5
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

MSXPad を 64bit Windows で使えるようにする

Last updated at Posted at 2022-11-19

はじめに

MSX-DOS 用の Turbo Pascal クロスコンパイラ統合環境である MSXPad の存在を知りました (情報が多い)。

image.png
この MSXPad を 64bit Windows で動作させる記事です。

MSXPad

MSXPad は SLotman 氏による Turbo Pascal 統合環境です。 MSX computer club Enschede (Frits Hilderink 氏) によって作られた Turbo Pascal 3.3f クロスコンパイラ (MS-DOS 用) と、MSX エミュレータ (デフォルトで openMSX) によるツールチェインです (情報が多い)。

この Turbo Pascal は『MCCE Turbo Pascal』と呼ばれています。

MSXPad の問題点

先述の通り、Turbo Pascal 3.3f クロスコンパイラは MS-DOS プログラムのため、Google 検索で引っ掛かる MSXPad v1.6 以前のバージョンは 64bit Windows では動作しません (インストールは可能)。

これを解決するための MSXPad Revived があり、MSXPad v1.6 をインストールした環境に上書きする形でインストールすると、64bit Windows で動作するようになる上、openMSX も同時にインストールされます。

これで終わりでもいいのですが、いくつか引っ掛かる点があります。

  • MSXPad v1.6 はインストーラで提供されており、MSXPad Revived もインストーラで提供されているので、同じフォルダにインストールするとアンインストールの際に面倒な事になる。
  • MSXPad v1.6 はインストーラは何かに引っ掛かっているのか、インストールがとても遅い。
  • 実は 64bit Windows で動作する MSXPad v1.8 が存在する。
  • MSXPad v1.8 はインストーラ形式ではない。

See also:

MSXPad v1.8 のインストール

MSXPad v1.8 は次の場所からダウンロードできます。

■ 最も簡単なインストール方法

MSXPad v1.6 インストーラを実行し、同じ場所に MSXPad v1.8 のアーカイブを解凍するのが最も簡単なのですが、先述の通り MSXPad v1.6 のインストーラはとても遅いのです。

■ 手動インストール

MSXPad v1.8 を利用した手動インストールを行ってみます。

  1. MSXPad v1.8 アーカイブを適当な場所に展開します。C:\TOOLS\MSXPad のようなスペースを含まない単純なパスがオススメです。
  2. VB6 ランタイムのインストール
    Vector にある VB6 ランタイムをインストールします。
  3. OCX の登録
    コマンドプロンプトを管理者権限で実行し、次のコマンドを実行します。
C:> C:\Windows\SysWOW64\regsvr32.exe C:\Tools\MSXPad\cmax20.ocx

MSXPad の使い方

軽く使い方を。

別途、何かしらの MSX エミュレータ が必要なので、事前にインストールしておいてください。デフォルトの設定では openMSX を使う事になっています。

image.png

blueMSX も使えます。

image.png

See also:

環境設定

最初に使う時は環境設定を行います。まずは MSXPad.exe を実行します。

image.png

テンプレート画面は [Cancel] で閉じます。

image.png

[Edit | Preferences] で設定画面を開きます。

image.png

項目 説明
Emulator's path エミュレータの EXE へのフルパス
Command line エミュレータのためのオプション
Code font size 16 とかに変更

コマンドラインのデフォルトは openMSX 用となっていますが、私は blueMSX を使っています。

エミュレータ オプション
openMSX -diska %dsk -machine Philips_NMS_8250
blueMSX /diskA %dsk /machine "MSX2+"

openMSX の設定で Philips_NMS_8250 が指定されているのは、デフォルトの C-BIOS だと FD が使えないからです。

blueMSX の設定で MSX2+ を使うようになっているのは、MSX2 とかだとキーボードの刻印通りに入力できないからです。

Hello,world.

まずはプロジェクトを作成します。[File | New | Project] でテンプレートを開きます。どれでもいいので、テンプレートを選択し [Open] を押します。

image.png

MSXPad のインストールフォルダの下に PRJ というフォルダを作り、その下に HELLO サブフォルダを作って、そこに HELLO.PAS という名前でファイルを保存します (C:\TOOLS\MSXPad\PRJ\HELLO\HELLO.PAS)。PASCAL ファイル名は 8.3 形式にしておいてください。

image.png

[保存] ボタンを押すと、選んだテンプレートを元にしてプロジェクトファイルが作られます。

image.png

一旦、C:\TOOLS\MSXPad\PRJ\HELLO へ行き、生成されている AUTOEXEC.BAT をテキストエディタで開きます。

image.png

次のような内容になっていると思います。

SET EXPERT ON

HELLO

SET EXPERT ON の行を削除して保存します。

HELLO

MSXPad に戻って、コードを記述します。

image.png

begin
  WriteLn('Hello,world.');
end.

[File | Compile and Run] または 〔F5〕 キーでコンパイル&実行します。

image.png

コンパイルが正常終了するとエミュレータが起動し、プログラムが実行されます。

image.png

簡単ですね!

ちなみに [Game] 等のテンプレートを使ってプロジェクトを作成すると、最初から各種インクルードファイルを追加したソースコードが生成されます。

image.png

テンプレート インクルードファイル
HiSpec MSXDOS2.inc
msx.inc
pal.inc
sprite.inc
misc.inc
MAPPER.inc
Mbplayer.inc
Game MsxDskIO.inc
msx.inc
pal.inc
sprite.inc
misc.inc
msx1 MsxDskIO.inc
msx.inc
msx1.inc
sprite.inc
normal <なし>

インクルードファイルを使うと、グラフィックやサウンド、ジョイスティック等の MSX 固有の機能を使う事ができます。詳しくは help フォルダにある ManualMSXPad.pdf を参照してください。

おわりに

MSXPad v1.7 以降がどうやって 64bit Windows で Turbo Pascal 3.3f クロスコンパイラを実行しているかというと、DOSBox を組み込んでクロスコンパイルを実現しています (compiler フォルダの中にあります)。力業なツールチェインですね (w

image.png

MSX で Turbo Pascal を実行してのセルフ開発もいいですが、クロスコンパイラ+エミュレータ環境もいいですね。

image.png

なお、Turbo Pascal 3.3f には (クロスじゃない) MSX で動作するコンパイラもあります。

image.png

See also:

5
3
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
5
3

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?