はじめに
2026年9月22日、Anthropicから Claude Opus 5.5 が一般提供開始されました。7月のOpus 5から約2ヶ月での投入で、新しい 「5.5ファミリー」の第1弾という位置づけです。Sonnet 5.5・Haiku 5.5も「数週間以内」に続くと予告されています。なお同日、Opus 5.5の発表から数分後にOpenAIがGPT-6 Sol / Lunaを発表しており、9月10日のGPT-6 Astraに続いてフロンティア争いはさらに激しくなっています。
特筆すべきは以下の3点です。
- ほとんどのタスクで上位モデルのFable 5.1と同等以上。Terminal-Bench 4.0・CursorBench 4.0・GDPval-AA v2.1・OSWorld 2.0などでFable 5.1を上回った
- トークン単価はOpus 5比20%減(入力 $4 / 出力 $20)、キャッシュ読み取りは60%減。トークン効率の改善も合わせ、典型的なワークロードではOpus 5より約40%安い(Anthropic公式)。出力速度も30%以上向上
-
thinkingの無効化不可・デフォルトeffortが
mediumに変更・強制ツール使用の廃止など、Opus 5からAPI上の破壊的変更が4つある
本記事はClaude API・Claude Code・Amazon Bedrock経由でOpusを利用している開発者向けに、Opus 5 → 5.5 移行判断に必要な情報をまとめます。今回はモデルIDの差し替えだけでは済まないケースが多いので、移行前に「API移行時の注意点」を必ず確認してください。
モデルスペック
| 項目 | Claude Opus 5.5 |
|---|---|
| モデルID |
claude-opus-5-5(Bedrockは anthropic.claude-opus-5-5) |
| リリース日 | 2026年9月22日 |
| 入力価格 | $4 / 1M tokens(Opus 5の$5から20%減) |
| 出力価格 | $20 / 1M tokens(Opus 5の$25から20%減) |
| キャッシュ書き込み(5分) | $5 / 1M tokens(Opus 5の$6.25から20%減) |
| キャッシュ読み取り | $0.20 / 1M tokens(Opus 5の$0.50から60%減) |
| Batch API | 入力 $2 / 出力 $10 per 1M tokens |
| Fast Mode | 入力 $8 / 出力 $40 per 1M tokens(標準の2倍・Claude APIのみ・Research Preview) |
| コンテキストウィンドウ | 1M tokens |
| 最大出力 | 128K tokens(Batch APIはbetaで300K) |
| 知識カットオフ | 2026年6月 |
| デフォルトeffort |
medium(Opus 5は high) |
| トークナイザー | Opus 5と同一(トークン数は変わらない) |
| 提供形態 | Claude API / Amazon Bedrock / Claude Platform on AWS / Google Cloud Vertex AI / Microsoft Foundry / Claude Code |
| Priority Tier | 非対応(Opus 5と同様) |
Fable 5.1(入力$10 / 出力$50)と比べてトークン単価は60%安いにもかかわらず、主要ベンチマークの多くでFable 5.1を上回っている点が最大の特徴です。
サブスクリプション側では、Pro・Max・Team・シート制Enterpriseプランの5時間あたり利用上限が引き上げられ、あわせて2026年10月22日までの好きなタイミングで1回使えるレート制限リセットが配布されています。
主要な新機能・変更点
1. デフォルトeffortが medium に。しかも medium でOpus 5の high を上回る
Opus 5.5ではAPI上のデフォルトeffortが high から medium に1段階下がりました。ただしAnthropicの検証では、Opus 5.5の medium はコーディング・ナレッジワーク評価でOpus 5の high を上回り、いくつかのコーディング評価では low でもそれに近いスコアを大幅に低いコストで出しています。
import anthropic
client = anthropic.Anthropic()
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=16000,
output_config={"effort": "medium"}, # low / medium / high / xhigh / max(デフォルトはmedium)
messages=[
{"role": "user", "content": "このリポジトリのテストが落ちている原因を調べて修正してください"}
],
)
注意点として、同じeffort名でもOpus 5.5はOpus 5より1ターンあたりの思考量が多くなる傾向があります(特に xhigh / max)。Opus 5で使っていたeffort値をそのまま持ち込むと、ターンが長くなり出力トークンも増えます。公式の推奨は「まず medium で始め、前後のレベルを試す。xhigh / max は品質向上を実測できたワークロードだけに使う」です。
2. 「解いたタスクあたり」のコストが下がる
単価が20%下がっただけではありません。Anthropicによると、多くのコーディング・分析・画像読み取りタスクで、Opus 5.5はデフォルトeffortでOpus 5と同等以上の結果を、より少ないトークンで出すとのことです。実際の報告例として、以下が挙げられています。
- 68万行のコード移行を1日未満で完了
- コードベースの監査・修正を3時間未満で完了(Opus 5では20時間超)
- HAProxyのCからRustへの移植を9.5時間で完了(Fable 5.1は12時間)、コストは51%減
長時間のエージェントセッションではキャッシュ読み取りの60%値下げも効いてきます。そのぶんキャッシュミスの相対的なコストは上がるため、キャッシュを温かく保つ設計(append-onlyの履歴、後述のメッセージ単位effortなど)の重要性が増しています。
3. コードレビュー・ナレッジワークの信頼性向上
- コードレビュー:より多くのバグを見つけつつ、誤検知は減少
-
ナレッジワーク:入力にない数値や出典を述べる傾向がOpus 5より大幅に減少。長い分析レポートでは、
mediumでOpus 5のhighより良い成果物を約40%少ない出力トークンで作成 - 細部への注意力:長いスレッド中の「曜日が合わない日付」や、資料内の「数値と一致しないグラフ」などを、誤検知を増やさずに指摘できる
4. チャート・図・スクリーンショットの読み取り精度が大幅向上
Opus 5は、コードでトリミング・拡大・計測を行わないとチャートを正確に読めませんでした。Opus 5.5は**low effortでもOpus 5の最高effortより正確にチャートを読み取り、1チャートあたりの出力トークンは約1/10**です。スクリーンショットを使ったコンピュータ操作でも、デフォルトeffortで「Opus 5がずっと高いeffortでようやく出していた成功率」に並び、ステップ数も少なくトークンは約40%削減されています。
視覚入力向けに作り込んだ前処理の仕組みが不要になっている可能性があるため、再テストが推奨されています。
5. 伝わりやすい文章
Opus 5へのフィードバックで多かった点が改善され、作業中の途中報告や完了時のサマリーで「何をしたか・何が分かったか・何をしてほしいか」を平易に伝えるようになりました。専門用語や決まり文句も減っています。
ベンチマーク結果
| ベンチマーク | Opus 5.5 | Fable 5.1 | Opus 5 | GPT-6 Astra | GPT-5.6 Sol |
|---|---|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 4.0 | 66.4% | 55.8% | 52.3% | 57.9% | 37.3% |
| FrontierCode v1.1 | 54.4% | 50.3% | 48.0% | 53.3% | 47.5% |
| CursorBench 4.0 | 57.8% | 51.8% | 46.6% | — | 41.7% |
| GDPval-AA v2.1(ナレッジワーク) | 1,846 Elo | 1,735 Elo | 1,708 Elo | 1,542 Elo | 1,588 Elo |
| AutomationBench | 40.0% | 31.4% | 26.9% | 41.4% | 28.8% |
| Humanity's Last Exam(ツールあり) | 67.7% | 65.6% | 63.6% | 57.2% | — |
| Terminal-Bench-Science 0.1 | 58.7% | 52.6% | 29.0% | 64.6% | 22.4% |
| OSWorld 2.0 partial(コンピュータ使用) | 81.8% | 80.7% | 74.0% | — | — |
| Chartography(チャート読み取り) | 89.0% | 88.4% | 83.4% | — | — |
※ Anthropic公式発表の数値。AutomationBenchはZapierによる計測で、Opus 5・GPT-5.6 Sol・GPT-6 AstraはZapierの公開リーダーボードの値です。CursorBench・GDPval-AAは過去記事(Opus 5 / Fable 5.1)時点とベンチマークのバージョンが異なる(3.2→4.0、v2→v2.1)ため、過去記事の数値とは直接比較できません。OSWorld 2.0やHumanity's Last ExamのFable 5.1のスコアも、Fable 5.1発表時の値(77.9% / 65.0%)とわずかに異なるため、比較は同じ表の中で行ってください。
注目ポイント①:エージェント型コーディングで大差 ― Terminal-Bench 4.0ではFable 5.1を+10.6pt、Opus 5を+14.1pt上回りました。FrontierCodeでもGPT-6 Astraを上回っており、報道によれば**タスクあたりのコストはAstraの約20%**です。
注目ポイント②:ナレッジワークでもFable 5.1超え ― GDPval-AA v2.1で1,846 Eloを記録し、Fable 5.1を+111pt上回っています。
注目ポイント③:全勝ではない ― AutomationBench(業務ワークフロー自動化)とTerminal-Bench-Science(科学系タスク)ではGPT-6 Astraが上回っています。なお同日発表のGPT-6 SolはAutomationBenchで33.2%と報じられており、こちらはOpus 5.5が上回ります。ただしGPT-6 Solの価格は入力$2 / 出力$10とOpus 5.5の半額で、単価だけならOpenAI側が安い点も押さえておきたいところです。
API移行時の注意点(Breaking Changes)
Opus 5で動いているコードに対してエラーになる破壊的変更は4つ(⚠️1・3・4・5)です。残りの⚠️2・6・7はエラーにはならないものの、挙動が静かに変わる変更です。thinking無効化の禁止・強制ツール使用の廃止・preserved thinking・ツール呼び出し間テキストの扱いは、9月1日リリースのFable 5.1と同じ仕様がOpusにも入ったものです。
⚠️ 1. thinkingを無効化できない(全effortレベルで400エラー)
Opus 5では effort: high 以下なら thinking: {"type": "disabled"} が使えましたが、Opus 5.5ではthinkingが常に有効です。{"type": "disabled"} も {"type": "enabled", "budget_tokens": N} も、effortレベルに関係なく400エラーになります。
# Before(Opus 5ではOK、Opus 5.5では400エラー)
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5",
max_tokens=16000,
thinking={"type": "disabled"},
messages=[{"role": "user", "content": "..."}],
)
# After(thinking指定を削除し、effortで思考量を制御する)
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=16000,
output_config={"effort": "low"}, # レイテンシ重視ならlowから始めて品質を測る
messages=[{"role": "user", "content": "..."}],
)
移行時のポイントは次の4つです。
-
thinkingフィールドを削除する(または{"type": "adaptive"}にする) -
初回トークンまでの時間(TTFT)が重要なら
effort: "low"から始める。品質が落ちたらmediumへ上げる -
max_tokensは思考+回答の合計で見積もる。思考のテキストはデフォルトでは返ってこないが、max_tokensにはカウントされる。長いエージェント型コーディングでは64Kが目安(大きなmax_tokensはストリーミング必須) -
レスポンスは位置ではなくブロックの
typeで読む。先頭に中身が空のthinkingブロックが来ることがある
# 長いエージェントタスクはストリーミング+十分なmax_tokensで
with client.messages.stream(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=64000,
output_config={"effort": "medium"},
messages=[{"role": "user", "content": "..."}],
) as stream:
response = stream.get_final_message()
# 位置ではなくtypeでテキストを取り出す
text = "".join(block.text for block in response.content if block.type == "text")
また、Opus 5でthinking無効を前提に「推論過程を回答に書かせる」プロンプトを使っていた場合は削除が必要です。モデルの内部推論を回答に再現させようとするプロンプトは、新設の reasoning_extraction カテゴリで拒否される可能性があります。推論内容を見たい場合は thinking={"type": "adaptive", "display": "summarized"} で要約を受け取ってください。「考えるな」系の指示も、従えないうえにタグ漏れを増やすため削除が推奨されています。
⚠️ 2. デフォルトeffortが high → medium にサイレント変更
effort を省略していたリクエストは、エラーなく1段階低いeffortで動くようになります。多くのケースでは medium でもOpus 5の high 以上の品質が出ますが、挙動は変わるためeffortは明示指定し、評価をやり直すのが安全です。
思考量を減らしたいときは、「もっと簡潔に考えて」といったプロンプトを足す前にまずeffortを下げるほうが、思考量・コスト・レイテンシを確実に削減できます。
なお、トップレベルの effort をリクエスト間で変えるとプロンプトキャッシュが無効化されます。ターンごとに変えたい場合は、Opus 5から使えるメッセージ単位のeffort変更(beta)を使うとキャッシュを維持できます。
response = client.beta.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=16000,
betas=["mid-conversation-output-config-2026-07-01"],
output_config={"effort": "high"},
messages=[
{"role": "user", "content": "移行計画を立ててください"},
{"role": "assistant", "content": "計画は次のとおりです: ..."},
# 空のsystemメッセージでここから先のeffortだけを下げる(キャッシュは維持)
{"role": "system", "content": [], "output_config": {"effort": "low"}},
{"role": "user", "content": "設定ファイルの名前を変更してください"},
],
)
⚠️ 3. 強制ツール使用(tool_choice の any / tool)が400エラー
Fable 5.1と同様、tool_choice: {"type": "any"} と {"type": "tool", "name": "..."} は400エラーになります(Messages API・Batch API・トークンカウントのすべて)。auto(デフォルト)と none は従来どおり使えます。
# Before(Opus 5.5では400エラー)
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5",
max_tokens=1024,
tools=tools,
tool_choice={"type": "tool", "name": "get_weather"},
messages=[{"role": "user", "content": "パリの天気は?"}],
)
# After(auto + strict + プロンプトで誘導し、呼び出されたかを確認する)
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=1024,
tools=[{**tool, "strict": True} for tool in tools], # スキーマは additionalProperties: false が必要
tool_choice={"type": "auto"},
messages=[{"role": "user", "content": "パリの天気は? get_weatherツールを使って答えてください。"}],
)
if not any(block.type == "tool_use" for block in response.content):
... # autoは呼び出しを保証しないので、リトライかテキスト回答へのフォールバックを実装
JSONを取り出すためだけに強制ツール使用をしていた場合は、構造化出力(output_config.format)への置き換えが素直です。
⚠️ 4. Computer Useは computer_toolset_20260801 のみ
Opus 5では従来の computer_20251124 ツール(beta)とツールセット形式の両方を使えましたが、Opus 5.5はツールセット形式のみです。computer_20251124 を指定すると400エラーになります。
# Before(Opus 5.5では400エラー)
response = client.beta.messages.create(
model="claude-opus-5",
max_tokens=4096,
betas=["computer-use-2025-11-24"],
tools=[{"type": "computer_20251124", "name": "computer",
"display_width_px": 1024, "display_height_px": 768}],
messages=[{"role": "user", "content": "ディスプレイ設定を開いてください"}],
)
# After(beta不要。nameや画面サイズは指定しない)
response = client.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=4096,
tools=[{"type": "computer_toolset_20260801"}],
messages=[{"role": "user", "content": "ディスプレイ設定を開いてください"}],
)
これはツール定義の差し替えだけでは終わりません。エージェントループ側で次の対応が必要です。
- アクションは
input.actionではなくtool_useブロックのname(screenshot/left_click/type/zoomなど)で届く -
1ターンに複数の
tool_useが来る(バッチアクション)。それぞれにtool_resultを返す -
すべての
tool_resultに"toolset_name": "computer"を含める(ないと拒否される) - ツールセットはAPI側で画像を縮小しないため、スクリーンショットは送る前にモデルの画像サイズ制限内に収める
Opus 5は両方の形式に対応しているので、先にOpus 5上でツールセット形式へ移行・テストしてからOpus 5.5に切り替えるのが安全です。なおツールセットのGAは現時点でClaude APIとGoogle Cloudのみで、Bedrockなど他のプラットフォームではOpus 5.5でComputer Useを使えない点にも注意してください。
⚠️ 5. thinkingブロックがモデルと会話に紐づく(preserved thinking)
Fable 5.1で導入された preserved thinking がOpus 5.5にも適用されます。影響は2つあります。
モデルへの紐づけ:Opus 5.5のthinkingブロックを読めるのは、Claude APIではFable 5.1 / Mythos 5.1だけです。ルーターによるモデル切り替えや、拒否時のフォールバックでOpus 5 / 4.8に移った場合、それ以降のターンはOpus 5.5の推論内容なしで実行されます(リクエストは成功し、読めないブロックは課金されずに捨てられます)。逆方向、つまりOpus 5以前のOpus / Sonnet / HaikuからOpus 5.5に乗り換える会話は推論内容を引き継げます。
会話への紐づけ:thinkingブロックを再送するとき、system プロンプト・tools 配列・それ以前のメッセージが生成時とバイト単位で一致している必要があります。2026年8月31日以降に作成されたアカウントでは全プラットフォームでデフォルトで検証され、一致しないと400エラーになります。それより前のアカウントは、beta設定でオプトインできます。
response = client.beta.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=16000,
betas=["thinking-binding-controls-2026-08-01"],
thinking={
"type": "adaptive",
# "error"(400で止める)か "drop_block"(不一致のブロックを捨てて続行)を選ぶ
"block_binding": {"prefix_mismatch_behavior": "drop_block"},
},
messages=history, # thinkingブロックを含む履歴を「そのまま」再送する
)
Claude Code・claude.ai・Managed Agents・Agent SDKは対応済みですが、messages を自前で組み立てているハーネスは要確認です。よくある問題パターンと、append-onlyな置き換え方は以下のとおりです。
| 履歴を壊すパターン | 置き換え方 |
|---|---|
ターンごとのリマインダーを挿入し、次のリクエストで削除する / 途中で system を書き換える |
会話途中の role: "system" メッセージを追記する |
| セッション途中でツールを追加・削除する | 最初に全ツールを宣言し、tool_addition / tool_removal ブロック(beta)で切り替える |
| 古いターンを要約しつつ、新しいターンをthinking付きで再送する自前コンパクション | サーバーサイドのコンパクションかコンテキスト編集を使う |
この確認はプロンプトキャッシュのヒット率向上にもつながるので、検証対象外の古いアカウントでも実施する価値があります。
⚠️ 6. ツール呼び出し間のテキストがthinkingブロックで返る
Opus 5ではツール呼び出しの合間に書かれる短い途中報告(「〜が分かったので次に〜します」)が text ブロックで返っていました。Opus 5.5では1〜2文を超える途中報告は「進捗更新用の thinking ブロック」として返り、デフォルトでは中身が空です。エラーにはなりませんが、text ブロックだけを表示するUIは、長いエージェントターンの間ずっと無言になります。
response = client.beta.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=16000,
betas=["thinking-display-updates-2026-08-18"],
thinking={"type": "adaptive", "display": "updates"}, # 推論は隠したまま、途中報告の要約だけ受け取る
tools=tools,
messages=[{"role": "user", "content": "課金サービスに出ているPRをレビューしてください"}],
)
for block in response.content:
if block.type == "thinking" and block.thinking:
print(f"[進捗] {block.thinking}") # 空でないthinkingブロックを、後続のtool_useより前に表示
コードスニペットなどを原文のままユーザーに渡させたい場合は、「ユーザーにメッセージを送るツール」を用意し、セッションの最初のリクエストから宣言しておくのが推奨です(途中で追加すると上記preserved thinkingの検証に引っかかります)。
⚠️ 7. 安全性分類器の拡大(bio / reasoning_extraction を追加)
Opus 5は cyber 系の分類器のみでしたが、Opus 5.5ではFable 5.1と同等の分類器セットが動きます。
-
bio(新規):ウイルス学・毒性学・分子設計など、デュアルユースと判定される生物学研究リクエストを拒否。日常的な健康・教育系の質問は影響なし -
reasoning_extraction(新規):内部推論を回答に再現させようとするリクエストを拒否。フォールバックでも再実行されない -
cyber:従来どおり。ソースコードの脆弱性探索は許可
拒否はHTTP 200 + stop_reason: "refusal" で返るため、content を読む前に必ず stop_reason を確認してください。誤検知による停止を防ぐため、サーバーサイドフォールバックを初日から有効にしておくことが推奨されています。
response = client.beta.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=16000,
betas=["server-side-fallback-2026-07-01"],
fallbacks="default", # 拒否カテゴリごとにAnthropic推奨モデルで自動再実行(サイバー系はOpus 4.8など)
messages=[{"role": "user", "content": "..."}],
)
if response.stop_reason == "refusal" and response.stop_details:
# フォールバック先も拒否した場合のみここに来る
print(f"拒否カテゴリ: {response.stop_details.category}") # "cyber" / "bio" / "reasoning_extraction" など
サーバーサイドフォールバックはBedrock・Vertex AI・Foundryでは使えないため、それらのプラットフォームではSDKのクライアントサイドミドルウェアを使います。また、フォールバック先のモデルはOpus 5.5のthinkingブロックなしで実行される点(⚠️5)も覚えておきましょう。
✅ Opus 5から変わらないもの
- 1Mコンテキスト・128K最大出力・トークナイザー(トークン数の再計測は不要)
- 会話途中のsystemメッセージ、会話途中のツール変更(beta)、メッセージ単位のeffort(beta)
- タスクバジェット、コンパクション、プロンプトキャッシュ(最小キャッシュ長512トークン)
- Batch API・Files API・PDF・Vision・構造化出力・strictツール使用
-
temperature/top_p/top_kは引き続き非対応、assistantプリフィルも引き続き400エラー - Priority Tier非対応
✅ 全主要クラウドで即日GA
Claude APIに加え、Amazon Bedrock・Claude Platform on AWS・Google Cloud Vertex AI・Microsoft Foundryで同日GAです。Opus 5も引き続きすべてのプラットフォームで提供されます。ただしFast ModeはClaude APIのみ、Computer UseのツールセットはClaude APIとGoogle Cloudのみと、機能ごとの対応状況には差があります。
プロンプト調整のヒント
- Opus 5向けに入れていた指示は見直す:冗長さ・過剰な検証・作業範囲を抑えるためのOpus 5向けプロンプトは、Opus 5.5では不要な場合がある。そのまま持ち込まず、自分の評価セットで1つずつ再テストする
-
フロントエンドのデザイン指示は具体的に:デザインの方向性を指定しないと、いくつかの定番スタイルに寄りがち。「AIっぽい見た目を避けて」のような曖昧な指示は、別の定番スタイルに置き換わるだけ。避けたいパターンを具体的に列挙すると効果的(例:「クリーム色の背景、見出し中のイタリック強調、
01/02/03の番号付きセクションラベル、等幅フォントのラベル、ピル型ボタンは使わない」) - 視覚入力の前処理は再テスト:素の状態で精度が上がっているため、作り込んだ前処理が不要になっている可能性がある。技術図面など特に密な入力では、高解像度の画像と画像処理ツール(PIL / OpenCVなど)の併用が引き続き有効
- 途中報告の頻度はsystemプロンプトで指定:「最初のツール呼び出し前に1行で方針を述べ、最後に短くまとめる」のように、いつ・何を書いてほしいかを明示すると従いやすい
安全性
- 自動行動監査(約2,000シナリオ)で、これまでのClaudeモデルで最良のスコアを記録
- 封じ込め境界を回避しようとする試みがOpus 5・Mythos 5.1比で約85%減少
- プロンプトインジェクション耐性は全テスト設定でOpus 5と同等以上。Gray SwanのベンチマークではFable 5.1と並んで最も低い攻撃成功率
- サイバーセキュリティ・生物学・蒸留(distillation)対策の安全策はFable 5.1と同等。preserved thinkingも蒸留対策の一環
- METRなどの外部評価機関がリリース前にテストを実施
- 生物学研究者向けの Life Sciences Verification Program を新設。Cyber Verification Program も今後数週間で対象を拡大予定
- EU AI法に対応した電子透かし(コンテンツ来歴)に対応
まとめ
Opus 5.5は、Fable 5.1級の性能をOpusの価格帯で、しかもOpus 5より安く使えるリリースです。一方で、Opus 5からの移行はモデルIDの差し替えだけでは済まないため、以下の順で確認を進めることをおすすめします。
-
thinking: disabled/budget_tokensを全ルートから削除:全effortで400エラー。代わりにeffortで思考量を調整し、max_tokensを思考込みで見積もり直す -
effortを明示指定して評価し直す:デフォルトがmediumに下がる。まずmediumで試し、前後のレベルと比較する -
tool_choiceのany/toolを置き換え:auto+strict: true+ 呼び出し確認、または構造化出力へ - Computer Useをツールセット形式に移行:エージェントループの改修が必要。先にOpus 5上でテストする
- 自前ハーネスはpreserved thinkingの確認:履歴をappend-onlyに。8/31以降作成のアカウントでは必須
-
stop_reason: "refusal"の処理とフォールバックを有効化:bio/reasoning_extractionが新たに追加 - 途中報告を表示しているUIは
display: "updates"に対応
特にエージェント型コーディング・コードレビュー・長い分析レポート・チャートや画面の読み取りを多用するワークロードでは、品質とコストの両面で即検討する価値ありです。Sonnet 5.5 / Haiku 5.5も数週間以内に登場予定なので、サブエージェントや大量処理用のモデル選定はそれを待ってから見直すのもよいでしょう。
参考リンク
- Anthropic公式:Introducing Claude Opus 5.5
- Anthropic公式:Migration guide
- VentureBeat:Anthropic releases Claude Opus 5.5, beating Fable 5.1 on key agentic benchmarks at 60% cheaper API price
- 9to5Mac:Anthropic upgrades Claude with new Opus 5.5 model, details here
- MacRumors:Anthropic Launches Claude Opus 5.5 With Fable-Level Performance at a Lower Price
- Thurrott.com:Anthropic Releases Claude Opus 5.5
- Decrypt:OpenAI Launches GPT-6 Sol and Luna Minutes After Anthropic Drops Claude Opus 5.5