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資料テンプレートにengineer/executive分離を組み込む - 密度ルールとfrontmatter規約で品質を揃える

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Last updated at Posted at 2026-04-25

PL「正直、テンプレートって見た目をそろえるだけで、説明の粒度までは整わない気がするんだよね。」
メンバA「同感です。だから社内フォーマットの必須項目を、ページ構造に埋め込みます。」
PL「必須項目って、背景・判断基準・決定事項・次アクションみたいなやつ?」
メンバB「はい。章ごとに書く順番と上限を固定すれば、担当者が変わっても粒度をそろえられます。」

第2回で、フォント・行長・出力検証を固定した環境を作りました。
第3回では、その環境に現場ルールを埋め込んだ資料テンプレートを重ねます。

この記事で解決すること

Windows 11 + Slidev環境に、社内向け資料テンプレートを構築します。

  1. 現場ルールをテンプレートへ反映し、作成者が変わっても品質の下限を守る
  2. 記載内容の粒度を規定し、1ページ1メッセージを崩さない運用基準を定義する

結論(先に要点)

  1. テンプレートには見た目ではなく判断基準を埋め込む
  2. engineer向けとexecutive向けは後から分けず、最初から分ける
  3. 1ページの要素数と箇条書き数を上限化して密度暴走を防ぐ
  4. frontmatter規約でレイアウト選択の迷いをなくし、Copilotは初稿生成までに限定する

判断基準

第3回で重視する判断基準は3つです。

  1. 作った人の満足ではなく、受け手が判断できるか
  2. 1ページ1メッセージを守れているか
  3. PowerPoint/PDF提出時に崩れ・欠落・可読性低下が起きにくいか

評価対象は次の観点でそろえます。

  1. フォント置換で改行位置が変わっても主張が崩れない
  2. コードや表が横にはみ出さない
  3. 100%表示と125%表示のどちらでも読める
  4. ページごとに主張が1つに絞れている

前提環境

この手順は第2回の成果物を前提にします。

  1. Slidevプロジェクトが起動できる
  2. styles.cssでフォントとタイポグラフィを固定済み
  3. PDF出力を1回以上完走済み

確認方法:

  1. npm run dev でローカル表示できる
  2. slidev export 対象md でPDFを出力できる

完了条件:

  1. 新規ページを追加しても既定ルールが自動で適用される
  2. reviewerが同じ基準で可否判定できる

実践手順

手順1: テンプレートの対象範囲を固定する

判断基準: 品質下限に直結するページだけをテンプレート化する。

対象ページ:

  1. 表紙
  2. 章扉
  3. 本文
  4. 結論
  5. 補足

ディレクトリ構成例:

slides/
  layouts/
    cover.vue       # 表紙
    default.vue     # 本文
    section.vue     # 章扉
    statement.vue   # 結論
    supplement.vue  # 補足
  slides.md

確認方法:

  1. 5種類のレイアウトを使い分けられる
  2. 本文と補足の分離基準を説明できる

完了条件:

  1. 新規スライド作成時に対象ページ種別を選べる
  2. 迷ったときの選択基準をチーム内で説明できる

手順2: frontmatter規約を定義する

判断基準: 記述量を最小化し、迷わず選べることを優先する。

---
layout: default        # default / cover / section / statement
audience: engineer     # engineer / executive
chapter: 3
title: フォント設計方針
---

適用ファイル: slides/TEMPLATE.md に規約サンプルを1件置き、新規作成時のコピー元にする。

確認方法:

  1. すべてのページで audience が明示される
  2. audience 切り替えで情報密度が意図どおり変わる

完了条件:

  1. frontmatter入力規約をチームで共有できる
  2. レイアウト選択の再現性がある

手順3: 情報密度ルールをテンプレートに埋め込む

判断基準: コメント運用ではなく、構造で制御する。

密度ルール:

  1. 箇条書きは最大5項目
  2. 1ページの視覚要素は最大3つ
  3. executiveページではコードを使わない
  4. 数値詳細は補足ページへ退避する

CSS実装例(styles.css):

/* executiveページのコードブロックを非表示にする */
.slidev-layout.executive pre,
.slidev-layout.executive code {
  display: none;
}

/* 6項目以上の箇条書きを警告色で表示して気づかせる */
.slidev-layout ul > li:nth-child(n+6) {
  color: #e74c3c;
  font-size: 0.85em;
}

確認方法:

  1. engineer版とexecutive版で差分が明確
  2. 5項目超の箇条書きが本文に残っていない

完了条件:

  1. 3種類以上のページでルール適用を確認できる
  2. 新規ページ追加時に同じ判定ができる

手順4: Copilotを章立て初稿に限定する

判断基準: 生成文の採用可否は密度ルールで判定する。

運用手順:

  1. 章の問いをプロンプト化して初稿を生成する
  2. 生成結果を密度ルールで削る
  3. 超過分を補足ページへ移す

プロンプト例:

以下の条件で1ページ分の初稿を生成してください。
- 対象読者: engineer
- ページの主張(1文): [ここに主張を入れる]
- 根拠として使える情報: [箇条書きで渡す]
- 箇条書き上限: 5項目

確認方法:

  1. 初稿から1ページを完成版に変換できる
  2. 採用理由と不採用理由を説明できる

完了条件:

  1. Copilotの役割境界をチーム内で共有できる
  2. 最終品質責任が人間側にあることを説明できる

手順5: 提出フォーマット耐性を組み込む

判断基準: 提出直前の目視調整ではなく、平常時に崩れにくさを確保する。

実施項目:

  1. 100%表示で読めるか確認
  2. 125%表示で崩れないか確認
  3. PowerPoint変換時の改行ズレを確認
  4. PDFで図表文字が読めるか確認

はみ出し防止CSS例(styles.css):

/* 表とコードの横スクロール防止 */
pre, table {
  max-width: 100%;
  overflow-x: auto;
}

確認方法:

  1. 100%と125%で同じ主張を維持できる
  2. コード枠と表で横はみ出しが発生しない

完了条件:

  1. 提出形式が変わっても説明内容が維持される
  2. レビューで可読性低下を再現可能に検出できる

よくある失敗パターンと回避策

  1. 失敗: テンプレートを作ったが運用されない
    回避策: 既存資料を1本移植し、最初の成功例を配布する

  2. 失敗: engineer向けとexecutive向けを後から分けようとして破綻する
    回避策: 最初のページからaudienceを必須化する

  3. 失敗: コンポーネントを増やしすぎて保守不能になる
    回避策: レイアウトを5種類に固定し、追加は合意制にする

  4. 失敗: Copilot生成文を密度評価せず採用する
    回避策: 採用前に箇条書き上限と1ページ1メッセージで再判定する

  5. 失敗: PowerPoint/PDF提出で改行ズレと見切れが発生する
    回避策: 100%/125%の二段階確認をレビュー基準へ組み込む

Slidev変換例: engineer版とexecutive版

同じ設計情報を2系統で書き分けると、読者適合と説明責任を両立できます。

engineer版

---
layout: default
audience: engineer
title: engineer版のページ
---

# engineer版: 会員登録APIの設計判断

判断基準: 実装判断に必要な入力・エラー・完了条件を残す

| 観点 | 内容 |
|------|------|
| 入力項目 | メールアドレス、会社名、担当者名、電話番号 |
| エラー時挙動 | 重複は409、入力不備は400 |
| 完了条件 | 確認メール送信まで完了 |

executive版

---
layout: default
audience: executive
title: executive版のページ
---

# executive版: 会員登録APIの説明ポイント

結論: 入力項目、失敗時の扱い、登録完了条件を1ページで判断できるようにする

- 入力は4項目に限定
- 異常時応答は重複と入力不備の2系統
- 登録完了後は確認メール送信まで保証

まとめと次回予告

第3回の到達点は、環境整備から運用標準化への移行です。

  1. 現場ルールをテンプレートへ埋め込み、品質下限を固定した
  2. audience切り替えで読者別の情報密度を制御できるようにした
  3. Copilotと人間の責務境界を運用として定義した

次回の第4回では、1から3回で整えた正本、環境、テンプレートを統合し、Markdown正本からengineer版とexecutive版を生成して二重管理を再発させない運用設計を扱います。

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