- この記事は、IBM Community Japanの主催する2026年ナレッジモール研究における、「WG ID: 2026-C-05 メインフレーム若手技術者の広場」の成果物です。
- 当記事の著作権はIBMに帰属します。詳細はこちらを参照ください。
はじめに
ハイブリッドクラウドとは、
・パブリッククラウド(複数の企業が共有するクラウドサーバー)
・プライベートクラウド(自社専用のクラウドサーバー)
・オンプレミス(物理サーバー)
といった、プライベート環境とパブリッククラウドを統合し、データやアプリケーションを連携できる構成・運用モデル
のことです。
ハイブリッドクラウドで利用するサーバーには、それぞれ次のような特徴と、メリット・デメリットがあります。
| 特徴 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| パブリッククラウド | 複数の企業で共有するクラウドサーバー | コストが低い 拡張性に優れている | セキュリティが低い |
| プライベートクラウド | 自社専用のクラウドサーバー | セキュリティが高い カスタマイズしやすい | コストが高い |
| オンプレミス | 自社にサーバーを置いて管理 | セキュリティが高い | コストが高い 管理の手間がかかる |
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特に、メインフレームにおけるハイブリッドクラウドとは…
メインフレームが得意な
・高信頼性
・高い処理能力
・止められない基幹業務
これらはそのまま残して、
一方でクラウドが得意な
・スピード感のある開発
・柔軟なリソース増減
・AI、分析など新しい技術の活用
これを横に並べて使うことができます。
・https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-315.html
メインフレームの役割
① 高信頼性
・金融・保険・公共など、止まると社会が止まる業務を処理
② 超大量トランザクション処理
・例:ATM、クレジット決済、保険計算、在庫管理
③ 強固なセキュリティ
・RACFなどの厳格なアクセス制御
④ 一貫したデータ整合性
・ACIDトランザクションを大量に処理可能
⑤ 長年の資産(COBOL・IMS・DB2)を安定稼働
⇒ つまり、絶対に落とせない処理を担うのがメインフレームです。
・https://community.ibm.com/community/user/japan/blogs/provision-ibm1/2024/11/17/vol100-012-computing
クラウドの役割
① スケールアウトが容易
・Webアプリ、API、モバイルアプリなどを柔軟に拡張
② AI・分析基盤との親和性
・BigQuery、Azure Synapse、S3+Athena など
③ 迅速な開発・デプロイ(DevOps)
・新サービスを短期間でリリース
④ 外部サービスとの連携が容易
・決済、地図、チャット、認証などの SaaS と統合
⑤ コスト最適化
・必要な分だけリソースを利用
⇒ 変化に対応し続ける領域をクラウドが担当する。
・https://www.skygroup.jp/media/article/2160/
リアルタイム連携
クラウド側でデータ連携用のAPIが公開されている場合は、API連携をすることにより低コストでリアルタイムなデータ連携が実現可能になります。
これによりメインフレームの価値を外に開くことができます。
【クラウド/Webアプリ】
↓ (APIリクエスト)
ーーーーーーーーーーーー
|API(インターフェース)|
ーーーーーーーーーーーー
↓
【IBM Z(メインフレーム)】
・CICS ・バッチ処理 ・DB2
①クラウド側がリクエスト送信
②APIが受け取る
③メインフレーム処理を呼び出す
④結果を取得
⑤APIが外部形式に変換
⑥クラウドへ返す
バッチ連携
オンプレミス側にバッチ処理やファイル転送などの仕組みを実装し、オンプレミスからクラウドへデータを連携します。非同期によるデータ連携ですが、実装方法がシンプルでコストを抑えられ、また運用も容易です。
主にFTP/SFTPを利用したファイル転送が使われます。
オンプレミス → クラウド
・https://biz.techvan.co.jp/tech-is/blog/infra/002493.html?utm_source=copilot.com
リアルタイム連携 vs バッチ連携
| 観点 | リアルタイム連携 | バッチ連携 |
|---|---|---|
| 処理タイミング | 同期 | 非同期 |
| 向き | クラウド→オンプレミス | オンプレミス→クラウド |
| 開発コスト | やや高い(API設計) | 低め(ファイル出力+送信) |
| データ量 | 小~中 | 大量データに強い |
| 向いている用途 | 照会・即時処理 | 売上集計・バックアップ |
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ハイブリットクラウド連携のメリット・デメリット
・メリット
① セキュリティレベルの強化・最適化
パブリッククラウドはコストが安く、拡張性が高いというメリットがありますが、複数の企業で一緒に利用するためセキュリティが低いというデメリットがあります。
そのため、顧客データなど機密性の高いデータを取り扱うには不安が残ります。
その点、ハイブリッドクラウドでは、機密性の高いデータは、セキュリティが高いプライベートクラウドや自社の物理サーバーに保存することで、セキュリティを高くすることが可能になります。
② コストダウンできる
セキュリティの高いプライベートクラウドや物理サーバーは、コストが高くなってしまうというデメリットがあります。
ハイブリッドクラウドでは、機密性の高いデータのみ、プライベートクラウドや物理サーバーを利用し、機密性の低いデータはパブリッククラウドを利用することで、システム全体のコストを下げることが可能です。
パブリッククラウドのみを使用する場合よりはコストは上がりますが、物理サーバーやプライベートクラウドだけを使うよりもコストが下がります。
③ リスクの分散ができる
例えば災害が起きた場合や、マルウェア感染が起きてしまった場合、ひとつのクラウドサービスや自社サーバーだけを利用しているケースではすべてのデータが失われてしまう恐れがあります。
しかし、ハイブリッドクラウドでは、データがそれぞれの機密性などに応じて別の場所に保管されています。
災害時やマルウェア感染時でも、別のクラウドに保存されていたデータは無事であるため、復旧が早くなるというメリットがあります。
・デメリット
① 管理・運用の難易度が高い
ハイブリッドクラウドでは、複数のクラウドや物理サーバーを組み合わせて利用します。
その分、ひとつのクラウドだけを利用する場合よりもシステムは複雑になってしまいます。
また、複数のクラウドを管理しなくてはならない分だけ、管理項目も増えてしまいます。
運用・管理にかかる手間が増えてしまうというのはハイブリッドクラウドのデメリットです。
② エンジニアの確保が難しい
ハイブリッドクラウドを安定して運用するには、オンプレミスとクラウドの両方に精通したエンジニアの確保が必要です。しかし、その人材は希少で確保するのが難しいというデメリットがあります。
ハイブリットクラウドの導入事例
基幹システムをハイブリッドクラウドで構築した事例
石油・化学製造販売を行うB社では、物理サーバーで運用していた基幹システムの運用コストを削減するため、ハイブリッドクラウドを導入しました。
重要なデータベースは物理サーバー上でセキュアな環境を整えつつ、毎日必要となる生産管理データや販売管理データなどはパブリッククラウド上に保存するようにしました。
この結果、システムの運用コストを30%削減することに成功しました。
また、物理サーバーではハードウェアが保守切れした場合、システムの更改が必要でしたが、ハイブリッドクラウド化したことで、保守切れの影響を軽減し、システムを使い続けることができるようになり、手間も減らすことができました。
クラウド化したことで、今後ビジネスが拡大したときや、不採算部門を縮小する時などにも柔軟に対応が可能となり、より使いやすい基幹システムとなりました。
| 業種 | 石油・化学製造販売会社 |
|---|---|
| ハイブリッドクラウドを導入した理由 | 基幹システムの運用コスト削減と拡張性アップ |
| ハイブリッドクラウドで解決したい問題 | 現在の基幹システムの運用コストを削減したい ハードウェア保守切れによるシステム更改を回避したい |
| ハイブリッドクラウドの具体的な活用法 | 最も重要なシステムのデータベースは物理サーバーに保存 それ以外のデータはパブリッククラウドを利用する |
| ハイブリッドクラウドを導入した結果 | システム運用コストを30%削減できた |
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・https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-315.html
まとめ
ハイブリッドクラウドとは、ひとつのシステムを使う上で、セキュリティが高いプライベートクラウドまたは物理サーバー(オンプレミス)と、コストが安いパブリッククラウドを組み合わせて利用するクラウドのことです。
メリット:セキュリティレベルの強化・最適化およびコストダウンとリスクの分散ができること。
デメリット:管理・運用の難易度が高く、エンジニアの確保が難しいこと。
参考文献
・https://www.redbooks.ibm.com/redpapers/pdfs/redp5319.pdf
・https://community.ibm.com/community/user/japan/blogs/provision-ibm1/2024/11/17/vol100-012-computing
・https://www.tis.jp/service_solution/digital-infrastructure-offering-service/content/dios_hybrid-cloud_03/?source=content&utm_source=copilot.com
・https://www.lac.co.jp/lacwatch/service/20260121_004599.html
・https://www.skygroup.jp/media/article/2160/
・https://biz.techvan.co.jp/tech-is/blog/infra/002493.html?utm_source=copilot.com
| 番号 | 対象 | 区分 | 出典・利用許諾状況など |
|---|---|---|---|
| *1 | 表 | 自作 | NTT東日本株式会社のサイトを参考に作成https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-315.html |
| *2 | 表 | 自作 | テクバン株式会社のサイトを参考に作成https://biz.techvan.co.jp/tech-is/blog/infra/002493.html?utm_source=copilot.com |
| *3 | 表 | 自作 | NTT東日本株式会社のサイトを参考に作成https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-315.html |