温位とは
気象予報士の勉強をしてると突然出てくる式で計算したら出てくるもの。
気象予報士の実質的バイブルである 一般気象学( 第2版補訂版 小倉義光著)のp.53 式(3.34)には以下のような式が記されている。
\theta = T \left( \frac{p_0}{p} \right)^\left( R_d/C_p \right)
$\theta$ : 温位
$R_d$ : 乾燥空気に対する気体定数
$C_p$ : 定圧比熱
$p_0$ : たいてい1000hPa
$p$ : ある気圧[Pa]
逆に言うと、この式だけがポンと出されているだけで、どうやって求めたのかは書いてません。
というわけで、どうやって上記の式が求まったかを示してみました。
前提となる法則とか。
断熱過程
wikipedia先生の断熱過程によると、
理想気体が断熱準静的に変化するとき、圧力と体積の間にはポアソンの法則
$pV^{\gamma}=\mathrm {const.}$
が成り立つ。
ここで、 $p$:圧力 $V$:体積 $\gamma$:比熱比
この式は熱力学を学ぶと覚えさせられる式で、ある圧力と体積と比熱比が決めると断熱変化だと仮定すると、$p$か$V$が決まると$V$か$p$が求まる。
というわけで、以下のような式が成り立つ。
p_0V_0^{\gamma}=p_1V_1^{\gamma}
状態方程式
wikipedia先生の理想気体から状態方程式がある。
pV=RT
これを変形すると
V=\frac{RT}{p}
が現れる。
さらに、気体定数$R$と比熱比$\gamma$には以下のような法則があるらしい。
C_p-C_v=R
\gamma = \frac{C_p}{C_v}
数式変形
p_0V_0^{\gamma}=p_1V_1^{\gamma}
上記の式に下記の式を代入する。
V=\frac{RT}{p}
p_0 \left( \frac{RT_0}{p_0} \right) ^ {\gamma}=p_1 \left( \frac{RT_1}{p_1} \right)^{\gamma}
Rは右辺・左辺共に共通なので消す。
p_0 \left( \frac{T_0}{p_0} \right) ^ {\gamma}=p_1 \left( \frac{T_1}{p_1} \right)^{\gamma}
指数を展開
\frac{T_0^\gamma}{p_0^{\gamma-1}} = \frac{T_1^\gamma}{p_1^{\gamma-1}}
式変形
T_0^\gamma=\frac{p_0^{\gamma-1}}{p_1^{\gamma-1}}T^\gamma
式変形
T_0 =\frac{p_0^ \frac{\gamma-1}{\gamma}}{p_1^\frac{\gamma-1}{\gamma}}T_1
式変形
T_0 =T \left( \frac{p_0}{p_1} \right)^{\frac{\gamma-1}{\gamma}}
次に$\frac{\gamma-1}{\gamma}=1-\frac{1}{\gamma}$を求める。
C_p-C_v=R
\frac{C_p}{C_p}-\frac{C_v}{C_p}=\frac{R}{C_p}
1-\frac{C_v}{C_p}=\frac{R}{C_p}
1-\frac{1}{\gamma}=\frac{R}{C_p}
以上より、
T_0 =T \left( \frac{p_0}{p_1} \right)^{\left( \frac{R}{C_p} \right)}
まとめ
この式変形から筆者が思う温位の定義は、上空のどこかの高度(気象予報士試験の世界では圧力)に乾燥空気が温度$T_1$[K]で存在するとき、温度ってのは$pV=RT$に従って圧力その他諸々で変化するし、評価できないから、1000hPaまで断熱変化したとした時の温度にしたのだろうなぁと。