はじめに
「プロンプトエンジニアリング」は流行語のように扱われがちですが、実際には 7 つの基本原則 を押さえるだけで、AI から得られる回答の質が大きく変わります。
この記事では、私が個人開発や業務で 1 年半にわたって使ってきた実用的な 7 原則と、すぐに使えるテンプレートを紹介します。
原則 1:役割を最初に与える
AI に「誰として答えてほしいか」を最初に伝えると、回答の視点と用語が整います。
❌ マーケティング戦略を教えて
✅ あなたは BtoB SaaS の CMO として、
月予算 100 万円の BtoB マーケ戦略を提案してください
役割を設定することで、AI の出力は「教科書的な一般論」から「現場の判断者の視点」に切り替わります。
原則 2:文脈(前提情報)を渡す
AI は「あなたの状況」を知りません。背景情報をまとめて渡すことで、的を射た回答が得られます。
❌ 集客方法を教えて
✅ 個人事業主・フリーランスエンジニア。予算月 5 万円。
既存顧客は紹介経由のみ。新規顧客 3 人を 3 ヶ月で獲得する集客方法を提案して
「前提なしで質問」と「前提付き質問」では、3 倍以上の精度差が出ます。
原則 3:出力形式を指定する
「表で」「箇条書きで」「Markdown で」「JSON で」など、出力形式を指定すると後の作業が楽になります。
❌ 3 つの選択肢を比較して
✅ 3 つの選択肢を、Markdown の表形式で比較してください。
列は「選択肢名 / 月額 / 強み / 弱み / おすすめする人」
特に「JSON で出力」は、コードや自動化との連携で便利です。
原則 4:例を示す(フューショット)
「こんな感じで」と例を 1〜3 個見せると、AI は形式と粒度を真似てくれます。
❌ 商品キャッチコピーを 5 つ作って
✅ 以下の例を参考に、商品キャッチコピーを 5 つ作って。
例 1:「3 分で議事録が完成、Notta」
例 2:「AI が貴方の翻訳官、DeepL」
例を見せると、AI は「この粒度で」「この形式で」と理解します。
原則 5:ステップを分けて依頼する
大きな仕事は一度に頼まず、ステップごとに分けると精度が上がります。
❌ ブログ記事を 3,000 字で書いて
✅ 以下の 4 ステップで進めてください。
1) 見出し設計(H2 を 5〜7 個)
2) リード文
3) 本文ドラフト
4) リライト案
各ステップの出力後、私が確認してから次に進めてください
ステップ間で人間がレビューすることで、品質が大きく変わります。
原則 6:制約を明示する
「やってほしくないこと」「守ってほしい条件」を明示すると、無駄な出力が減ります。
❌ メール文を作って
✅ メール文を 300 字以内で。
トーンは丁寧だが堅苦しくない。
冒頭の挨拶は省略、本題から入る。
語尾を連続させない
制約は具体的に。「短く」より「300 字以内」、「丁寧に」より「『です・ます』調」。
原則 7:反復改良する
1 回で完璧な回答は出ません。「ここを、こう変えて」と少しずつ修正させるのがプロンプトの基本です。
「もう少し短く」
「もっと専門的に」
「結論を先に持ってきて」
「具体例を 1 つ追加して」
「誤字を全て修正して」
会話を繋ぐことで、AI は文脈を保ったまま改良してくれます。
まとめ:7 原則を 1 つの型に
すべての原則を含めた汎用テンプレ:
あなたは [役割] です。
[背景・文脈]
[依頼事項] を、[出力形式] で作成してください。
例:
[例 1]
[例 2]
制約:
- [制約 1]
- [制約 2]
まずは骨格だけ提示してください。確認後、本文を進めます。
このテンプレを業務テンプレ(Notion、ChatGPT Projects、Claude Projects)に保存しておくと、毎回ゼロから書く必要がなくなります。
業務でよく使う 5 テンプレ
メール起案
[受け取り手] さん宛にメールを作成してください。
[状況・伝えたい内容]
要件:
- トーン:丁寧だが堅苦しくない
- 長さ:300 字以内
- 伝えるべき事項を 3 点以内のリストで含める
出力:タイトルと本文を分けて、そのままコピペできる形で
議事録要約
以下の議事録トランスクリプトを読み、以下に整理してください。
1. 会議の目的(1 行)
2. 出席者(代名詞可)
3. 決定事項
4. TODO(何を / 誰が / いつまでに)
5. 議論の点(賛否があったものを 1 点 1 ブロック)
6. 次回までに調べるべきこと
[トランスクリプト]
コードレビュー
以下の PR をコードレビューしてください。
[リポジトリの背景]
[言語・フレームワーク・規模]
[PR の意図]
[変更ディフ]
レビュー視点:
1. セキュリティ脆弱性
2. パフォーマンス問題(N+1 クエリ等)
3. コードの抽象レベル(YAGNI、DRY 違反)
4. テスト・エッジケース
5. 命名・可読性
出力形式:
- 「ファイル:行:指摘:修正案」の並びで記述
- 例示コードを必ず 1〜2 つ付ける
提案書ドラフト
以下の案件詳細をもとに、提案書のドラフトを作成してください。
[案件詳細]
構成:
1. 課題の整理(顧客視点)
2. 解決策の提示
3. 期待効果(定量・定性)
4. スケジュール案
5. 概算見積(要素ごとの内訳)
注意:
- [予算上限] を超えない
- 専門用語は最小限、初見の意思決定者にも分かるレベルで
TODO 抽出
以下の文章から、TODO のみを抽出してチェックリスト化してください。
各 TODO に以下を含める:
- 何を(完了状態がチェックできる形で)
- 誰が(本人「私」とそれ以外を分ける)
- いつまでに(明示されていなければ「未定」と記載)
[入力テキスト]
まとめ
プロンプトエンジニアリングは「特別な技術」ではなく、「7 原則を反復する習慣」です。テンプレを作って何度も使うほうが、毎回ゼロから書くより 5 倍速くなります。
私が運営している AI 比較メディアでは、業務別のプロンプト集を多数公開しています:
参考になれば幸いです。