きっかけは、ある政策資料を見たことでした。
2026年3月10日に内閣官房で行われた日本成長戦略会議(第3回)での資料 「戦略17分野における主要な製品・技術等」 では、量子コンピューティング が重要分野として挙げられていました。
量子コンピューティングは今後の成長が期待される技術として国家レベルで位置づけられており、量子コンピュータに関して調査したことを整理している身として、 いよいよ来ているな という印象を持ちました。実用化に向けて、活発に技術開発が進み、この流れはこれからも続いていくのではないかと思っています。
ただ、資料を読みながら、ふとこう思いました。
これまで量子コンピュータの話を見ていると、
量子ビット数が増えた
誤り訂正が改善した
といった話題が中心で、どちらかというと 量子コンピュータを作る側 の視点で、技術的な進展やニュースが注目されます。
着実に技術が進歩していることは分かります。
技術として重要なのは分かりました。
しかし、使う側の視点に目を向けてみると、
量子コンピュータを使うときのハードルって、どうなっているんだろう?
という点について、感覚的ではありますが、あまり語られていないように感じました。
一方で、量子コンピュータをクラウド上のリソースとして捉え、量子コンピュータを使う側の視点として、量子コンピュータをクラウド経由で使用する 量子クラウドを見ると、少し違う見え方もあります。
クラウドというと、必要なときにリソースを確保して柔軟に使えるイメージがありますが、 量子クラウド は、「クラウド」 という言葉から連想される柔軟さとは違い、普段使用しているクラウドと比べて、 量子クラウドのハードウェアである量子コンピュータは台数が少ない という物理的な制約もあり、使用したい方が集中しそうで、どうも柔軟に使えるリソースではなさそうです。
特別な理由がなければクラウドを選択するという 「クラウドファースト」 の考え方や、クラウドの持つ動的なリソース管理や自動化を前提にシステムを設計する 「クラウドネイティブ」 の考え方の延長で考えると、少し扱いにくい部分があるように感じました。
もしかすると、量子クラウドは 計算性能 というより、リソースの使い方 として考えた方がよいのでは?
そんな考えが頭をよぎりました。
量子クラウドは、普段使っているクラウドのようにすぐ使えるのでしょうか。
それとも、まったく違う前提で考える必要があるのでしょうか。何か引っかかる感じはあるものの、正直なところ、まだよく分かっていません。
実際に触れると、何が起こるのか気になりはじめたので、量子クラウドの世界にちょっと入ってみようと思います。
次回からは、私がはじめてクラウド上に公開されたIBM Quantumの量子コンピュータを触ったときに遭遇した 「待ち」 の話をして、その 「待ち」 の原因、 「待ち」 によって発生すると考えられる課題や問題を整理してみます。
(次回に続きます)