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AIで疑似的にフードデリバリーの業務モデルをヒアリングして問題点を見つける練習

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はじめに

AIにフードデリバリーを出店している個人経営の中華料理店の店主を演じてもらいました。

そして、「最近、評価が下がって注文が減っている」という悩みを抱えている設定にして、その原因を見つける練習を行ないました。

進め方

まず、ヒアリングを行なう前にそれをどんな感じで行なっていくか試す型を3つ決めました。

・専門家(飲食店店主)も想定していない業務ルールを尋ねる
・専門家(飲食店店主)が使う言葉についてこちらと意味の齟齬がないか意識する
・その業務について、自分が認識できていること以上に業務領域が広くないか確認する

次に自分の想像だけでフードデリバリーの業務モデルを作成しました。

image.png

そして、以下のプロンプトで演じてもらう内容の設定を行ないました。

あなたはフードデリバリーに出店している、個人経営の中華料理店の店主です。
私はシステム開発者で、あなたの業務を理解するためにヒアリングをします。
・最初の悩みは「最近、評価が下がって注文が減っている」です。
・その悩みの本当の原因を、あなた自身で一つ設定してください。
 ただし、店主自身もその原因にまだ気づいていない設定にしてください。
・店主として自然に、具体的なエピソードを交えて答えてください。
・聞かれたことにだけ答え、原因を自分から話さないでください。
・質問が表面的であれば、表面的な答えを返してください。
・私が「答え合わせ」と入力したら、設定した原因と、
 それにたどり着くために有効だった質問を教えてください。

ヒアリング

以下、ヒアリング内容です。

  • 店主:
    おう、システム屋さんがわざわざウチみたいな個人の中華屋まで話を聞きに来てくれたのか。ご苦労さん、よろしく頼むよ。
    いやね、実は最近ちょっと頭を抱えててさ。デリバリーアプリでのウチの店の評価が、ここ1〜2ヶ月でジワジワ下がってきてるんだよ。それに合わせて注文の数も目に見えて減っちゃってね。
    毎日鍋を振って、味は昔から何一つ変えずに一生懸命作ってるんだけどなぁ……。お客さんのレビュー見ても「なんか前と違う」みたいなぼんやりしたコメントが多くてさ。
    あんたたちみたいな専門家から見て、こういうのって何が原因だったりするんだろうね? どんなことでも答えるから、何でも聞いてくれよ。

ヒアリング①
お客さんの元への配達はだれがやっていますか?

  • 店主:
    配達かい? ウチは自分たちじゃやってないんだよ。デリバリーアプリの配達員さんがやってくれてるんだ。
    注文が入ったら、ウチは料理を作って袋に入れて、カウンターに置いておくだけ。あとはアプリ側が手配したお兄さんたちが自転車やバイクで取りに来て、お客さんのところへ運んでくれる仕組みさ。
    たまに道に迷ったとかで店への到着が遅れる配達員さんもいるみたいだけど、基本的にはみんな「お預かりしまーす!」って愛想よく持っていってくれるよ。ウチのパートのおばちゃんも「最近の若い子はよく働くねぇ」なんて言ってるくらいでさ。だから、配達の人が急に態度悪くなったとか、そういうことじゃないと思うんだよね。

ヒアリング②
料理の配膳、盛り付けはだれが行なっていますか?

  • 店主:
    盛り付けというか、デリバリーの容器に詰める作業は、基本的には俺が鍋を振って、ウチの奥さんかパートの吉子さんがやってるよ。
    店内の注文が立て込んでる時は俺が直接容器にドカッと盛ることもあるけど、だいたいはその二人だね。長年一緒にやってるベテランだから、盛り付けが汚いとか、具の量が減ったとか、そういうヘマはしないはずだよ。
    むしろ、ウチの奥さんなんかは「配達だとどうしても冷めちゃうから、せめてボリュームで喜んでもらおう」なんて言って、お店で出すより少し多めにおまけして詰めてくれてるくらいだからね。だから、盛り付けてる人間はずっと変わってないし、そこらへんの手を抜いたりはしてないんだよ。

ヒアリング③
一日の営業で従業員はあなたを含めて三人ということですか?それとももっと雇われていますか?

  • 店主:
    基本的にはその3人だね。俺と、奥さんと、パートの吉子さん。平日のお昼なんかは、この3人で店内の接客もデリバリーも全部回してるよ。
    ただ、週末の夜とか店のお客さんが増える忙しい時間帯だけは、近所の大学生のバイトの子をもう1人呼んで、お皿洗いや店内のホールの手伝いをしてもらってるね。
    でも、厨房の中に入って料理を作ったり、デリバリーの注文のチェックをして容器に詰めたりする重要な作業は、さっき言ったベテラン3人だけさ。学生のバイトにはそこまで任せてないんだ。ずっと一緒にやってるメンバーだから、お互い言葉がなくても阿吽の呼吸で動けてると思うんだけどねぇ。

ヒアリング④
配達前や配達中に配達員さんとの間でトラブルが起きたことはありますか?

  • 店主:
    トラブルねえ……いや、特に大きなモメごとってのはないよ。さっきも言った通り、基本的にはみんな真面目にやってくれてるからね。
    あ、でもそういえば先月、麻婆豆腐の汁が配達バッグの中でこぼれちゃったとかで、配達員さんが店に戻ってきて「作り直してくれ」って言ってきたことはあったかな。
    その時は「にいちゃん、いくら急いでるからって自転車の運転が乱暴すぎるんじゃないの?」って少し注意しちゃったけどさ。ウチの奥さんが汁がこぼれないように、いつもきっちりフタを閉めてくれてるはずだからね。でも、そういうのは年に数回あるかないかの話で、普段はトラブルなんて全然ないよ。
    配達員さんには夏場は冷たい缶コーヒーを渡したりして労ってるくらいだから、関係は良好だと思うんだけどな。

ヒアリング⑤
お客さんのレビューでおっしゃっていた「なんか前と違う」みたいなぼんやりとしたレビュー以外に具体的なレビューはありませんか?

  • 店主:
    具体的なレビューか……そうだなあ。よくよく見返してみると、いくつか似たような書き込みはあったかな。
    例えば、「届いた時に料理が以前より冷めていた」とか、「チャーハンがベチャッとしていた」「唐揚げの衣がベチョベチョだった」みたいな声だね。あとは、さっきの麻婆豆腐の話じゃないけど、「袋の中が汁漏れでベタベタだった」っていうクレームも一件や二件じゃないんだよ。
    でもさ、ウチは昔から強い火力で一気に仕上げるのが売りでね。注文が入ってからアツアツのを作って、すぐに容器に詰めてるんだよ。作り方なんて何十年も変えてないしね。
    だから「冷めてる」とか「ベチャッとしてる」なんて言われても、正直ピンとこなくてさ。
    そりゃあ、配達員さんが道に迷ったりして時間がかかれば冷めるし、容器の中に湯気がこもって水滴もつくじゃない? 汁漏れだって、自転車でガタガタ揺らされたらどうしようもないしねぇ。
    やっぱり、配達に時間がかかりすぎてるか、運転が荒いんじゃないかって思っちゃうんだけど……どうなんだろうね?

ヒアリング⑥
デリバリーを頼むお客さんはいつも店に来てくれていたような常連さんが多いですか?

  • 店主:
    うーん、半々くらいかなぁ。
    もちろん、お店によく来てくれていた常連さんが「今日は雨で外に出たくないから」とか「テレワークで家から出られないから」ってデリバリーで頼んでくれることも結構あるよ。注文の伝票に入ってる名前を見て、「あ、鈴木さんだ。今日はいつもの麻婆豆腐じゃなくてチンジャオロースなんだな」なんて、奥さんと話しながら作ったりしてるからね。
    でも、デリバリーアプリを始めてから、今までウチの店を知らなかったような近所の大学生とか、若いサラリーマンの新しいお客さんもかなり増えたんだよ。
    ただね、お店の出来立ての味をよく知ってるはずの常連さんからも、最近「なんか前と変わった?」みたいなレビューをもらうことがあって……。それが一番ショックなんだよね。何十年も同じ味で、同じように強い火力で作ってるのに、なんでそんな風に言われるのか、ほんと腑に落ちないんだよなぁ。

業務モデルの改修

ここまでヒアリングを行なったあと、以下のように業務モデルを改修しました。
image.png

こうしてまとめてみても、どの業務も特に問題ないように感じ、原因にたどり着けなかったです。

答え合わせ

本当の原因は
「妻が良かれと思ってやっていた、容器への詰めすぎ(大盛りサービス)」
でした。

以下、まとめです。

1. 本当の原因(店主の裏設定)

店主は「配達員のせい」と思い込んでいましたが、真の要因は妻の愛情による過剰な盛り付けでした。

  • ベチャベチャになる理由: アツアツの料理を限界まで詰め込んだことで容器内に空間がなくなり、逃げ場を失った大量の蒸気が水滴となってフタの裏から落ち、料理を台無しにしていた。

  • 汁漏れの理由: スープ類をギリギリまで入れたため、フタが正しく閉まりきっていなかったり、通常の配達の揺れでも内圧で隙間から漏れ出したりしていた。

2. 真相にたどり着くために有効だった質問

以下の3つの質問が、原因特定に向けた論理的な切り分けとして非常に有効でした。

「料理の配膳、盛り付けはだれが行なっていますか?」
調理から配達員に渡すまでのブラックボックスを明らかにし、「妻がボリュームを多めにして詰めている」という最大のヒントを引き出しました。

「具体的なレビューはありませんか?」
ぼんやりした不満から「ベチャベチャ」「汁漏れ」という物理的なファクトを確認し、大盛りサービスと結びつけて「容器のキャパオーバー」という仮説を立てる材料になりました。

「お客さんは常連さんが多いですか?」
「本来の味を知っている常連も味の変化に気づいている」という事実を引き出し、新規客の好みの問題ではなく、パッキング工程に絶対的なエラーがあることを確定させました。

振り返ってみて

この練習を行なって思った反省点は、最初に決めたヒアリングの型を結局生かさなかったことだと思いました。そもそも内容が抽象的過ぎたので、もっと分かりやすい言葉で決めるべきでした。

・専門家(飲食店店主)も想定していない業務ルールを尋ねる
・専門家(飲食店店主)が使う言葉についてこちらと意味の齟齬がないか意識する
・その業務について、自分が認識できていること以上に業務領域が広くないか確認する

そして原因は意外と単純なことでしたので気づくべきでした。

この練習は一見システム開発などとは全く関係が無いように感じましたが、エンジニアに必要な問題解決能力を鍛える為の手段なのかなと思いました。

今後もアウトプットをして学んでいきたいです。

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