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AXIバス設計ガイド 第2回 Ready信号とデータにFFを1段挿入する回路

Last updated at Posted at 2025-08-01

目次


1. はじめに

このドキュメントはAIに読み込ませてコードを自動生成することを目標としています。

パイプライン動作する回路のデータとReadyに1段のFFを挿入する回路です。Ready信号はデータパイプラインの全てのFFのイネーブル信号として使用されます。そのためファンアウトが大きくなります。対策としてReady信号に1段のFFを挿入しますがデータが遅れて停止します。この章ではパイプラインのデータとReadyの基本ルールを守りながらFFを1段挿入する回路を実現します。

この回路をの利点は、回路の単純化・モジュラー化ができると同時に、シーケンスの設計を動作周波数のチューニングと分離できる点です。シーケンス設計の時点では動作周波数を気にせず設計しておいて、シーケンスの設計が終わって動作周波数が問題になればこのモジュールを挿入するという対処が可能です。設計の後戻りなく開発を進めることが可能となります。

2. 動作原理

2.1 Readyのシーケンス

第1回で学んだReadyのシーケンスをおさらいしましょう。
理解しやすくするために、2クロックのReadyネゲートがある場合の(T3)出力段のシーケンスを書いてみます。
ReadyがLの時、パイプラインは停止(ストール)します。ReadyがLになると、その次のサイクルでデータが保持され、現在のサイクルと同じ値になります。ReadyがLからHになったサイクルのT0,T1,T2,T3は、ReadyがLのサイクルと同じデータになります。

Clock    : 123456789012345678
T3       : xxxxxx0001222345xx
T3_Valid : ______HHHHHHHHHH__
Ready    : HHHHHH__HH__HHHHHH
[T2] -> [T3] -> Output
 |       |
 +-------+-- <- Ready In

2.2 FF挿入による遅延

上流のu_Readyは下流側のd_Readyを1クロック遅延させた信号です。u_Readyとu_Readyで制御された追加のパイプラインT4をこのシーケンスに追加します。State=[u_Ready,d_Ready]です。T4は上流側のu_Readyで制御されていますので下流側のd_Readyのルールに従っていません。
d_Readyで制御される下流側のデータd_Dataはとりあえず理想の期待値を記述します。

Clock        : 123456789012345678
T3           : xxxx01233345556xxx
u_Ready      : HHHHHHH__HH__HHHHH

T4           : xxxxx01222344456xx
d_Ready      : HHHHHH__HH__HHHHHH
State        : 333333201320133333

d_Data       : xxxxx01112333456xx

Data_dはT3, T4, Ready_u, Ready_dから生成するロジックです。

<-前段のモジュールの範囲-><- この章で設計するモジュールの範囲 ->
                             +---------------+
                             |               | 
[T2] -> [T3] -->   Data_u ->-+-> [T4] -> [Dtata_d] -> Data_d
 |       |                        |
 +-------+--- <-  Ready_u <-------+----- [FF] ---- <- Ready_d

State=[u_Ready,d_Ready]の値に対して、次のクロックでどのデータを出力すればよいかを真理値表にします。

State 次のクロックで出力する値 説明
0 ホールド 現在の値を保持
1 T4 パイプラインT4の値を出力
2 T4 パイプラインT4の値を出力
3 T3 パイプラインT3の値を出力

3. コード

ここまでの説明を読み込ませてAIに自動生成させたコードです。この回路を使用するとAXIバスのどのチャネル(リードアドレスチャネル、ライトアドレスチャネル、リードデータチャネル、ライトデータチャネル、ライトレスポンスチャネル)にも簡単に1段のフリップフロップが挿入できます。

コード: pipeline_insert.v

このファイルには、パイプライン挿入回路の基本的な実装が含まれています。AXIバスの各チャネルに1段のフリップフロップを挿入するための設計例です。

4. 総当たり探索法

この回路を初めて設計したときは、役に立ちそうな信号をいくつか作って総当たりで正しい論理となる真理値表を作っています。このような設計手法を(私は)総当たり探索法と呼んでいます。実際にこの機能を設計したときに、役に立ちそうな信号、Readyの1クロック遅れ、2クロック遅れ、データの1クロック遅れ、2クロック遅れ、データパイプラインの1段追加、2段追加したシーケンスを書いてみてその中なら正しい論理となるパーツを集めて回路を完成しています。


ライセンス

Licensed under the Apache License, Version 2.0 - see LICENSE file for details.

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