1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

過去問1問から多層防御まで ― ネットワークセキュリティを一本でつなぐ

1
Posted at

はじめに

基本情報技術者試験の過去問(DMZの配置問題)を解いたことをきっかけに、DMZ・防火壁・認証・認可といった概念を一つずつ掘り下げた。
最初はバラバラの用語に見えたが、最終的に 「多層防御(defense in depth)」 という一つの考え方でつながった。その流れをまとめる。

DMZとは(まず復習)

DMZは特別な装置ではなく、ネットワークを区切った一つのセグメントである。
インターネットと社内LANの「間に挟まれた」緩衝区域で、外部に公開しなければならないサーバ(Webサーバなど)をここに置く。

配置の基準は「重要かどうか」ではなく、「外部の不特定多数に直接公開する必要があるか」 である。
重要なデータ(DB)はむしろ外に出す理由がないので、一番奥の社内LANに置く。「重要だからDMZ」は誤りだ。

ここで大事な区別:

DMZ(区域)は「挟む」
防火壁(番人)は「止める」

役割が違う。DMZ自体は何も遮断しない。遮断するのは境界にある防火壁である。

防火壁は「何を見て」通す・止めるのか

防火壁は接続要求が来ると、次の3つを見て、ルール一覧と照らし合わせて通す/止めるを決める。

送信元IP → 宛先IP : ポート番号

例として、DBサーバ(3306番)への通信をこう制御する。

送信元宛先ポート動作社内WebサーバDBサーバ3306許可インターネットDBサーバ3306拒否(それ以外すべて)(すべて)(すべて)拒否

一番下の行が重要だ。良い設定は 「基本はすべて拒否、許可したものだけ通す(default deny)」 にする。
だから「インターネット → DB」はルールに書かれていないので、自動的に拒否される。攻撃者はDBの前に届くことすらできない。

なぜ default deny が安全か

管理者がルールを一つ書き忘れたとき、結果がまったく違う。

default deny → 必要な通信が「できない」(=不便。すぐ気づいて直せる)
default allow → 危険な通信が「通ってしまう」(=侵害。静かに開いていて、やられるまで気づかない)

失敗しても安全な側に倒れる。これが基本原則だ。

余談:ポート番号を珍しい番号に変えて「誰も見つけられないから安全」と考えるのは防御ではない。
攻撃者はポートスキャンで開いているポートを数秒で見つける。
「知らないからできない」は防御にならない。「知っていてもできないように道を断つ」のが防御だ。

認証と認可は別の関門

サーバの前まで来ても、まだ二つの関門が残っている。

認証(Authentication)=「あなたは誰か」(ID・パスワードなど)
認可(Authorization)=「あなたは何をしてよいか」(権限)

見分け方はシンプルで、ログインできたかどうかが分かれ目になる。

「ログインはできたのに、給与データは開けなかった」
→ 認証は通過、認可で止まった。

多層防御 ― 一枚破られても即陥落ではない

ここが今回いちばんの学びだった。防御は一枚の壁ではなく、何枚も重ねる。

たとえばWebサーバが乗っ取られたとする。攻撃者は「Webサーバの立場」からDBに要求を送れる。
防火壁のルールは「送信元=Webサーバなら許可」なので、この要求は正常な通信として通ってしまう。
つまり 防火壁が破られたのではなく、乗っ取られたWebサーバを防火壁が「正常」と誤認する のだ。

しかし、それでもDBはすぐには陥落しない。DBの前にはまだ 認証(アカウント・パスワード)と認可 が残っているからだ。

さらに、DBアカウントを「読み取り専用」に絞っておけば(最小権限の原則)、たとえ突破されても
情報の漏洩は起きるが、データの破壊・改ざんは防げる。被害の範囲をあらかじめ切っておくわけだ。

防御を段階で並べるとこうなる。

防火壁(経路) … 道を断つ
認証 … 誰かを確認する
認可(最小権限) … できることを絞る

どれか一枚が破られても、それは「破られた」であって「全陥落」ではない。壁を重ねる意味はここにある。

まとめ

DMZはセグメントの一種。「挟む」のがDMZ、「止める」のが防火壁。
防火壁は「送信元 → 宛先 : ポート」を見て判定する。基本は default deny。
認証(誰か)と認可(何をしてよいか)は別の関門。ログインできたかどうかが分かれ目。
多層防御:一枚破られても即陥落ではない。最小権限が被害を限定する。

一つの過去問から、ここまで一本につながった。

1
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?