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μT-Kernel 3.0を「B-L475E-IOT01A - STM32L4 Discovery kit IoT node」に移植してみた

Last updated at Posted at 2020-09-11

目的

μT-Kernel 3.0の移植例を通し、その勘どころ(みたいなもの)を知っていただこうという記事です。

μT-Kernel

μT-Kernelとは

μT-Kernelとは、ずばり組み込み向けのRTOSです。高いリアルタイム性・軽量・移植しやすさが特徴。

μT-Kernel | トロンフォーラム
https://www.tron.org/ja/tron-project/what-is-t-kernel/mt-kernel/

μT-Kernel 3.0

その最新バージョン、μT-Kernel 3.0が2019年12月にリリースされています。

仕様書
ソースコード(GitHub)

なお残念ながら、対応ボードは以下の2種類のみ。

  • TX03 M367 IoT-Engine
  • RX231 IoT-Engine

ただ、このバージョンでは更に移植性が増したとのこと。
ということで、手持ちのボード「B-L475E-IOT01A - STM32L4 Discovery kit IoT node」に移植してみることにしました。

成果物と解説

ソースコード

先に紹介してしまいますが(笑)、以下です。

imagou/mtkernel_3: micro T-Kernel 3.0
https://github.com/imagou/mtkernel_3/

実装手順

おことわり

実装レベルは、以下の最低限なものとしてあります。
製品に載せるには色々と不足・問題がありますが、取っ掛かりとしてはよいかと・・・。

  • UARTでデバッグログが出力できる
  • RTOSとして期待通り(?)に動く(ディスパッチ、タイマ)

1. 移植対象ディレクトリをコピーして作成

移植対象ディレクトリは、以下の3つがあります。

  • 対象ボード(今回の場合、「B-L475E-IOT01A」)
  • 対象マイコン(今回の場合、「STM32L475」)
  • 対象マイコンのコア(今回の場合、「ARM Cortex-M4」)

これらを、既存のディレクトリをコピーし、作成します。
今回は「TX03 M367 IoT-Engine」をコピー元として選択しました(ARM Cortex-M3ベースなため、近しい)。

2. ビルドを通す

対象のボード、マイコン、コアに対応するよう、オプション定義をします。
(そうしないと、ビルド対象が切り替わらない)

以下のmakefile差分が参考になるかと思います。

Comparing tron-forum:master...imagou:develop_B-L475E-IOT01A · tron-forum/mtkernel_3
https://github.com/tron-forum/mtkernel_3/compare/master...imagou:develop_B-L475E-IOT01A#diff-1b00c5e169d416dfd6d5ad9b7aa4d23f

ビルド方法は、上記makefileが配置されているディレクトリにて、makeと打つだけです。

3. IDEへの取り込み

デバッグは必須なため、IDEに取り込みます。

私は以下を参考にし(手前味噌)、STマイクロのIDE、STM32CubeIDEに取り込みました。

STM32CubeIDEでTOPPERS/ASPカーネルを動かす - 本編 - Qiita
https://qiita.com/imagou/items/1a09d9afecc3f62e22d1

4. リセット後の動作確認

IDEにて、リセット後にハンドラが呼び出されることを確認しておきます。
(ここがまともじゃないと、デバッグどころではありません)

今回はマッピング(ベクタテーブルとハンドラ)の調整が必要でした。

5. ひたすら実装

以降は、コピーしたままでは当然動かないので、頑張って実装します。

といってもゼロベースは辛いので、今回は以下を参考にしました。

  • STM32CubeIDEで、実動作するプロジェクト
  • TOPPERS ASP-Kernel STM32L476 discoveryプロジェクト
  • STマイクロ H/W仕様書(当然)

ポイントを絞り、かつIDEデバッグをしながら進めれば、時間は掛かったとしても、間違いなく動くモノはできます!

おわりに

雑な紹介ではありますが、目的の通り、勘どころが伝われば幸いに思います!

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