしました。答えの質を十一の観点で採点し、わかったことを「確定・不明・違う」に仕分けて記録し、次に確認する点を絞り込み、最後に決めつけのない質問を一つだけ作る流れです。
手法の創始者本人が開発に参加し、過去の記録との照合を通じて設計を修正しました。良いお手本を見せても専門性は移らず、答える前の判断を手順化することで移るという対比が示されています。
同じLLMでも「考え方の型」を変えて複数の役に解かせ、答えを理由ごと比べて統合すると、モデルを変えずに正答率を大きく引き上げられるという研究を紹介しています。
エンジニア
AIとお仕事
AIの回答精度が上がり、明確な間違いより「違和感」を指摘する場面が増えてきています。
その指摘は自分の意見表明になるため、心理的安全性のある組織でなければ言いにくくなります。DORAレポートが示す通り、AIは組織の強みも弱みも増幅する存在です。
だからこそ、率直に意見を言い合えるRadical Candorの文化が重要になります。しかし人員整理はその土台を壊しかねないと筆者は指摘しています。
クラウド
Azure
Terraform AzureRMプロバイダー5.0が正式に提供開始されました。この大型リリースでは、Azureサブスクリプションとの連携をより細かく制御できるようになっています。従来は約60のリソースプロバイダーが自動登録されていましたが、5.0では既定で登録されず、必要なものだけを選べます。また、planの段階でポリシー違反やクォータ超過を検出できるオプトイン方式のプリフライト検証が追加されました。ロケーション検証は既定で無効となり、非推奨だった旧App ServiceやFunction App関連リソースも削除されています。移行前には構成の確認と非本番環境での検証が推奨されます。
Azure リソースをデプロイするためのドメイン固有言語 Bicep の最新バージョン v0.46.1 がリリースされ、未使用の型宣言を警告する新しい linter ルールの追加や複数の不具合修正が行われました。
2026年7月31日にリリースされた Azure Storage Explorer v1.45.0 について、Blob や ADLS Gen2、サインインなどの品質・信頼性を高める不具合修正を中心とした更新内容を、日本語に意訳して紹介する記事です。
データセンター
データセンターの電源や冷却を支えるOT・サイバー物理システムが見過ごされた攻撃対象となっており、障害を防ぎ運用の回復力を保つためにはOTセキュリティの強化が不可欠だと訴える記事です。
米国最大の卸電力市場PJMが、AIデータセンターなど新たな大口需要家に対し、自ら発電容量を確保するか、供給逼迫時の出力抑制を受け入れるよう求める新たな信頼性枠組みを提案しています。
OS
Windows
日本仮想化技術株式会社が、ThinkITで連載していた「WSL2で始めるLinux環境構築術」全29回を、内容・構成を見直して全面リライトした再構築版として公開したことを紹介する記事です。WSLや仮想化技術の相談も受け付けているとのことです。
Microsoftが3月に表明したWindowsの品質向上への取り組みについて、パフォーマンスや信頼性、使い勝手の改善状況と今後の計画を報告する記事です。
2026年7月31日、Windows InsiderのBetaおよびExperimentalチャネルで新しいビルドが公開されました。全ビルドで更新された署名証明書が含まれ、旧証明書は8月11日に期限切れとなるため、それまでの更新が推奨されています。新機能として、バッテリー保持を改善する適応型休止ポリシー、タスクバーを画面の上下左右に配置できる機能、アイコンや高さを小さくできる小型タスクバーが導入されました。
Windows の Low-latency Audio Driver をビルドしてみる | ブチザッキ
WindowsがASIO標準対応になるという記事を受け、筆者はMicrosoftが公開するlow-latency-audioリポジトリを使い、ASIOドライバーのビルドに挑戦しています。WDKやSteinbergのASIO SDKを準備し、対象機器のScarlett Solo Gen4のIDをinfに追加してVisual Studio 2022でビルドしました。未署名ドライバーのため署名強制を無効化してインストールし、専用コントロールパネルも導入しています。動作させるところまで到達でき、満足したと述べています。
macOS
Windowsタスクマネージャーの開発者Dave W. Plummer氏が、Mac向け移植版を開発中であることを紹介する記事です。Activity Monitorの機能不足を理由に、優先度設定などの機能をSwiftで新規実装しているとのこと。App Store配布には課題があるようですが、近くベータ版公開を予定しています。
OpenAIが2026年8月9日で終了するWebブラウザ「ChatGPT Atlas」に代わり、YouTube動画への質問やAsk ChatGPT機能などを追加したChrome機能拡張のアップデートを提供しています。
Magic Mouse用のMagic Zoomを統合し、日本語などへのローカライズにも対応したMac用マウス・スクロール・ズームアプリ「Scroll to Zoom v2.0」がリリースされました。
TapbotsがMac用クリップボードマネージャー「Pastebot v3.0」をMac App Storeでリリースし、macOS 26 Tahoe対応やプレビュー機能の追加、日本語ローカライズなどが行われています。
macOS/iOS向け仮想化ソフト「UTM」の最新Beta版v5.0.4が公開されました。新開発のWindows用GPUドライバ「Triton」とDirect3D転送層「Neptune」により、Mac上で仮想化したWindows 11(ARM64)でDirectX 11のハードウェアアクセラレーションが実験的にサポートされます。ただしゲームの互換性はまだ限定的です。開発者のosyさんはコードを一切書かず、AnthropicのClaudeを活用して開発したとのことです。Linux向けにはVulkan 1.3対応も追加されています。
開発者のRob Pruzan氏が2026年7月30日、既存のターミナル内でChromiumベースのブラウザーを表示・操作できる「terminal-browser」を紹介しました。WebサイトやローカルのHTMLファイルをコーディングエージェントの横に開けるほか、CLIを介してエージェントがページ内容を確認し、クリックや文字入力などを実行できます。ソースコードはGitHubで公開されています。
このツールは、ターミナルに画像を表示するKitty graphics protocolを利用し、ElectronのオフスクリーンレンダリングAPIでChromiumのピクセルを読み取って描画します。外枠のUIはRust製エンジンとReactのカスタムレンダラーで構築されています。操作時はマウスやキーボードの入力をChromiumへ送り、取得できない入力はSwift製アプリがOSから読み取ります。
最新版はApple Silicon搭載Macのみ対応で、WindowsやLinuxは未対応です。--splitオプションでエージェント画面とWeb画面を並べられ、terminal-browser actionを通じてスナップショット取得やクリック、フォーム入力などをエージェントから実行できます。SSH経由での利用にも対応しています。
感想:
ターミナル生活が捗る?
USB インストールメディア作成ツール「macUSB」の v2.4 がリリースされ、Windows Vista や 7 などのレガシーな Windows と、ベータ版の macOS 27 Golden Gate のインストールメディア作成に新たに対応しました。
Linux
Debianプロジェクトは現在、プロジェクト内でのAI/LLMの利用方針をめぐり、5つの提案(General Resolution)を検討しています。オープンソース開発においてAIの貢献をどこまで認めるかは、歴史あるプロジェクトほど「誰がコードの責任を持つのか」という点で重要な課題となっています。なお、Linus Torvaldsは「AIはツールである」との立場を一貫して取っています。
提案Aは最も厳格で、貢献に限らずドキュメントや翻訳、独自ソフトに至るまでAI/LLMを使った成果物を一切認めないとし、著作権の不明確さや品質、信頼性維持を理由に禁止条項の追加を主張します。提案Cもできるだけ拒否する立場ですが、フリーソフトウェア文化の破壊やデマ拡散といった倫理面を憂慮し、利用回避を「お願い」する形をとっています。
一方、提案Bは「AIは使ってもよいが責任は開発者が負う」という現実的な案で、ライセンス表示などの条件を満たせば利用を認めます。提案Dはさらに実務重視で、禁止しても意味がないとして運用ルールの整備を提唱します。提案Eは判断保留の立場で、状況の変化が激しいため結論を急がず議論を続けるべきとしています。
最終的にどの案が支持されるか、注目されます。
Ubuntuのパッケージ承認作業を効率化するため、機械的チェックとLLMを組み合わせた新bot「Frontdesk」が導入されました。LLMの動作は選択肢を限定し、コメントは1つだけという制約で結果を収束させています。またUbuntu 26.10「Stonking」ではglibc 2.44系への移行が8月1日に予定され、大きな混乱はないと期待されています。加えてルートキットとセキュアブート、GPUやNICのファームウェア汚染といったセキュリティ上の課題も紹介されています。
アプリケーションソフトウェア
Google Workspace
Google Workspaceで週内に多くの新機能が発表されました。
Google Meetでは、スライドや図表などの提示内容を自動でメモに取り込む視覚的スクリーンショット機能が一般提供されます。Google Docsでは、Geminiによるコメントの要約・対応機能や、文脈に沿った画像・図・インフォグラフィックの生成・編集が可能になります。
Google Calendarは大型モニター向けに表示密度を調整できるようになり、Google Sheetsでは複数のx軸を持つ散布図の作成に対応します。Google FormsではGeminiで小テストを自動生成できます。
またGmailでは、BCCで受信したスレッドへの全員返信時に警告を表示し、情報の誤送信を防ぐ機能が追加されます。
業界動向・時事
片山財務相が、7月31日に米国財務省と協調して15年ぶりの円買い介入を実施したと発表し、追加の協調介入も辞さない姿勢を示しました。
熊本地震を受け、トヨタの燃料電池バス派遣やジムのシャワー無料開放をはじめ、通信・物資・エアコン提供など企業による被災地支援が幅広く広がっています。
25年前、マイクロソフトのバルマーCEOはリナックスなどのオープンソースを「がん」と痛烈に批判しました。しかし以後、オープンソースは着実に実績を積み、グーグルのアンドロイドは世界のスマホ市場で7割を占めるまでになりました。中国も国策として推進し、生成AIで米有力企業を追い上げています。7月に上場したティアフォーの加藤氏も、米国勢に対抗する武器としてオープンソースの自動運転開発に挑んでいます。かつて敵視したマイクロソフトも姿勢を転換しており、日本も競争力向上に活用する発想が求められます。
日本経済新聞の藤井彰夫論説主幹が、2020年代の10大ニュースを独断で選びながら、この10年がどんな時代かを論じています。
第1位は新型コロナウイルスの感染爆発で、700万人を超す犠牲者を出し、社会の分断を今も残しています。続いて生成AI革命、ロシアのウクライナ侵略、トランプ2.0と関税戦争、世界的なインフレ進行、香港国家安全維持法の施行、米中AI・半導体戦争、中東紛争の拡大、グローバルサウスの台頭、気候変動災害の激化が並びます。
これらを俯瞰すると、既存の国際秩序の動揺と世界の分断、新技術による社会変革が同時に進む歴史的転換期が浮かび上がります。法の支配や自由貿易といった規範が踏みにじられ、自由・民主主義体制が揺らいでいます。
筆者は、関税引き上げ競争や大国間対立が第2次大戦へと突き進んだ1930年代との類似を指摘し、専門家の警告も紹介します。AIによる偽情報拡散が民主主義の脅威となるなか、この10年を「秩序崩壊と悲劇の10年」に終わらせないため、残り3年半が極めて重要だと訴えています。
AIエージェントが認証エラーの解決を試みる過程で本番データベースをわずか9秒で全削除してしまった事故を紹介し、AWSやMetaの事例も交えてAIの「ダークサイド」に警鐘を鳴らす記事です。
