物理学の見つけ方 振り子の運動方程式 の式について、丁寧に見ていきます。
振り子の1次元とは
伸びないヒモに吊るされた質点に下方向の力だけ加わるという状態。
下方向への運動は無いので、質点の位置$x$は常に$0$という答えがすでにわかっている問題
ここで何が問題かというと、外力が加わった時反発力として内部に残さなければならないが、これが凡人がいくら考えても出てこない。
古代の大天才が見つけ出した素晴らしい方法を知ったのでここに記録として残す。
式の展開は限りなく丁寧にし、変数についてはできるだけ単位をつける。
式(1) 質点の運動方程式
m \ddot x=f+f^c
$m$:質点の質量[kg]
$x$:質点の位置[m]
$\dot x$:質点の位置の時間による1階微分=速度[m/s]
$\ddot x$:質点の位置の時間による2階微分=速度の1階微分=加速度[m/$s^2$]
$f$:外力[N=kg m/s62]
$f^c$:拘束力[N=kg m/s^2] 添字のcはconstraintやと思う、
左辺の$m\ddot x$は物理の教科書の1ページ目に書いてあるニュートンの$F=ma$を意味する。
式(2) 拘束条件
G(x)= |x|-l=0
この式は、$x$と原点との距離は常に$l$ということを示している。
$|x|$はベクトルの場合の絶対値で、2次元の場合は、$\sqrt{x^2+y^2}$を意味する(ヒモの根本は原点とした時)。
3次元の場合は$ \sqrt{x^2+y^2+z^2} $となる。
abs(x)-l=0
式(3) 拘束条件の微分(時間)
\dot G_t=0
導出 拘束条件は時間変化することを明記する
G(x(t))= |x(t)|-l=0
$\dot G_t$は拘束条件を時間$t$を微分したものを表す。
$l$は時間的に変化しないので、ただの定数なので、微分すると$0$になる。
拘束条件の1次元verの微分
G(x(t))=|x(t)|-l=x(t)-l=0 \\
\\
\dot G(x(t)) = \dot x(t)-0 =0 \\
\dot G(x(t)) = \dot x(t)=0
拘束条件の一階微分の意味する所は、時刻が変化しても速度がゼロなので、運動しないことを示す。
式(4) 拘束条件その2
\dot G(x) \equiv ( \nabla G)^{\mathrm{T}}\dot x
$\nabla$Gとは? 3次元ver Gをその座標系で微分したもの
\nabla G= \left(
\begin{array}{ccc}
\frac{\partial G}{\partial x} \\
\frac{\partial G}{\partial y} \\
\frac{\partial G}{\partial z} \\
\end{array} \right) \\
\\
今回は1次元なので、
(\nabla \dot G)^{\mathrm{T}}\dot x = \left( \frac{\partial G}{\partial x} \right) \dot x =0 \\
$\left( \frac{\partial G}{\partial x} \right)$は、拘束条件$G$を$x$で微分するため、時間(t)で微分した式(3)とは異なる。
\left( \frac{\partial G}{\partial x} \right) \dot x =0
それぞれの項をみると、
G\left( x \right)=x-l \\
\left( \frac{\partial G}{\partial x} \right) =1-0=1 \\
というわけで、
(\nabla \dot G)^{\mathrm{T}}\dot x =1 \times \dot x = \dot x = 0
なので、動かないってことを表してる。
途中まで書いてて、1次元で動きが拘束されてると、
f_c = f
となって、外力が全部拘束力になるだけになった。