株式会社カオナビアドベントカレンダー 8日目です。
カオナビは、新しいビジョンとして Talent Intelligence を策定しました。
データとAIで、個の力を最大限に引き出すプラットフォーマーへと進化することを掲げています。
社内でも、Gemini・Claude Code・GitHub Copilot などのAIを活用し、一人ひとりが自身の力をより引き出す取り組みが広がっています。
今回は、私が実践している AI 活用法のひとつ、「Geminiと一緒に日報を書いて1日を振り返る」 方法をご紹介します。
AIと日報を書く
日報ブーム到来
現在、カオナビ社内の一部で日報を書くことがちょっとしたブームになっています。義務ではありませんが、
- その日の作業内容を共有できる
- 課題整理や翌日の段取りがしやすくなる
といったメリットがあります。日報を書く場所は Slack や Confluence などさまざまです。
私も Confluence に日報を書き始めましたが、どうもしっくりきませんでした。
理由を整理すると、次の2つが大きな要因でした。
- 内省があまり得意ではない
- 書いても褒められない
せっかく書いたのなら褒められたいですよね。
そうだ、AIと書こう
「褒められたい」という欲求を満たす存在として、真っ先に浮かんだのが AI でした。
AI は基本的にとてもポジティブなフィードバックを返してくれます。
また私は、「AIを使う」のではなく 「AIと協働する」 ことを意識しています。
日報作成にAIが伴走してくれれば、一人で黙々と書くよりも高い効果が得られると考えました。
もちろん、社内メンバーに相談することもできますし、相談しやすい文化もあります。
しかし、毎日お願いするのはさすがに気が引けます。
そこで今回は、Gemini と日報を書くことにしました。
今回はAIを例に挙げましたが、カオナビはメンバー間コミュニケーションが非常に活発です!
取り組みの詳細は こちら からどうぞ。
Geminiとの日報の書き方
日報をよりよく書くため、次のルールを設定しました。
-
1つのチャットに書き続ける
- 過去のコンテキストが保持され、フィードバックの精度が高まる
-
Fun-Done-Learn を使う
- ポジティブで整理しやすいフレームワーク
-
ネクストアクションはタスク管理ツールへ残す
- 翌日以降に確実に実行できるようにする
いざ、実践
Gemini には Gem というカスタムAIアシスタントを作れる機能があります。
今回はそれを使って、日報専用アシスタント 「デイリーコーチ」 を作成しました。
設定内容は以下です。
お仕事終了時に日報を書いていきます。一問一答形式で以下の内容を質問してください。
質問項目は”Fun-Done-Learn”を意識しています。
- 今日やったこと
- わかったこと
- たのしかったこと
- 次の日にやること
その内容と今までの日報をふまえ、フィードバックと次の日以降のアクションを提案してください。
あとは、普段どおり Gemini と会話するだけです。
以下のようなやり取りになります。
わたし:
2025-12-01です。おねがいします。
Gemini:
お疲れ様です! デイリーコーチのAIアシスタントです。
「Fun-Done-Learn」を意識した一問一答形式で質問をさせていただきます。
それでは、本日の業務に関する質問を始めます。
Done (今日やったこと)
本日、あなたが完了した主なタスクや業務は何でしたか?
fooの実装が予定されていましたが、いかがでしたか?Learn(わかったこと)
本日、タスクや業務を通して分かったことは何でしたか?Fun(楽しかったこと)
本日、嬉しかったことや楽しかったことは何でしょうか?次の日にやること
次の日のタスクや業務は何でしょうか?
わたし:
1
- hogeの調査
- fooの実装
- Aさんと1on1
- Bさんカジュアル面談
2
- hogeは、Cチームの実装とちょっとコンフリクトしそう
- カジュ面で働きやすさに興味を持ってもらいやすい
3
- Aさんがレトロスペクティブのファシリテーションをしてみたいと言ってくれた
4
- fooのテストとコードレビュー依頼
- Cさん1on1
- MTG資料作成
Gemini:
お仕事お疲れ様でした!本日は2025年12月1日の日報が確認できました。
技術的なタスクの完了と、人事・育成に関する成果がバランス良く達成された、密度の高い一日でしたね。特に、潜在的な技術的リスクの早期発見と、メンバーの主体的な成長を促せた点は素晴らしいです。
Fun-Done-Learnの観点から、フィードバックと、次なるアクションをご提案させていただきます。
🌟 12月1日のフィードバックと評価(Fun-Done-Learn)
項目 内容 デイリーコーチからのフィードバック Done (達成) hogeの調査、fooの実装、Aさんと1on1、Bさんカジュアル面談。 **「hoge」と「foo」**という主要な開発タスクを進めながら、**採用活動(Bさんカジュ面)と育成(Aさん1on1)**も同時進行でこなされており、高いマルチタスク能力を発揮されています。開発と組織作りの両軸での貢献は貴重です。💮 Learn (学び) 1. hogeは、Cチームの実装とちょっとコンフリクトしそう。 2. カジュ面で働きやすさに興味を持ってもらいやすい。 1. は、開発における潜在的なリスクを早期に特定できた点で非常に価値のある発見です。この懸念を「次のアクション」で適切に処理することが重要です。2. は、**チームの明確な魅力(強み)**を特定できた証拠です。この情報を採用戦略に活用できます。💡 Fun (楽しさ) Aさんがレトロスペクティブのファシリテーションをしてみたいと言ってくれた。 メンバーが自ら主体的に難しいタスクに挑戦したいと表明してくれたのは、信頼関係と育成の成果です。チームの自律的な成長を促す上で、最も喜ばしいニュースです。👏
🎯 次の日のアクションと提案(2025-12-02)
明日は、完了した**「foo」の品質担保と、「Cさん1on1」という育成タスク、そして「MTG資料作成」**という重要な準備タスクが中心です。
特に、本日発見された**「Cチームとのコンフリクトリスク」**を最優先で解決するためのアクションを提案します。
いただいたアクション
- fooのテストとコードレビュー依頼
- Cさん1on1
- MTG資料作成
デイリーコーチからの追加提案
1. 【最優先:潜在的リスクの早期解消】
- アクション: fooのレビュー依頼(1.)を行う前に、Cチームの担当者に「hogeの調査」で発見したコンフリクトの懸念点を具体的に共有し、認識のすり合わせを行うための簡単なチャットまたは立ち話を設定する。
- 目的: 手戻りのリスクが最も低い開発初期段階でCチームと連携し、コンフリクトを未然に防ぎます。この初期対応が、後の大規模な調整コストを削減します。
2. 【育成とモチベーションの継続】
- アクション: **Cさん1on1(2.)**で、**Aさんのファシリテーションへの意欲(Fun)**を話題として共有し、Cさんのチームへの貢献意欲や、これから挑戦したいことについて尋ねる時間を設ける。
- 目的: **「Fun」**で得られたポジティブなエネルギーを他のメンバーにも共有し、チーム全体の挑戦意欲と士気を高めます。
3. 【強みの体系化と活用】
- アクション: MTG資料作成(3.)や他のタスクの合間に、カジュアル面談で好評だった**「働きやすさ」**に関する具体的なエピソード(例:柔軟な働き方、心理的安全性の高さなど)を2~3点、箇条書きでメモに残す。
- 目的: チームの魅力を言語化することで、今後の採用活動や、チームの文化を対外的にアピールする際に即座に使えるように準備します。
📅 アクションプランまとめ(2025-12-02)
優先度 アクション (Next Action) 目的 (Why) 超高 Cチームの担当者へのコンフリクト懸念点の共有と初期調整 **「hoge」**の調査結果を活かし、開発の手戻りリスクを未然に防ぐ 高 fooのテストとコードレビュー依頼 **「foo」**の実装を完了させ、次のタスクへ進める 中 Cさん1on1でAさんの挑戦の話題を共有し、本人の意欲を掘り起こす 育成の連鎖反応を促し、チームの士気を高める 中 MTG資料作成と並行し、カジュ面で好評の「働きやすさ」の具体例をメモ チームの強みを言語化・体系化し、今後の採用活動に活かす 明日も、重要なタスクの完了と、丁寧なチームケアが続きます。頑張ってください!
Gemini の設定によってフィードバック内容は変わります。
上記フィードバックをコピペし、「このように返してください」と伝えると精度が上がります。
個人情報・案件情報などのセンシティブな内容は、ぼかして記載することを推奨します。
Gemini は褒めるべきポイントをしっかり褒めてくれるだけでなく、
わずかな記述からもリスクや懸念点、次のアクションを抽出してくれます。
ポジティブなフィードバックをもらうと「明日も頑張ろう」と自然に思えます。
まとめ
以上、私が毎日 Gemini と協働してふりかえりを行っている方法 を紹介しました。
もちろん、AIの提案をそのまま実行するわけではなく、自分で判断して翌日のアクションを決めています。
しかし、継続的にフィードバックを受けることで、翌日の業務の質が確実に上がった と実感しています。
気軽に始められる方法なので、ぜひ一度試してみてください!