「エンジニアいらなくね?」
そう思ったのは、プログラミングを一切知らない自分が、AIだけを使って動くアプリを3日で作った日だった。
エンジニアの友人に見せたら、しばらく黙っていた。
バイブコーディングとは何か
「バイブコーディング」というのは、コードを書かずにAIに話しかけながらアプリを作ることだ。
自分の解釈ではこうだ。「AIに雰囲気(バイブ)で指示を出して、コードを生成させる」開発スタイル。
プログラミングの知識がなくてもできる。必要なのは「何を作りたいか」という意思と、AIに的確に伝える言語化能力だけだ。
| 従来の開発 | バイブコーディング |
|---|---|
| コードを書く | AIに指示する |
| エラーをデバッグする | AIにエラーを投げる |
| ライブラリを調べる | 「これをやりたい」と言う |
| 数週間〜数ヶ月 | 数日〜1週間 |
自分はエンジニアではない。マーケターだ。コードは「Hello World」すら書いたことがない。
そんな自分が、ChatGPTとCursorを使って3日でアプリを作った。
実際に何を作ったか
「習慣トラッカー」アプリだ。
毎日の習慣(運動、読書、瞑想など)を記録して、継続日数を可視化するシンプルなWebアプリ。
作り方はこうだ。
まずChatGPTに「React使って習慣トラッカーを作りたい。機能はこれだけ」と伝えた。
ChatGPTがコードを出してくれた。
それをCursorに貼り付けて「これを動かして」と言った。
エラーが出た。エラー文をChatGPTに投げた。
修正コードが来た。繰り返す。
3日後、それっぽいUIのWebアプリが動いていた。
エンジニアの友人の反応
「見せてほしい」と言ったエンジニアの友人(経験7年)に、アプリのデモを見せた。
しばらく画面を触って、彼が言った言葉は「……これ、コード書いてないの?」だった。
「ChatGPTと話しかけただけ」と答えたら、また黙った。
その後こう言った。
「機能としては動いてるし、UIも悪くない。でも中のコードは絶対にひどい」
「見てもいい?」
コードを見せたら「うん、想像通り。セキュリティホールだらけで、スケールしたら死ぬ。でも、動いてはいる」
「動いてはいる」が全てを表していた。
「エンジニアいらない」論の検証
正直に言う。
「エンジニアいらなくね?」という感想は、半分正しくて半分間違っていた。
| 場面 | エンジニアが必要か |
|---|---|
| 個人ツールを作る | 必要ない(バイブコーディングで充分) |
| プロトタイプを作る | 必要ない |
| 公開して多くの人に使ってもらう | 必要 |
| スケールさせる | 絶対に必要 |
| セキュリティを担保する | 絶対に必要 |
| 障害対応する | 絶対に必要 |
自分が作ったアプリは「個人が使う程度のツール」だった。
それで十分な用途なら、エンジニアは確かにいらない。
でも「ビジネスとして動かす」レベルになった瞬間、バイブコーディングの限界が露わになる。
IT業界に起きていること
バイブコーディングの台頭は、IT業界に確実な変化をもたらしている。
自分のような素人が「動くもの」を作れるようになった。
これは何を意味するか。
「コードを書く」というスキル自体の価値が変わりつつある、ということだ。
ジュニアエンジニアがやっていた「仕様をコードに落とす」作業の一部は、AIに置き換わる可能性がある。
| 変わりにくいスキル | 変わりやすいスキル |
|---|---|
| アーキテクチャ設計 | ボイラープレートのコーディング |
| セキュリティ対策 | 簡単なCRUD実装 |
| 障害調査・原因特定 | テストコードの初期作成 |
| 要件定義・ユーザー理解 | ドキュメントの形式化 |
エンジニアが「いらなくなる」のではなく、「求められるスキルセットが変わる」が正確だろう。
素人がバイブコーディングで詰まったポイント
「AIに指示するだけ」は正確ではなかった。
詰まったポイントを正直に書く。
1. 「何を作りたいか」を明確にするのが難しい
「なんかいい感じの習慣アプリ」では、AIは動けない。
「ユーザーが毎日チェックできる習慣リストがあり、チェックすると連続日数がカウントされ、7日継続するとバッジが出る」
このレベルの具体性が必要だった。
「要件定義」ができない人は、バイブコーディングでも詰まる。
2. エラーメッセージの意味が分からない
AIにエラーを投げれば解決してくれる。でも同じエラーが繰り返し出ると、「何が根本原因なのか」が分からなかった。
エンジニアならパターン認識できるエラーが、素人には毎回「謎のテキスト」だった。
3. 「これで良いのかわからない」不安
動いているように見えても、「正しく動いているかどうか」が判断できなかった。
バグが潜んでいるかもしれないのに、発見する方法が分からない。
バイブコーディングとIQ
バイブコーディングで詰まった経験から気づいたことがある。
「AIをうまく使えるかどうか」は、IQと相関があるかもしれない、ということだ。
AIへの的確な指示出しには「論理的に考える力」「要件を言語化する力」「問題を分解する力」が必要だ。
これらは認知能力の中核と重なる。
コードを書く力がなくても、「AIを適切に使う力」がなければ、バイブコーディングは機能しない。
「エンジニアいらない」の本当の意味は「コーディングスキルがなくても作れる」であって、「知的スキルが不要になった」ではない。
むしろ「コードという補助輪がなくなった分、素の認知能力が試される」とも言える。
まとめ
| 問い | 答え |
|---|---|
| コード知識なしで動くアプリを作れるか | Yes(個人利用レベルなら) |
| エンジニアはいらなくなるか | No(役割は変わるが必要は続く) |
| バイブコーディングに必要な能力は何か | 要件定義力、論理的言語化、問題分解力 |
| IQとの関係は | 認知能力が高いほどAI活用が上手くなる可能性がある |
「エンジニアいらなくね?」は半分正しかった。
でも「思考力いらなくね?」は全く正しくなかった。
AIが「コードを書く作業」を肩代わりしてくれる時代でも、「何を作るべきかを考える力」は人間にしかできない。
そしてその力は、IQと深く関係している気がする。
