はじめに
WinActorを利用している現場でよく見かけるのが、「動かなくなるのが怖い」「作業時間の確保が難しい」といった理由で、古いバージョンのまま運用を続けているケースです。
しかし、Microsoftによる VBScriptの非推奨化(将来的な廃止) の発表により、現状維持はもはやリスクとなっています。
本記事では、中級者の方向けに、最新バージョンへのアップデート手順とPython環境への移行の注意点をまとめます。
1. なぜ今、バージョンアップが必要なのか?
ライフサイクルポリシーの遵守
旧バージョンの多くは、すでにメーカーサポートが終了しています。
- Ver.7.5.1は 2026年7月末日 をもって販売・サポートが終了します。
- サポート終了後は、情報のアップデートや修正版のリリースがなくなり、トラブル発生時も自己責任となります。
VBScriptからPythonへの移行
WinActorの裏側で動いているVBScriptが将来的に使えなくなるため、メーカーはPythonへの移行を進めています。
- Ver.7.5.0より : 独自ライブラリをPythonベースで作成可能に。
- Ver.7.6.0以降 : Pythonでの動作に対応し、VBScriptとPythonの共存も可能です。
2. バージョンアップの具体的な手順
WinActorのバージョンアップには「自動更新」と「手動更新」の2つのパターンがあります。
① 自動更新(ネット接続環境がある場合)
Ver.7.3.0以上であれば、WinActor画面から直接更新可能です。
- メニューの [ヘルプ] → [更新を確認] をクリック。
- 通知アイコン(ベル)から更新内容を確認し、資材をダウンロード 。
- WinActor終了後にインストーラーが起動します。
② 手動更新(オフライン環境や別端末の場合)
別端末にて確実な動作検証を行いたい場合や、ネット接続がない場合に推奨されます 。
- 販売店・特約店の担当者に連絡し、最新Ver.の評価版資材を入手します。
- 評価版をインストールし、旧Ver.のシナリオが問題なく動くかテストします。
- 問題がなければ、ライセンス移管を実施して製品版に更新します。
3. 環境変化(コード変換)への対応
最新バージョンに上げただけでは、中身のコードはVBScriptのままです。
以下のステップで最適化を行います。
ライブラリ最新化機能の活用
メーカー提供の標準ライブラリであれば、変換ツールで一括入れ替えが可能です。
- [ツール] → [ライブラリ最新化] から実施。
- 変換時に、IE関連のライブラリを「Microsoft Edge起動」へ自動変換する設定も可能です。
- プロパティの設定値は自動で引き継がれます。
同梱ライブラリの微修正・自作ライブラリ
標準ライブラリのスクリプトを改造している場合や、自作ライブラリを使用している場合は注意が必要です。
- 同梱ライブラリの微修正: 最新化されたPython版ライブラリに入れ替えた後、手作業で同様の改造をコード(Python)に施す必要があります。
-
自作ライブラリ:
スクリプト実行ノードをPython実行に入れ替え、コードを書き換えます。
生成AIを利用したコード変換の注意点
生成AIで手軽にPython化できますが、「動いたからOK」と内容を理解せず採用し続けると、技術負債・理解負債・認知負債が蓄積されます。
保守管理時に困らないよう、設計意図の把握を怠らないようにしましょう。
4. まとめ:これからの作業ロードマップ
- 準備 : インストール端末の検討と最新Ver.資材の手配。
- 検証 : 評価版での動作確認とライブラリ情報の収集。
- 変換 : 「ライブラリ最新化」の実施と、自作コードの手動Python化。
- テスト : 単体テストおよび全体テストの実施。
- 移行 : ライセンス移管を行い、本番運用へ。
いずれはすべてのシナリオでPythonへの対応が必要になります。余裕を持って今のうちから「シナリオの棚卸し」を始めておきましょう。


















