PCの音楽をFire TV Stickへ低遅延転送する:SoundWireでリビングを無線スピーカー化した方法
はじめに
「PCで流してる音楽を、リビングのテレビ(Fire TV Stick)から大音量で流したいなぁ」
そんなノリです。
画面ごとミラーリングするアプリ(spacedeskとか)も試したんですけど、やっぱり映像まで送るとPCへの負荷が重いし、動画の遅延(ラグ)も気になりますよね。
「音声だけを低遅延でリビングに飛ばしたい!」
ということで、音声専用の転送ソフト SoundWire を使って、リビングの無線スピーカー化をする方法です。
PC側に入れるSoundWire Serverは、公式サイトからダウンロードできます。
完全無料で構築するまでに、Fire OS特有の仕様やネットワークの罠にいくつかブチ当たったので、その回避策もセットで置いておきますね。
1. Fire TV Stick側の「下準備」
まずはFire TV Stickをハックするための下準備から進めます。
開発者モード(デベロッパーモード)の解放
Fire OS 7以降、開発者オプションはデフォルトで隠されちゃっています。
-
設定 > マイ Fire TV > バージョン情報を開きます。 - 一番上の
Fire TV Stick...という項目を、リモコンの決定ボタンで 7回連続で連打 します。 - 「これでデベロッパーになりました」と出ればOKです。
一つ戻ると、開発者オプション が出現しています。
2. APKの転送環境を作る(完全無料)
SoundWireはFire TVの公式ストアにないので、Android用のAPK(アプリの生データ)をPCから送り込む必要があります。
ファイル共有(FTP)の起動
アプリストアで ES File Explorer をインストールします。
アプリ内の ネットワーク > リモートマネージャー(Remote Manager) を選択して、オンにする をクリックします。

画面に次のようなアドレスが表示されます。
ftp://192.168.x.x:3721
このアドレスをPCのエクスプローラーのアドレスバーに入力すれば、Wi-Fi経由でFire TV内部の Download フォルダなどにアクセスできるようになります。
【罠1】XAPKを掴むな、APKを掴め
PCでSoundWireのAndroid用ファイルを落とすとき、拡張子が .xapk になっているものを送ってしまうと、Fire TV側で「解析エラー」が起きてインストールできません。
必ず、通常の .apk 形式のファイルをダウンロードして転送してください。
OK: .apk
NG: .xapk
ここでちょっと首を傾げました。
【罠2】ES File Explorerではインストールできない
最近のES File Explorerはなかなかに強気で、無料版だとAPKのインストール機能に制限をかけてきます。
というわけで、APKの転送にはES File Explorerを使い、インストールには別アプリを使います。
解決策:X-Plore File ManagerでAPKを開く
今回は X-Plore File Manager を使いました。
Fire TVのアプリストアから X-Plore File Manager をインストールしておきます。

その後、ES File Explorer経由で転送したSoundWireのAPKを、X-Plore File Managerから開きます。
- X-Plore File Managerを起動します。
- Fire TV内部ストレージの
Downloadフォルダを開きます。 - 転送しておいたSoundWireの
.apkファイルを選択します。 - インストール確認画面が出たら、そのまま進めます。
これで、お金を払わずにサクッとインストールが完了します。
もしX-Plore File Managerが使いにくい場合は、次のアプリでも代替できます。
- File Manager +(ファイルマネージャープラス)
- Downloader
3. リモコンじゃ文字が打てない問題
無事にインストールできたSoundWireを起動して、PCのIPアドレスを入力しようとした瞬間に、次の絶望が訪れます。

入力欄をタップしても、画面に仮想キーボードが出てこない……
モバイル用のAPKを無理やり入れている弊害ですね。
Fire TVのリモコンを、アプリ側がうまく認識してくれません。
解決策:スマホをリモコン化して流し込む
この文字入力制限は、公式アプリを使って力技で突破します。
- スマホに公式アプリ Amazon Fire TV を入れて、同じWi-Fi内のFire TVとペアリングします。
- スマホアプリの右上にある キーボードアイコン をタップします。
- スマホのキーボードからPCのIPアドレスを打ち込んで送信します。
すると、Fire TV側の入力欄に文字が直接流し込まれます。
これで最初の1回だけの難所をクリアです。
4. 最後の関門:複数ネットワーク(仮想IP)の競合
PC側でSoundWire Serverを立ち上げると、画面に Server Address が表示されます。
ただ、ここに表示されたIPをそのまま打ち込んでも繋がらないケースがあります。
原因:WSL2やVMwareの仮想アダプター
PCで WSL2 や VMware などの仮想環境を運用している場合、SoundWire Serverがそちらの仮想ネットワークのIPを「PCの代表IP」として画面に表示してしまうことがあります。
たとえば、次のようなIPです。
172.28.x.x
192.168.187.x
当然、Fire TVはそんなローカルな仮想空間にはアクセスできないので、接続エラーになります。
対策:本物のIPをipconfigで見つけ出す
PCのターミナル(コマンドプロンプトやPowerShell)を開いて、ipconfig を実行します。
ipconfig
出力の中から、無線 LAN アダプター Wi-Fi の項目を探します。
無線 LAN アダプター Wi-Fi:
IPv4 アドレス . . . . . . . . . . . . : 192.168.0.31
見るべきなのはここです。
192.168.0.31
仮想ネットワーク群は無視して、無線 LAN アダプター Wi-Fi にある、ルーターから割り当てられた本物のプライベートIPを見つけ出します。
例としては、次のようなIPです。
192.168.0.x
192.168.1.x
この本物のIPを、先ほどのスマホアプリ経由でFire TVのSoundWireに入力します。
そして、接続ボタンを押すと……
5. リビング、乗っ取り完了
いけましたぁぁぁ!!!
PCで再生したYouTubeの音や音楽が、超低遅延でリビングのテレビスピーカーから爆音で流れ始めます。
画面キャプチャを伴わない、つまり音声パケットだけを投げる構成なので、PCのCPUやWi-Fi帯域への負荷はほぼありません。
仕組みの考察
SoundWireは、PCのサウンドカードに流れるデジタル信号をリアルタイムに「コピー(キャプチャ)」して、ネットワーク上のFire TVに送っています。
通信にはUDPが使われており、ポートは 59010 です。
横取りではなく「コピー」なので、PC本体からもテレビからも同時に音が出せるのが面白いところです。
PC側をミュートにすれば、テレビだけから鳴らせます。
まとめ
ネットワーク内に複数のNIC(仮想ネットワークカード)が存在する環境でのIPバインドの挙動や、Androidの入力ストリームの仕様など、エンジニア的にもかなり学びのある「リビング乗っ取り計画」になりました。
今回のポイントは以下です。
- SoundWireはFire TV公式ストアにはないため、APKを転送してインストールする
-
.xapkではなく.apkを使う - ES File Explorerは転送用、インストールはX-Plore File Managerを使う
- File Manager +やDownloaderも代替候補になる
- Fire TVのリモコンで文字入力できない場合は、Amazon Fire TVスマホアプリを使う
- SoundWire Serverに表示されたIPではなく、
ipconfigでWi-Fiの本物のIPv4アドレスを確認する - WSL2やVMwareなどの仮想アダプターのIPを入力しても接続できない
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