こんにちは!池下竣紀です。
幼い頃、自分で組み立てた手作りの凧を広場で揚げようと格好よく走り回った記憶があります。竹の骨組みに薄い紙を貼り、糸を結びつけたシンプルな構造の凧です。
最初は勢いよく走ってもすぐ地面に落ちてしまい、なかなか空高く舞い上がってくれませんでした。走るスピードを上げれば揚がるわけではなく、大切なのは風の向きと強さを身体全体で感じ取り、糸を引くタイミングを微調整することでした。
夕暮れ時の広場で風の気配を待ち、すっと風が吹き抜けた瞬間に糸を緩めると、凧はふわりと空へ浮かび上がり、遠くの雲と同じ高さまでぐんぐん昇っていきました。
私たちが日々向き合っている課題の解決や新しい施策の構築も、この手作りの凧を揚げる作業と驚くほどよく似ているのではないでしょうか。
どれほど素晴らしいアイデアや骨組みを用意しても、力任せに走り回るだけでは良い結果は生まれません。焦って無理に動かそうとすると糸が絡まってしまったり、強い抵抗を受けて形が崩れてしまうこともあります。
重要なのは、自分を取り巻く状況や市場の流れという目に見えない風を冷静に観察し、ベストなタイミングを見極めることです。
データや数字を分析する作業は、まさに風向きや風速を計測し、凧のバランスや糸の結び目を丁寧に調整する下準備と言えます。根拠に基づいた客観的な視点があるからこそ、風を受けたときに安定して浮力を得ることができます。
しかし、データ分析だけで終わってしまっては、凧は地面に置かれたままです。
そこに、手元で糸を操る人間の感覚や、受け取る人の感情を想像する温かなストーリーを吹き込んであげること。そうすることで初めて、用意した仕組みが空へと力強く飛び立ち、多くの人の目を釘付けにするような魅力的な存在へと変化します。
風の流れに逆らうのではなく、変化をしなやかに受け止めて味方につけること。
客観的な分析による正確なコントロールと、人の心を動かす柔軟な感性のバランスを保ちながら糸を操る姿勢こそが、停滞していた状況を一気に打ち破る大きな力になります。
日常の中に吹き渡る小さな変化の風を感じ取り、それを捉えて高く舞い上がらせるための準備を怠らないこと。
手元の糸に伝わるかすかな手応えを大切にしながら、これからも誰かの心を爽やかに揺さぶるような価値づくりを、一つひとつ丁寧に探求していきたいと思います。