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開発文書はMarkdown、説明資料はSlidevでつなぐ:二重管理を終わらせる設計

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Last updated at Posted at 2026-03-12

PL「明日の顧客説明、この資料で本当に大丈夫かな...?」
メンバA「設計書は更新済みです。ただ、提案資料まで手が回っていません...」

会議直前にこの会話が出ると、チーム全体の空気が一気に重くなります。
問題は個人の作業漏れではありません。更新の正本が分散した運用設計に原因があります。

この記事で解決すること

AIを活用した開発では、設計メモ、仕様整理、実装ノートをMarkdownで書くことが増えています。
一方で、顧客説明や上層部報告は今もPowerPoint/PDF中心です。

このギャップを放置すると、次の問題が起きます。

  • Markdown側だけ更新され、説明資料が古くなる
  • PowerPointの体裁調整に毎回時間が溶ける
  • コード断片の貼り直しでミスが増える

これが「Markdown側だけ更新され続け、説明資料が追いつかない」という二重管理の典型的な崩れ方です。

本記事では、この構造的な問題を断ち切るために、Markdownを単一ソースにし、Slidevで説明資料へ接続する考え方を整理します。
対象環境は GitHub Copilot + VS Code + Windows 11 です。

前提条件

この記事は以下を前提にしています。

  1. GitでMarkdownを管理している
  2. VS CodeとGitHub Copilotを利用している
  3. 顧客・上層部向けにPowerPointまたはPDF提出が必要である

本記事でいう「正本」とは、更新時に最初に修正する唯一の原本を指します。

結論(先に要点)

最初に結論です。

  1. 設計情報の正本(唯一の更新元)はMarkdownに寄せる
  2. 説明用途はSlidevで派生生成する
  3. 1スライド1メッセージを守り、情報過密を禁止する
  4. PowerPoint前提でフォントと情報量の上限を先に決める

この4点を初期設計で固定すると、後工程のレイアウト崩れと差分修正が激減します。

なぜ今Markdown単一ソースなのか

従来の「設計書はWord、説明はPowerPoint、実装はコード」という分断は、AI活用時代だと非効率です。

理由はシンプルで、AI支援(要約、比較、差分確認)を使う場面では、一次情報がテキストのほうが扱いやすいからです。
Markdown中心にすると、次の利点があります。

  • 差分管理がしやすい(Gitで追跡・PRでレビュー可能)
  • Copilotで下書き、要約、整形を回しやすい
  • 設計と説明の再利用が効く
  • コードと文書を同じリポジトリで管理でき、実装と資料のズレを防げる

逆に、説明資料を手作業で別管理すると、更新整合性が最初に壊れます。
作成速度よりも、運用の持続性が先に限界を迎えます。

Slidevを選ぶ理由

Markdownからスライドを作る道はいくつかありますが、実務で扱いやすいのはSlidevです。

  • Markdownでそのままスライド構成を書ける
  • テーマやレイアウトを共通化しやすい
  • エンジニアがVS Codeで完結できる
  • 後工程でPDF配布にもつなぎやすい

重要なのは「見た目が作れる」ことではなく、テンプレート化できることです。
属人化した1回限りの資料作成ではなく、チーム運用に乗せられるかが判断基準になります。

運用アーキテクチャ(最小構成)

構成の検討として現時点では、まず迷わない構造だけ定義します。

slides-project/
  docs/           # 設計メモ・仕様メモ(Markdown正本)
  slides/         # Slidev原稿
  assets/         # 図版、ロゴ、スクリーンショット
  export/         # PDFなど最終出力

注意: これは概念上の構成例です。npm create slidev@latest が生成するディレクトリ構造とは異なります。実際の手順と構成の対応は第2回で整理します。

運用ルールは次の2つだけで十分です。

  1. 仕様変更は必ず docs/ から更新する
  2. slides/ は説明用に要約・再構成する(正本にはしない)

この役割分担が崩れると、再び二重管理に戻ります。

PowerPointで崩れないための実務ノウハウ

ここが現場で効くポイントです。第1回では「先に制約を決める」ことに集中します。

1. 1スライド1メッセージを固定する

ページ内に主張が2つ以上あると、最終調整で必ず詰みます。
収まらない場合は縮小ではなく分割します。

2. コードは4-8行単位で見せる

コード全文を1ページに押し込まないでください。

  • 何を見せるか(意図)を先に決める
  • その意図が伝わる最小行だけ抜粋する
  • 詳細は補足スライドか別紙へ回す

3. フォントを早期固定する

Windows 11での配布を前提に、まず次の候補から始めるのが安全です。

  • コード: Consolas
  • 日本語本文: Yu Gothic UI または Meiryo UI

この時点で、代替フォントの順番までルール化します。
配布先PCにフォントが無いと、行送りが変わってレイアウト崩れを起こします。

4. 最小フォントサイズを規約化する

目安として以下を初期値にします。
(仮の値で、実際の対象ドキュメントに応じてルール化しましょう。)

  • タイトル: 30以上
  • 本文: 20以上
  • コード: 18以上

可読性より情報量を優先し始めたら、資料品質は一気に落ちます。

最小サンプルでの進め方

ここでは「動く最小単位」だけ作ります。詳細設定は次回で深掘りします。

  1. Slidevプロジェクトを作成する
  2. Markdownで3-5ページの短い説明資料を作る
  3. ブラウザで可読性を確認する(PDF出力の実検証は第2回で扱う)

最小実行例(Windows 11 / VS Codeターミナル):

npm create slidev@latest
cd <project-name>
npm install
npm run dev

確認方法:

  1. ブラウザ表示でコードブロックの横はみ出しがない
  2. ブラウザ表示で本文とコードが可読である
  3. 1ページ1メッセージを満たしている

完了条件は次の3点です。

  1. 正本の説明文が docs/ に存在する
  2. 同内容の要約版が slides/ に存在する
  3. PDF出力時の確認観点(フォント、改行、見切れ)を定義できる

サンプルのスライド設計例:

  • 1ページ目: 背景と課題
  • 2ページ目: 提案アーキテクチャ
  • 3ページ目: 導入効果
  • 4ページ目: リスクと対策
  • 5ページ目: 次アクション

この構成だけでも、上層部説明の最小ラインは満たせます。

目視チェック項目(PowerPoint提出想定)

スライド1ページごとの出力品質確認に使います。ワークフロー全体の設計確認は後述の「導入前チェックリスト」が対応します。

  1. 見出しが1行で読めるか
  2. 本文が詰まり過ぎていないか
  3. コードブロックがはみ出していないか
  4. 図版の文字が100%表示で読めるか
  5. ページごとの主張が1つに絞れているか

1つでもNGがあれば、フォント縮小ではなくページ分割を優先します。

失敗パターンと回避策

特に多い失敗は次の3つです。

  1. 最初からPowerPoint体裁で書き始める
  2. コード全文を1ページに載せる
  3. 提出直前にフォント差し替えが発生する

回避策は、運用順序を固定することです。

  1. 先にMarkdown正本を完成させる
  2. Slidevで説明粒度に要約する
  3. フォントと最小サイズを固定してから量産する

導入前チェックリスト(第1回終了時点)

ワークフロー全体の設計が整っているかを確認します。個々のスライド出力の品質確認は前節の「目視チェック項目」を使用してください。

  1. 正本と派生物の役割をチームで合意したか
  2. フォント候補とフォールバック順を決めたか
  3. 1スライド1メッセージのレビュー基準を定義したか
  4. 収まらない場合は分割する運用を明文化したか
  5. 提出前チェック項目をテンプレート化したか

Copilot活用ポイント(第1回版)

Copilotは万能化せず、用途を限定すると効果が出ます。

  • Markdownの章立て下書き
  • 長文の要約(3行要約、1行要約)
  • 説明文のトーン調整(技術者向け/管理職向け)

逆に、最終メッセージの妥当性判断は人間が行う前提で運用してください。

まとめ

第1回の到達点は、結論で示した原則を「実際に回せる運用ルール」へ落とし込むことです。

  • 正本(Markdown)と派生(Slidev)の境界を定義できる
  • 1スライド1メッセージ、フォント、最小サイズの制約を先に固定できる
  • 提出前チェックをレビュー可能な手順としてテンプレート化できる

次回は、これらを踏まえた環境整備に進みます。
日本語フォント設定、コード表示の崩れ対策、PDF出力検証を実際に行う予定です。

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