はじめに
SNSなどで「間違った」ALT属性の使い方が話題になっています。だいたい先人たちの指摘している通りですが、それ以上のことを考えてほしいがためにこの記事を書きました。
で、とある140文字しか投稿できないSNSにはALT属性として表示される内容を記入できる機能がありますが、そこには1000文字かけるのでその画像と関係無い内容が書かれる、という問題も起こっています。一説によるとSNSにおける検索避けという説もありますが、実は検索避けとしては全く役に立っていないと考えた方がよさそうです。
ALT属性とはどんな人たちのためのものなの?
「視覚障がい者」だけのためのものではない
まず、ALT属性は「視覚障がい者」のためのものと思われることが多いですが、「視覚障がい者」だけのためのものではありません。あくまでもALT属性の定義はこれです。
HTMLImageElementのaltプロパティは、<img>要素で指定された画像が読み込まれない場合に表示する予備(代替)テキストを指定します。MDNの当該ドキュメントより ※ 太字は筆者
確かに、視覚障がい者はスクリーンリーダーなど画像が読み込まれない環境を利用しなければならないことが多いです。
しかし、スクリーンリーダーなどのWebの読み上げは視覚障がい者だけが使うものではありません。視覚障がい者(=眼からの情報をインプットできない)人だけではなく、発達障がい者のなかの読字障がい者もスクリーンリーダー使う場合があります。彼ら読字障がい者は眼からの情報はインプットできますが、その情報が「文字」という、「ことば」を表す記号と理解することに困難が伴うタイプです。要は情報をインプットできてもデコーダーがないと考えるとよいでしょう。そんな人でも音声上々は理解できるタイプの人も多いので、スクリーンリーダーを使ってWebを利用すると理解できるわけです。
「健常者」でも活用する必要がある人もいるかもしれない
また、「健常者」でも音声読み上げに頼ることは考えられます。過去にニコニコ生放送が盛んに用いられていた時、コメントを読み上げるツールを使っていた人がいたかと思われます。それと同じことをSNSで行う人も出てくるかも知れません。推しの配信の中で誰かがALT文の中に心ない一言を紛れ込ませたらどうなるでしょうか。
あと、Webを「機械」でなんとかしたいという人もALT属性に頼る場合があります。
まず、Webスクレイピングです。次に挙げる例はカニの画像を収集するのにALT属性で取得する画像を取捨選択しています。
さて、ある人が馬の画像を収集しているとします。そんな中で、このような馬の画像が紛れ込んでいたらどうなるでしょうか?
え、この画像が「鹿」だって? そもそも、「鹿」って何だ? ……ああ、君にはシベリアで「馬」の牧場の管理をしてもらおうか。ついでに、木でも数えていたまえ。
また、Webブラウザの操作を自動化したいという人もいるかと思いますが、以下の例ではリンクの付与されている画像のALT属性を自動でクリックさせることで施設の予約を自動化させています。
機械は、画像の中身を読むようには作られていません。その中で需要が多いのが検索エンジンなどのクローラであるといえます。今の検索エンジンはだいたいクローラでWebサイトの情報を収集しているで、ALT属性を書いてクローラに正しく情報を認識してもらうということはSEOでも有利になります。
このように、ALT属性はあらゆる人のためのものなのです。
では、どうすればいいの?
その解決策は、「ALT属性がどのようなものか理解する」こと、および「ALT属性に適切な内容を指定する」ことだと思います。以下の記事を参考に、ALT属性を「適切」に書いてみましょう。
ALT属性を書いて、あらゆる人にやさしいWebを!
