クリぼっちのみんな、息してる~~~~~~??????
というわけで、東京大学理学部物理学科の3年生(2022年現在)の稲田です。
そう言う僕のクリスマスはというと、年末の帰省に向けて大量のタスクに追われ、音楽でも聴きながら死ぬ気で作業している(ことになる)と思います。
そう、作業と言えば音楽。
実をいうと僕は物理学と同じくらい音楽が好きで、邦楽ロック(邦ロック)を中心に、毎日様々な音楽を聴いたり演奏したりしています。
そこで、クリスマス(イブ)なのに何の予定も無いみんなに向けて、僕の好きな音楽をたくさん紹介しようかなと思いますので、暇な方はお付き合い下さい。
初めに断っておきますが、僕はいわゆる J-POP と言われる音楽にあまり興味が無く、今回紹介するアーティストの多くは普段から邦ロックを聴かない人にとっては聞き馴染みの無いものばかりだと思います。(一部は文脈によって J-POP に分類されるかもしれませんが、そもそも明確な定義のあるものでもありませんので悪しからず。)
この記事を読んで下さっている方の中で、実際に曲を聴いてくれるのは数%だと思いますし、その内、紹介した音楽を気に入ってくれるのは更にその数%程度だと思いますが、たった一人にでも、たった一曲でも刺さる音楽が共有できれば本望です。
この記事は理物 Advent Calendar 2022の24日目の記事として書かれたものですが、お察しの通り、全く物理学の話は含まれていませんし、数式は一つも出てきません。
「ちゃんと物理学について書かれた記事が読みたいんだ!」という方は、僕が別日に投稿したこちらの記事を読んでいただければと思います。おかげさまで想定よりも沢山の方に読んでいただけているようで、嬉しいような恥ずかしいようなという気持ちですが、ありがたい限りです。
曲紹介の前に
具体的に曲やアーティストを紹介する前に、「良い音楽」とは何かという話をしようと思います。まず、初めに少し反感を買いそうな断言しをますが、音楽に良し悪しはあります。絶対に。
歌一つ取っても、リズムやピッチがガタガタなものよりは安定しているものの方が音楽として良いのは明白ですし、楽器の演奏にも上手い下手はあり、僕のギターの腕がプロのアーティストのそれよりも上であることは決してないでしょう。
ただし、だからと言ってリズムとピッチがピッタリと合っていればそれだけ良いかというと話は別で、そういうところを突き詰めるといわゆる「カラオケバトル」受けするような歌になりますが、それは「音楽としての良さ」とは別の指標を持った別の「良さ」に過ぎません。
テレビ番組などでそういうものが扱われやすいのは、自動的に付けられる点数によって良し悪しを視覚化しやすいからであって、「点数が高ければ絶賛すれば良いし、低ければ貶せばいい」という安易な感覚に落とし込みやすいからでしょう。逆に、そのような場面で「俺は二位の人の歌の方が心がこもっていて好きだけどね」などと発言するのは場違いでしかありません。
つまり、「音楽の良さ」というものは単純に数字に表すことができないほど複雑である一方で、区別できないとは決して言えないという微妙な基準なわけです。
人間は概して単純で楽な手段を選びたくなるものですから、そういうものを前にすると「音楽に良し悪しは無いよ」などと言って判断から逃げようとしますが、そもそもこの世には数値的に単純化できるものの方が圧倒的に少ないでしょう。
お笑い、美術、文学、ひいては料理の味やデザインなど、複雑でも確かに良し悪しが存在するものは沢山あります。
こういった良し悪しを「多様性の尊重」という名目で無視し、「すべて平等」とすることは「判断からの逃走」であり、皮肉にもその文化が持つ多様性や豊かさを破壊するものでしかありません。
また、「良し悪し」と「好き嫌い」の違いにも注意が必要で、必ずしも良いと思うものが好きである必要もなく、逆に悪いと思う方を好きだという意見も多分に認められるものでしょう。「良し悪し」は(判断の差異はあるとしても)他人と共有される指標ですが、「好き嫌い」に関してはどんな立場であっても自由ですし、他人の「好き嫌い」に対して「好き嫌い」の判断をすることもまた自由です。(もちろん、他人に「好き嫌い」を強制をする権利はありません。)
したがって、「多くの人が好むものが良いものだ」とするのも当然誤りであって、ヒットチャートに載っている音楽こそが良いとは必ずしも言えないでしょう。ヒットチャートも「売上」という数字による指標で単純化した基準ですからね。
最近の社会の流行っぽい、「物事の良し悪しなんて判断しないで、好みかどうかで語ればいいし、他人の好きなものは尊重しよう」みたいな意見には結局のところ「自分の判断が他の人や大衆とズレてるのが怖いし、自分の好きが他人とズレていたら嫌だ」という大衆主義だったり同調圧力だったりが見え透いていて気味が悪いなと思います。
だからこそ、この記事を読んでいる皆さんだけでも分かりやすく単純化された指標に流されず、自身の審美眼をもって物事の良し悪しを判断してほしいと思いますし、自分にとって初めて出会う表現に対して「分からない」と蓋をせず、「良い悪い」でも「好き嫌い」でも良いので、判断をすることから逃げない癖をつけてほしいなと思います。
長くなりましたが、僕の好きなアーティストであっても存分に「良し悪し」や「好き嫌い」を判断してもらって結構ですので、まずは色々と聴いてみてください。多分ここまで読んでる人ほとんどいない。
曲の紹介
紹介の方針としては、僕の好きなアーティストから一曲ずつ、共有の都合上 YouTube にアップロードされているものを持ってくる形にします。曲に対して簡単なコメントは付けますが、基本的には僕の感想がベースで、あまり多くのことは語らないつもりです。何を語るよりも聴いてみるのが一番だと思うので!
明確にジャンル分けとかはしないつもり(そもそも基準が曖昧)なので、曲名とかバンド名とかでビビっと来たものを聴いてみてください。それでは、どうぞ。
1999 (羊文学)
まずは一応クリスマスということでこちらの曲から。ここ数年で一気に有名になったので知ってる方も多いかと思います。最近は「羊文学よく聴きます」がちょっと前の「きのこ帝国よく聴きます」みたいな扱いになってますね。(伝わる人にだけわかれば良いです。)
海と花束(きのこ帝国)
話題に出したのできのこ帝国からも一曲。とにかく心地良いです。夜や早朝に聞くととてもすっきりとした気分になります。この曲が好きだったら「シューゲイザー」(特に日本)というジャンルを漁ると良い曲に出会えると思います。
Misstopia ( THE NOVEMBERS )
シューゲイザー繋がりでこちらも。サウンドが隅々まで魅力的。とりあえず実際に音を聴いてみてほしいバンド。
二月の兵隊( the cabs )
マスロックという、変拍子を基調とした変則的な音楽から一曲。他のジャンルでは体感できない面白さがあるので是非。東大にはマスロックが好きな人が多い印象なので学内の方はハマるかもしれません。
ほんとごめんね(踊ってばかりの国)
ロック!音源も最高だけどライブでの演奏は更にかっこいいので、気に入ったらライブ映像を漁ってみると良いと思います。
Night Time ( The fin. )
夜の冷たい空気を感じる曲。激しい曲よりも落ち着いた曲の方が好きな方にはおすすめ。英語で歌ってるけど日本のバンドです。
Nemesis( cero )
独特な浮遊感のある雰囲気が一貫していて、完璧な曲のひとつと言って良いと思います。cero にはもっと有名で MV がある曲もいくつかあるけど、この曲が好きすぎるので。
こんがらがった!(ネクライトーキー)
急に雰囲気がポップになりました。なんと言っても楽しい曲だけど、確かなかっこよさも備えている曲。
常夜燈( PEOPLE 1 )
脱力感があって優しい雰囲気の曲だけど、寂しさみたいのものも感じられて良い。あと、coalowl の MV が可愛い。
赤黄色の金木犀(フジファブリック)
もう金木犀の季節は終わってしまいましたが、僕にとって大切な一曲なのでぜひ聴いてみて下さい。フジファブリックは僕が一番好きなバンドです。実は(当時)ボーカルの志村正彦は2009年に若くして亡くなっており、今日、12月24日は彼の命日でもあります。彼にしか作り出せない、唯一無二の音楽はどれも素敵なので、とにかく色んな曲を聴いてみてほしいですね。
青い栞( Galileo Galilei )
アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」のオープニングとしても使用されていた曲なので聞いたことがある人も多いかもしれません。 Galileo Galilei はしばらく活動を休止していたバンドですが、つい最近、新体制での活動再開を発表しました。今から追っても遅くありません。
MUSIC (サカナクション)
サカナクションは紹介する必要もないくらい有名ですが、かっこいいんだから仕方ない。現在の J-POP シーンでも大活躍なのでちゃんと聞いたことがない人はこの機会に是非。
人との距離のはかりかた( plenty )
plenty はねぇ、良いバンドですよ。生活に近いところにあって、弱さを歌っていても、決して女々しくはなく、優しい強さが魅力的。 plenty は誇張なく全ての曲が大好きなので、僕が最初に好きになった曲を。
はじまる(真舟とわ)
暖かさに溢れた曲。何も予定がない休日の、のんびりとした昼下がりに聴きたい。
戻らない( mei ehara )
ゆったりとした曲調の中にクールさが感じられる曲。 mei ehara の曲は聴いていると緩い流れの中にいるような感覚がして、心が落ちつきますよ。
New Life ( Predawn )
聴いていると子供の頃に感じる切なさのようなものが溢れてくる曲。2022年に出た曲の中でトップクラスに好きな曲です。
Gomugomu (幾何学模様)
サイケデリック・ロックと呼ばれるジャンルの曲。特有の世界観に浸ってみてほしいです。ライブだと更に最高な気分になれるのですが、惜しくも今年で活動休止となってしまいました。
13 ( xiexie )
サイケデリック・ロック繋がりでこちらのバンドも。ふわふわとした疾走感が気持ちいい曲。
何も感じなかったりする(離木かな)
ボカロだし、ポエトリーリーディングだし、ニコニコ動画だしということで、急に毛並みが変わりますが、とにかくかっこいいので聴いてみてほしい。人を選ぶとは思いますが、気に入る人もいるはずです。
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あふれる( yanagamiyuki )
上に引き続き、ボカロのポエトリーリーディングを。雰囲気は少し違いますが、こちらもとても良い曲です。
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Delorean ( toconoma )
インストゥルメンタル(ボーカルが無く、楽器だけの音楽)の曲です。聴いてみるとむしろこっちの方が好きという人もいるかもしれません。
夢の中で( Cornelius )
Cornelius は東京オリンピック関連で(悪い意味で)有名になってしまいましたね。そのことについて擁護したりするつもりはありませんが、彼の楽曲がかっこいいのは確かです。是非、一度聴いてみて下さい。
あなただけ(長谷川白紙)
現代らしい唯一無二のサウンドが特徴のアーティスト。こちらも好みが分かれるかもしれません。
潜水(崎山蒼志)
一時期インターネットでも話題になった、若きアーティスト。僕よりも年下ということもあって、正直かなり嫉妬してしまうが、曲がかっこいいので何も言えない。
月曜日戦争(吉澤嘉代子)
映画『架空OL日記』(バカリズムが脚本・監督の映画で、とても面白いのでこちらもオススメです。)の主題歌。表現力に富んだ歌声が特徴の女性アーティストで、可愛らしく切ない世界観が素敵。
瞼(高井息吹)
ピアノをメインとした不思議なサウンドの曲。歌声も特徴的で、大好きなアーティスト。
火傷に雨(君島大空)
細部まで美しさで溢れている完璧な曲。僕が最も好きな曲を挙げろと言われたら、間違いなくこの曲を選ぶと思います。初めてこの曲を聴いたとき、自分が最終的にやりたかった音楽はこれだったんだなと思い、しばらく音楽に対するモチベーションが奪われたほど、僕にとっては衝撃的な曲でした。
現行のアーティストの中では一番好きで、最近は来年(2023年)の1月に出る1stアルバムのために生きていると言っても過言ではありません。ライブも最高です。時間がない人はこの曲だけでも聞いてみてほしいです。
あとがき
いかがだったでしょうか。趣味全開のラインナップでしたが、できる限りジャンルが被らないよう選んでみたつもりです。本当は他にも紹介したいアーティストや曲が山ほどありますが、キリがないのでこのくらいに収めました。「この曲が好きだったんだけどオススメある?」などとコメントしていただければ、いくらでもオススメしますのでお気軽にどうぞ。(学科の方は直接話しかけていただいても大丈夫です。)
それでは、良い音楽と共に良いクリスマスを。メリークリスマス!