こんにちは!石田大顕です。
まっさらな開発環境を立ち上げ、最初の一行を記述しようとするとき、私たちは画面の向こう側に広がる無限の可能性と同時に、どこか捉えどころのない不安を覚えることがあります。何も書かれていない空白の画面は自由である反面、明確なルールや構造がなければ、ただの無秩序な空間へと変わってしまいます。私は普段、制作会社でのチーフデザイナーとしての経験を経て、フリーランスとしてウェブサイトやアプリの画面設計を行う仕事をしています。日々多くのシステムやフロントエンドの構造と向き合う中で、私が最も強く意識しているのは、この画面の中にいかにして美しく論理的な補助線を引くかということです。私にとってデザインとは、色や派手な動きを足し算して画面を賑やかにすることではなく、複雑なプログラムや要素を綺麗に整理し、利用者を迷わせないための引き算のバランスを取る作業そのものです。
開発の現場を見渡すと、どうしても新しい機能のボタンをたくさん追加したり、より多くの情報を一度に詰め込んだりする、足し算の仕様に傾きがちです。少しでも多機能に見せたい、すべての要素を等しく伝えたいという気持ちは、ものづくりに関わる者として非常によく分かります。しかし、情報がどこまでも溢れかえる現代において、過剰な詰め込みは利用者の視線を曇らせ、操作の迷いを生む大きな原因になってしまいます。どこを押せば自分の目的が達成できるのか分からない、次にどの画面へ進めばいいのか迷ってしまう。そうした小さなストレスが積み重なった結果、人々は静かにそのサービスやアプリを使うのをやめてしまいます。これこそが、多くの設計で見落とされている最大の機会損失です。
だからこそ、私が手がける設計では、徹底的にロジックに基づいた引き算の思考を突き詰めていきます。最初にお客様の事業の目的や、本当に解決したい課題を深く理解するための整理を行い、そこからブレない一本の構造を導き出します。その上で、利用者が画面を開いた瞬間の心理の動きや視線の流れを細かく予測していくのです。最初にどこに目が留まり、次にどう納得し、最終的にどの操作をしたくなるのか。センスや直感という曖昧な言葉に逃げることなく、すべての要素の配置や余白の広さに明確な理由を持たせて論理的に組み立てます。
目に見えない一本の補助線が全体の調和を支えるように、画面の要素に理由を持たせることで、コードの複雑さを減らし、システムの使いやすさを大きく向上させることができます。ただ見た目が綺麗な画面を作るのではなく、使う人の手が自然と動くような心地よい体験を作る。それこそが、技術とビジネスを強く結びつける本質的な表現だと確信しています。
感覚に頼るのではない、一本の筋道を通したロジックを持つことで、複雑なシステムの世界の中でも迷わずに進むことができるのです。