バイブコーディングで一番つらいのは、乗ってきたところで Claude Code に「上限に達しました」と言われる瞬間だと思います。あと数回やりとりすれば動きそうなのに、数時間待つことになる。
私は古参開発者ではありますが Claude Code を何枚も並べて並行でアプリを作っていて、この表示をよく見ます。そこで、枠を何に使っているのかを見直しました。すると、作ってもらうこと以外に「ちゃんとできてるか確認して」にもかなり使っていました。
この記事は、その確認の係だけを、自分のPCで動く無料のAIに任せた話です。設定の手順と、実際に試してどこまで任せられたかを書きます。
定額プランの安さは、たぶん今だけ
少しだけお金の話をさせてください。
PayPay は最初、お店の決済手数料を無料にして一気に広まりました。無料だったのは2021年9月までで、10月からは有料になっています。広まるまでは赤字でも配り、広まってから払ってもらう、という順番です。
AIの定額プランも、同じ道にいるように見えます。2025年には Cursor が料金の仕組みを使った量に応じる形に変え、Claude の Pro / Max には週ごとの上限が付きました。
数兆円を研究費につぎ込んでいるAIが今ありえないほど安いサブスクで使えているのは、AIを広めるための一時的な特別価格なのかもしれません。だとすると、Claude Code に何でも頼む使い方は、この先だんだん高くつきます。
コードを読まない人ほど、チェック係が要る
バイブコーディングでは、AIが書いたコードを一行ずつ読むことはあまりしません。動けばよし、で進められるのが良さです。
ただ、動くことと、そのまま GitHub に上げて大丈夫なことは別です。AIは次のようなものを平気で残します。
- 試しに書いた API キーやパスワード
- 動作確認のために入れた
console.logやprint - 「日本語で書いてね」のような、自分で決めたルールを破った部分
これを毎回 Claude Code に「確認して」と頼むと、そのぶん上限が早く来ます。とはいえ、確認をやめるのは怖い。そこで、確認だけを別のAIにやらせることにしました。
チェック係は、自分のPCで動くAIで足りた
ローカルLLMは、ネットの向こうの AI サービスを使わず、自分のPCの中で動かすAIのことです。月額料金はかからず、何回頼んでも増えるのは電気代だけです。Ollama というアプリを入れると、Qwen(アリババが公開しているモデル)などを動かせます。
ただし、PCは選びます。私の環境はゲーム用の GPU、RTX 3090(メモリ24GB)で、使ったモデルは約17GBでした。GPU の無いノートPCでは、ここまでのモデルは実用的な速さで動きません。
実際のプロジェクトで2つ試しました。
1つめは「ルールを守っているか」の確認です。 「テストの失敗メッセージは英語で書く」というルールを渡して、実際の変更の中から違反を探させました。違反は3か所あって、3か所とも見つけました。 しかもこの3か所は、私も気づかないまま保存していたものです。
2つめは、少し意地悪なテストです。 実際に起きたバグ(Windows のメモ帳で保存した設定ファイルが読めない)を、直す前のコードで見せました。こちらは2回やって、2回とも見逃しました。 「メモ帳は保存するときに見えない印を付ける」という知識はコードに書いていないので、仕方ないと思います。
1回の確認にかかったのは約90秒です。
ここから言えるのは、「何を探せばいいか」を言葉で渡せる確認は、自分のPCのAIで足りるということです。キーの書き込み、消し忘れ、自分で決めたルールがそれに当たります。原因の分からないバグ探しは、これまでどおり Claude Code に頼みます。
90秒を待たないで済むように、自動で回す
90秒は、自分でコピペして待つには長いです。これを毎回やるのは続きません。
そこで、自作の SHIKISHA-TERM で自動にしました。AIを何枚も並べて動かすための Windows 用ターミナルで、無料・オープンソースです。
できあがる流れはこうです。
- Claude Code に「ログイン画面を作って」と頼む
- Claude Code が作り終わると、変わった部分が自動でチェック係のAIに渡る
- 問題が無ければ、チェック係は「なし」と返して終わり。Claude Code の枠は使わない
- 問題があったときだけ、「ここを直して」が Claude Code に戻る
こちらがやるのは1だけです。
設定は2つ
タブを追加して、種類を「モデル(API接続)」にします。Ollama に入っているモデルが候補に出るので、選ぶだけです。「応答を待つ秒数」は 0(待ち続ける)にしておくと安心です。
デスク(タブをまとめている単位)の設定を開くと「自動化」があり、その中に「AIに書いてもらう」という欄があります。そこに、日本語でこう頼みます。
Claude Code のタブが作り終わったら、変更の差分をチェック係のタブに送って、
APIキーの書き込み・デバッグ出力の消し忘れ・英語で書くルールの違反を探させて。
チェック係が「なし」以外を返したときだけ、その内容を Claude Code に送って直させて。
「生成」を押すとコードができるので、内容を見て「反映」を押します。自分でコードを書く必要はありません。
参考までに、私の手元で動いているのはこれです。タブの設定の「自動化での呼び名」を、Claude Code のタブは main、チェック係のタブは qwen にしておけば、そのまま貼って使えます。
local RULES = [[
次の差分で追加された行のうち、下の規則に違反しているものを
ファイル名と行を引用して全部挙げてください。無ければ「なし」とだけ答えてください。
- コメント・ログ・テストの失敗文は英語で書く
- デバッグ用の出力を残さない
- トークンやパスワードを書かない
]]
if tab.id == "main" and tab.chain_depth == 0 then
local diff = shikisha.git_diff()
if diff ~= "" then
shikisha.send_to_tab("qwen", RULES .. "\n```diff\n" .. diff .. "\n```")
end
elseif tab.id == "qwen" then
if not tab.reply:match("^%s*なし") then
shikisha.send_to_tab("main", "ローカルのチェックで指摘がありました。直してください:\n" .. tab.reply)
end
end
tab.chain_depth == 0 の行があるので、チェックが走るのは自分が頼んだ仕事のあとだけです。直してもらったあとは走らないので、行ったり来たりが続くこともありません。
もうひとつ、上限対策に効くものがあります。Claude Code が上限で止まったときにだけ動くきっかけ(on_limit)も入れました。止まったらスマホに知らせる、といった使い方ができます。
ついでに入れたもの
同じお願いを、4つのAIに同時に投げる
プロジェクトの + から「ワークツリーを追加」を選び、「AIごとに1つ作る」にチェックを入れて「作る」を押します。すると Claude Code・Codex・Gemini CLI などに、それぞれ別のフォルダで同じお願いを渡せます。
上がってきたものを見比べて、一番いいものを採ればいいので、どのAIに頼むか悩む時間がなくなります。1つのフォルダで2つのAIを動かすと、お互いのファイルを上書きし合って壊れます。フォルダを分けているのはそのためです。
PCを閉じても、AIに作業を続けさせる
Linux のサーバーに置く版も作りました。サーバーで動かしておけば、ノートPCを閉じてもAIは作業を続け、進み具合はスマホから見られます。クラウドの使い捨て環境(E2B)の上でAIを動かすこともできます。
正直なところ
- チェック係のAIには、それなりの GPU が要ります。GPU の無いPCでは、この使い方は現実的ではありません
- チェック係は見落とします。「何を探すか」を言葉で渡せないバグは、これまでどおり Claude Code に頼んでください
- AIが新しく作ったファイルは、git に登録されるまで確認の対象に入りません
- SHIKISHA-TERM は Windows 用です(サーバー版は Linux)
おわりに
上限が来るたびに待つより、「これは Claude Code じゃなくてもいい」という仕事を1つ外したほうが、止まる回数は減ります。いちばん外しやすいのが、確認の係でした。
GPU の載ったPCをお持ちなら、まずは Ollama を入れて、自分のルールを3行書いて渡してみてください。それを毎回自動で回したくなったら、SHIKISHA-TERM を触ってみてください。Microsoft Store からも入れられます。



