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Erlang プロセスの終わらせ方と error/1, throw/1, exit/1

Last updated at Posted at 2016-10-25

この資料は

error/1, throw/1, exit/1 の使い分けについて.
gg っても日本語のいいまとめが出てこないので,じゃあ書こうじゃないかと.
正確にまとめられてるかわからないですけど.

とりあえず catch してみましょうぞ

error/1, throw/1, exit/1 をそれぞれ catch した.

1> catch error(hoge).
{'EXIT',{hoge,[{erl_eval,do_apply,6,
                     [{file,"erl_eval.erl"},{line,673}]},
           {erl_eval,expr,5,[{file,"erl_eval.erl"},{line,431}]},
           {shell,exprs,7,[{file,"shell.erl"},{line,686}]},
           {shell,eval_exprs,7,[{file,"shell.erl"},{line,641}]},
           {shell,eval_loop,3,[{file,"shell.erl"},{line,626}]}]}}
2> catch throw(hoge).
hoge
3> catch exit(hoge).
{'EXIT',hoge}

これから推測されることは以下.

  • error/1exit/1 はプロセスを殺す力を持っている(DOWN)が, throw/1 は持っていない.
  • throw/1 は大域脱出でしかない.プロセスを殺す力を持っておらず,投げられた例外は同一プロセス内でなんとかしなければならない.
  • exit/1 ではスタックトレースはつかないのは, exit/1 が正常系のプロセス死にも利用されるから.

使い分け

catch した結果をふまえると, この 3 つの関数の使い分けは以下の感じでいいだろう.

exit/1

文字通りプロセスを終了させたい場合に用いる.
単に役目が終わったプロセスを明示的に殺すだけなので,エラーではないのだね.

Eshell V7.0  (abort with ^G)
1> spawn(fun() -> exit(hogehoge) end).
<0.35.0>
2> 

monitor すればプロセスが死んだ Reason がとれる.

Eshell V7.0  (abort with ^G)
1> spawn_monitor(fun() -> exit(hogehoge) end).
{<0.35.0>,#Ref<0.0.4.29>}
2> flush().
Shell got {'DOWN',#Ref<0.0.4.29>,process,<0.35.0>,hogehoge}
ok

throw/1

なにかエラーが発生したわけではない.ネストした関数呼び出しから一気に脱出 (大域脱出)するために用いる.
プロセス内でハンドリングされることを想定しているため,その try ... catch がないとエラーとなりプロセスが死ぬ.

Eshell V7.0  (abort with ^G)
1> spawn(fun() -> throw(hogehoge) end).
<0.35.0>

=ERROR REPORT==== 24-Oct-2016::18:58:27 ===
Error in process <0.35.0> with exit value:
{{nocatch,hogehoge},[{erlang,apply,2,[]}]}

monitor してみると,ブロセスが死んだ直接的な原因は, hogehoge が throw されたからではなくて, throw された hogehoge が catch されなかったから,ということになっている.

1> spawn_monitor(fun() -> throw(hogehoge) end).

=ERROR REPORT==== 24-Oct-2016::18:59:41 ===
Error in process <0.37.0> with exit value:
{{nocatch,hogehoge},[{erlang,apply,2,[]}]}
{<0.37.0>,#Ref<0.0.4.34>}
2> flush().
Shell got {'DOWN',#Ref<0.0.4.34>,process,<0.37.0>,
              {{nocatch,hogehoge},[{erlang,apply,2,[]}]}}

つまりプロセスを殺すことが目的だったら, throw/1 は不適切.

error/1

何か問題が発生した. badmatch とか case_clause は Erlang VM が吐いてくれるエラーで,それらと同じレベルで,なにかユーザ定義の「問題」が発生したよ,というのが error.
プロセスは続行できなくなり死ぬ.

4> spawn(fun() -> error(hogehoge) end).

=ERROR REPORT==== 24-Oct-2016::19:04:01 ===
Error in process <0.40.0> with exit value:
{hogehoge,[{erlang,apply,2,[]}]}
<0.40.0>

monitor してみると,見た目は throw と一緒. throw でプロセスが死ぬのは, nocatch エラーだから.
ただし, error/1 の引数で指定した Reason (hogehoge) がそのままエラーの原因になっている (nocatch はつかない).

5> spawn_monitor(fun() -> error(hogehoge) end).
{<0.42.0>,#Ref<0.0.4.51>}

=ERROR REPORT==== 24-Oct-2016::19:04:14 ===
Error in process <0.42.0> with exit value:
{hogehoge,[{erlang,apply,2,[]}]}
6> flush().
Shell got {'DOWN',#Ref<0.0.4.51>,process,<0.42.0>,
              {hogehoge,[{erlang,apply,2,[]}]}}

まとめ

プロセスが死ぬ原因は 2 つ.

  1. exit/1 により明示的に殺した(死んだ)
  2. エラーが発生し,実行が続行できなくなった

それぞれをユーザが明示的にコーディングする方法(として適切なの)は,それぞれ以下.

  1. exit/1 で明示的に殺す.
  2. error/1 で明示的にエラーを発生させる.

つまり, error/1, throw/1, exit/1 の使い分けは,簡単に書けば以下.

  • error/1: プロセスの実行が続行できなくなるようなエラーが発生した
  • exit/1: プロセスは役割を果たしたので死ぬ (もしくは死ぬことで役割を果たす)
  • throw/1: 大域脱出
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