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【MSX0】I2C.PAS【Turbo Pascal】

Last updated at Posted at 2023-12-19

はじめに

『MSX0 Stack』付属の IoT BASIC サンプルを『Turbo Pascal』へ移植してみます。

I2C.BAS

◆I2Cアクセス

項目 説明
概要 DHT20 に対して直接 I2C アクセスを行い温度を取得します。
ファイル名 I2C.BAS
対応デバイス DHT20 (黒色)
コメント Seeed Grove Kit の DHT20(黒色)温度湿度センサを Port A に接続してください。温度取得の際にCRCチェックなどは省略しています。

このサンプルを動作させるには外部センサーが必要です。

See also:

MSX0 Stack での挙動

まず事前にセンサーをつないでおきます。

image.png

右中央のセンサーが温湿度センサーなのですが、 『Grove Beginner Kit for Arduino』の製造ロットによって、センサーの種類が異なります。具体的には 2022/04 以降製造分に DHT20 (黒色) が付属するようです。DHT11 (水色) は I2C 接続のセンサーではないので使えません。

センサー 接続方法 Grove ポート
[D3] DHT11 (水色) Digital Port C (水色)
[I2C] DHT20 (黒) I2C Port A (赤)

『Grove Beginner Kit for MSX0』には DHT20 が付属します。

I2C.BAS をロードして、

image.png

実行してみました。アレ?行番号 160 のトコでエラーになりますね。

image.png

160   FORI I=0 TO C-1:IF A$(I)="38" THEN 180 ELSE NEXTI

I が一つ多いようです。

160   FOR I=0 TO C-1:IF A$(I)="38" THEN 180 ELSE NEXTI

今度は正しく表示されました。

image.png

センサーが正しく接続されていないとその旨を表示して終了します。

image.png

プログラムは〔Ctrl〕+〔Stop〕(リモートコントロールパネルからは〔Ctrl〕+〔F12〕)で中断できます。

See also:

Turbo Pascal へ移植

別途、MDL-LIB と SYSUTILS.LIBIOT.LIB が必要です。

I2C.PAS
program I2C;
type
  LibStr = string[80];
{$I SYSUTILS.LIB}
{$I IOT.LIB}
var
  List, Last, p: PItem;
  N, S: LibStr;
  T: Real;
  Flg: Boolean;
begin
  ClrScr;
  Flg := False;
  List := nil;
  N := 'device/i2c_a';
  IoTFind(N, List, Last);
  p := List;
  while (p <> nil) and (not Flg) do
  begin
    if p^.Data = '38' then
    begin
      Flg := True;
      N := N + '/' + p^.Data;
    end;
    p := p^.Next;
  end;
  ClearListItem(List);
  if not Flg then
  begin
    Writeln('DHT20 is not found...');
    Exit;
  end;
  while True do
  begin
    IotPutStr(N, #$71);
    S := IoTGetStr(N);
    repeat
      IotPutStr(N, #$AC#$33#$00);
      S := IoTGetStr(N);
      if KeyPressed then
        Exit;
    until (Length(S) >= 6) and (Ord(S[1]) and $18 = $18);
    T := Ord(S[4]) and $0F;
    T := T * 256 + Ord(S[5]);
    T := T * 256 + Ord(S[6]);
    T := T / 1048576.0 * 200 - 50;
    Writeln(T:5:2);
  end;
end.

実行してみました。

image.png

センサーが正しく接続されていれば温度で値が変動します。

任意のキーで中断できます。

解説

文字列 -> 配列変換

Turbo Pascal の文字列は文字型配列としてアクセスできるので、文字列 -> 配列変換は行っていません。

ループ (1)

GOSUB で記述されていたものをループで書き替えました。何をやっているか解りやすくなっているかもです。

ループ (2)

repeat のループは次のようになっています。

    repeat
      IotPutStr(N, #$AC#$33#$00);
      S := IoTGetStr(N);
      if KeyPressed then
        Exit;
    until (Length(S) >= 6) and (Ord(S[1]) and $18 = $18);

Turbo Pascal 3.0 は式の評価が標準 Pascal と同じ完全論理評価なので、Length(S) が 0 の場合 (文字列が存在しない場合) でも S[1] にアクセスしてしまう問題を孕んでいます。

例えば次のコードは i が 11 になった時でも (a[i] = 0) が評価されてしまい、実行時エラーになります。

EvalTest.pas
program EvalTest;
{$R+}
var  
  i: Integer;
  a: array [1..10] of Byte;
begin
  i := 0;
  repeat
    i := i + 1;
  until (i > 10) or (a[i] = 0);
end.

なので、万全を期すなら2重ループでなくてはいけません。

    repeat
      repeat
        IotPutStr(N, #$AC#$33#$00);
        S := IoTGetStr(N);
        if KeyPressed then
          Exit;
      until Length(S) >= 6;
    until Ord(S[1]) and $18 = $18;

ただ、Turbo Pascal 3.0 の文字列型はサイズが決まっており s[1] は範囲外ではないため、Length(S) が 0 の時に S[1] へアクセスしても問題ありません。

べき乗

BASIC での温度計算は次のようになっています。

370   T=D(3) AND &HF
380   T=T*256+D(4)
390   T=T*256+D(5)
400   T=T/(2^20)*200-50

Pascal にはべき乗演算子 (^) がないので、展開した 1048576 という値を使っています。ただ、そのままだと整数値として扱われてしまう (オーバーフローでエラー) ので、小数点を付けて 1048576.0 にし、実数型の定数としています。

べき乗の部分は次のようにする事もできますが、速度が目に見えて落ちます。やはり展開した実数型の定数を使うのが正解だと思います。

    T := T / Exp(Ln(2) * 20)  * 200 - 50;

See also:

おわりに

GOTO 抜き&マルチステートメントなしのプログラムなので、オリジナルの BASIC ソースに比べると少々長くなってはいますが、その分読みやすいプログラムにはなっているかと思います。

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