第一級陸上無線技術士(一陸技)受験記
一陸技に挑戦したので、備忘として記載。
教材
- 教科書
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やさしく学ぶ 第一級陸上特殊無線技士試験(改訂3版)
- 全体像の把握に利用
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やさしく学ぶ 第一級陸上特殊無線技士試験(改訂3版)
- Webサイト
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一技(一陸技)・一陸特 過去問
- 分野別にまとまっているため体系的な学習がしやすい。メインで利用
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ムセンボーヤ!!
- 過去問の出題方法を設定可能。隙間時間に学習しやすい
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一技(一陸技)・一陸特 過去問
- その他
- ChatGPT (問題の解説)
- Gemini (問題の解説、またはDeepresearchで資料集め)
- Deepresearchはモチベーション上げるのに効果的
試験結果
4科目合格
- 無線工学の基礎:7割
- 法規:9割
- 無線工学A:8割
- 無線工学B:9割
学習の進め方
全体スケジュール
学習期間:2026 1月 ~ 2026 7月
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1月〜2月(基礎理解フェーズ)
- 無線工学について全く知らない状態。
- 特殊無線技士という別の試験の本(前述の『やさしく学ぶ 第一級陸上特殊無線技士試験』)で学習
- もともとこちらを受験予定だった
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3月〜5月(学習したいこと学習フェーズ)
- 一陸技に関して学習したい箇所を気ままに学習。
- 3月: 無線工学Aに関する事項
- 4月: 無線工学基礎に関する事項
- 5月: 無線工学Bに関する事項
- Gemini、ChatGPTのDeepresearch等を使って幅広く学習
- 必要に応じて過去問学習
- 一陸技に関して学習したい箇所を気ままに学習。
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5月後半 ~ 6月(過去問学習フェーズ)
- 過去問を科目ごと、分野ごとにひたすら学習
- 5月後半から朝4時間学習するようにした
- 6月になって全体的に間に合っておらず焦る
- 各分野で覚えるべき公式をまとめたノート作成
- 過去問を科目ごと、分野ごとにひたすら学習
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7月(暗記フェーズ)
- 今までやってきたところを暗記、公式復習
- -> 受験
各科目と一陸技に関する数学の所感
全体
- いろんなところで言われているが、過去問が大事。問題と選択肢だけで解ける問題もある
無線工学の基礎
- 難易度: 普通(といわれることが多い)
- 電磁気学関連は公式を覚えていないと何もできない。
- 電気回路系は押さえておくと、計測分野でも知識が使いまわせる
- 数学っぽい話は少なめで、式変形できれば問題ない
無線工学A
- 難易度: 高め(といわれることが多い)
- 範囲が広いため難しい
- デジタル変調周りを整理しておくと後半楽ができる
- 数学は三角関数、対数の変形、また一部大学数学(フーリエ、離散数学等)が出てくる
- とはいえ基本的に三角関数、対数の変形の計算ができれば十分
無線工学B
- 難易度: 普通(といわれることが多い)
- 初見の難易度を感じやすい。ただ一度全体を通すと、楽になる
- 公式を整理しておけば解きやすい問題がおおい
- 数学は給電線とアンテナを整合させるところで使うが、基本的に式変形ができれば問題ない
- 対数計算はAに引き続き出てくる。似ているため整理しやすいはず
法規
- 難易度: 低め(といわれることが多い)
- 勉強初めの時は難しく感じたが、一度全体を通せると楽に感じる
- 過去問の穴埋めそのまま、または少し変えた問題が多い
- そのため過去問学習時に似ている問題を併せて確認するのが良い
- 教材に記載した一技(一陸技)・一陸特 過去問がおすすめ
数学
- 基本的には高校生レベルの以下内容が分かっていれば困ることは少ない
- 三角関数: よく使う。ただ加法定理を覚えていれば、過去問演習で解き方を覚えればなんとかなる
- 対数: よく使う。最初はデシベルと真数の変換を覚えておけばよい。
- 余裕があれば定義から式変形できるようになると対数関連の計算間違えることがほとんどなくなる
- 微分: 基本的な微分ができれば問題ない
- 積分: 基本的な積分ができれば問題ない。複素指数関数($e^{j\omega t}$ など)の積分も出てくるが、一陸技的には $j$ を定数(実数)と思って公式通り積分すれば解ける
- 複素数: 分母の有理化と絶対値(大きさ $\sqrt{R^2 + X^2}$)を覚えていれば、ほぼ問題ない
- 一部大学レベルの内容が出題される
- 特に数学的な部分は深く理解してなくても問題は解けると思う。興味があればその場で学習すれば十分
各科目に関する学習ノート作成
過去問2周目の段階で公式ノートを作るのがおすすめ。
例として記載しておくが、実際に過去問を知らないとどこで使うのかがわからないかと思うのであくまで参考まで。
特に「276」のような公式に出てくる覚えづらい数字・定数をまとめておくと、試験直前の確認で効果が高いと思います。
無線工学A
アナログ変調(AM / FM)
-
AM電力
$$P_{\text{AM}} = P_c + \frac{m^2}{4}P_c + \frac{m^2}{4}P_c$$ -
FM
- 変調指数:
$$m = \frac{\Delta f}{f_s}$$ - $P_n$ が 0.99 以上になるまで $P_c = P_c + 2 J_n^2(m) \quad (P_0 = J_0^2(m))$
- 占有周波数帯域幅(カーソンの則):
$$B = 2(m + 1)f_s$$
- 変調指数:
レーダー・航法・衛星
-
レーダー
- ドプラ周波数:
$$f_d = \frac{2v}{\lambda} \cos\theta$$ - パルス距離分解能:
$$\Delta R = \frac{c \tau}{2}$$ - 受信電力(レーダー方程式):
$$P_r = \frac{P_t G_t \sigma A_e}{(4\pi R^2)^2}$$
- ドプラ周波数:
-
航法・周波数帯区分
- VHF (左右 / 水平方向): ローカライザー、GBAS、マーカ・ビーコン
- UHF (上下 / 垂直方向): グライド・パス、DME
-
衛星通信
- 等価等方放射電力 (EIRP):
$$\text{EIRP} = P_t + G_t - L_f - L_p$$
- 等価等方放射電力 (EIRP):
スミスチャート関連
- 左:アドミタンス / 右:インピーダンス
- 等コンダクタンス円 / 等レジスタンス円
- 等サセプタンス円 / 等リアクタンス円
- 素子接続移動方向:
- 直列 C
- 並列 L
- 直列 L
- 並列 C
測定・回路
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信号発生器(SG)の起電力と終端電圧(終端と開放)
$$V = \frac{V_e}{2} \quad (-6\text{ dB})$$- $V_e$:開放電圧(起電力)、$V$:整合終端($50,\Omega$)時の端子電圧
- ※ 測定系の問題で「開放電圧表示」か「終端電圧表示」か、また「振幅($V_{p-p}$)」と「実効値($V_{\text{rms}}$)」の換算に注意
-
高域遮断周波数(RC結合回路)
$$f_H = \frac{1}{2\pi \tau} \quad [\text{Hz}]$$ -
減衰器($\pi$型 / T型)
$$\pi / R_1 = \frac{n^2 - 1}{2n}, \quad R_2 = \frac{n + 1}{n - 1} \quad \left( \frac{1}{n} = \text{dB変換} \right)$$ -
総合効率
$$\eta_t = \frac{\eta_e \eta_f G_p}{\eta_e G_p + \eta_f}$$
雑音・品質評価
-
雑音指数(定義)
$$F = \frac{S_i / N_i}{S_o / N_o}$$ -
フリスの雑音指数公式
$$F = F_1 + \frac{F_2 - 1}{G_1} + \frac{F_3 - 1}{G_1 G_2} \quad (\text{※ } L = F, , L = -G \text{ [dB]})$$ -
$G/T$
$$G/T = G_e - L_e - T$$
伝送方式・デジタル変調
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平均ビットエネルギー
$$\overline{E_b} = \frac{P_R \cdot G_R}{B} \quad (\text{※ } B \text{ の代わりにビットレート } R_b \text{ と表す場合もあり})$$ -
量子化ビット数とS/N
- 量子化ビット 1 増 $\rightarrow 6\text{ dB } S/N_o$ 改善
- 同期検波: 同期なら $\text{SNR} = \text{CNR}$
-
歪み・効果
- Aliasing(折返し雑音): 高周波が低周波に化ける
- アパーチャ効果: 高周波まで減衰
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ロールオフフィルタ
$$B = \frac{1 + \alpha}{T} \quad \left( T = \frac{1}{R_b} \right) \quad (\text{※ } n B = R_b (1 + \alpha) \text{ もあり})$$ -
16QAM ピーク電力
$$P_{\text{avr}} = \left( \frac{\text{振幅}}{\sqrt{2}} \right)^2 \quad \text{に注意}$$
無線工学B
アンテナ理論・パラメータ
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自由空間の電界強度
$$E = \frac{7\sqrt{G_d P_t}}{d} \quad [\text{V/m}] \quad \left(\text{※ 絶対利得 } G_i \text{ の場合は } E = \frac{\sqrt{30 G_i P_t}}{d}\right)$$ -
アンテナ実効長
- 半波長ダイポール(短縮なし):
$$l_e = \frac{\lambda}{\pi} \quad [\text{m}]$$
- 半波長ダイポール(短縮なし):
-
逆L型アンテナ(鉛直部)
$$l_0 I_0 = \bar{I} l \quad [\text{m} \cdot \text{A}]$$ -
パラボラアンテナの利得・実効面積
$$G_a = \eta \left( \frac{\pi D}{\lambda} \right)^2, \quad G_a = \frac{4\pi A_e}{\lambda^2}$$ -
アンテナ動作利得(整合不完全時)
$$G_W = \frac{4S}{(1+S)^2} G$$ -
延長コイル(短縮アンテナの共振)
$$L = \frac{Z_0}{2\pi f} \quad (\leftarrow \text{本来は } Z_0 \cot \beta l \text{ や } Z_0 \tan \beta l)$$
(※ 試験用:長さ $l$ 無視、周波数単位 $[\text{MHz}]$、困ったらとりあえず無視)
給電線・整合回路
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特性インピーダンス・位相速度
$$Z_0 = \sqrt{\frac{L}{C}}, \quad v = \frac{1}{\sqrt{LC}}$$
(※ 一般式 $\dot{Z}_0 = \sqrt{\frac{R + j\omega L}{G + j\omega C}}$ について、無損失・低損失線路 $R \ll \omega L, , G \ll \omega C$) -
平行二線式線路
$$Z_0 = 276 \log_{10} \frac{2D}{d} \quad [\Omega]$$ -
自由空間の固有インピーダンス
$$Z_0 = 120\pi \approx 377 \quad [\Omega]$$ -
表皮厚さ(表皮深さ)
$$\delta = \frac{1}{\alpha} = \frac{1}{\sqrt{\pi f \mu \sigma}} \quad [\text{m}]$$ -
透過・反射・定在波比 (VSWR)
- 電圧反射係数:
$$\Gamma = \frac{Z_L - Z_0}{Z_L + Z_0} \quad (0 \le |\Gamma| \le 1), \quad \frac{P_r}{P_t} = |\Gamma|^2$$ - 電圧透過係数:
$$T = 1 + \Gamma$$ - 電圧定在波比 (VSWR):
$$S = \frac{1 + |\Gamma|}{1 - |\Gamma|} \quad (1 \le S < \infty)$$
- 電圧反射係数:
-
定在波とインピーダンス(波腹・波節)
- 電圧波腹(Antinode):
$$Z_{\max} = \frac{V_{\max}}{I_{\min}} = S Z_0, \quad V_{\max} = V_i + V_r$$ - 電圧波節(Node):
$$Z_{\min} = \frac{V_{\min}}{I_{\max}} = \frac{Z_0}{S}, \quad I_{\min} = \frac{V_i - V_r}{Z_0}, \quad S = \frac{Z_0}{R}$$
- 電圧波腹(Antinode):
電波伝搬
-
電力密度・受信電力
$$P = \frac{G_t P_t}{4\pi d^2} \quad [\text{W/m}^2], \quad P_r = \frac{G_t P_t A_e}{4\pi d^2} = P \cdot A_e \quad [\text{W}]$$ -
フリスの伝送公式
$$P_r = P_t G_t G_r \left( \frac{\lambda}{4\pi d} \right)^2$$ -
電離層伝搬
- プラズマ内屈折率:
$$n = \sqrt{1 - \frac{81N}{f^2}}$$ - 臨界周波数:
$$f_c = 9\sqrt{N_{\max}}$$ - 最高使用周波数 (MUF):
$$\text{MUF} = f_c \cdot \sec \theta$$
- プラズマ内屈折率:
-
大地反射波と直接波の干渉(受信電界強度の極大・極小)
- 極大:
$$d = \frac{4 h_1 h_2}{\lambda}$$ - 零(極小):
$$d = \frac{2 h_1 h_2}{\lambda}$$
- 極大:
↑は自分のノートからすべてを掲載。学習の状況にもよるが、最終的には上記ノートを作り、試験当日に見直すのがよい
無線工学の基礎も同様。法規は不要(人による)。
試験当日の様子・アドバイス
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2日間で試験実施
- 1日目:無線工学の基礎(午前) / 法規(午後)
- 基礎: 見たことないタイプの問題はなかった
- 法規: 1問だけ見たことない問題があった
- 2日目:無線工学A(午前) / 無線工学B(午後)
- 無線工学A: 見たことないタイプの問題はなかった
- 無線工学B: 見たことないタイプの問題はなかった
- 1日目:無線工学の基礎(午前) / 法規(午後)
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計算用紙・筆記用具の準備
- 計算用紙は配られない。あまり影響はなかったが、途中式を丁寧に書く方は注意
- 筆記用具
- シャーペン
- 消しゴム (必須。初日忘れてつらかった)
-
途中退出について
- 規定時間を過ぎると途中退出が可能。私はどちらの日も午後科目のために途中退出していた
- 基本的に時間を気にする必要はないはず
受験動機・全体の感想など
私は無線分野が専門ではないため、受験動機自体は他の受験者の参考になりにくいと考え、最後に記載しています。
(試験対策に直接関係する内容ではないため、読み飛ばしていただいて大丈夫です。)
筆者の前提知識・バックグラウンド
- 理学部情報系出身(学部卒)
- 物理はほぼ初心者(高校生の時に「物理基礎」を履修した程度で、工学系の分野もほぼ未経験)
- 無線工学はもちろん、電磁気学を学んだのも今回が初めて
- 数学については、理工系分野の内容を一通り学習済み(線形代数、微分積分、複素関数、フーリエ解析など)
受験動機・感想
普段はクラウドエンジニアとして働いています。
無線に関する知識は全くない状態でしたが、以下の理由から体系的に学習したいと思い受験を決めました。
- Wi-Fiや5G等の話をよく聞くようになり、技術トレンドの仕組みを理解できるように
- 数学の応用として何か物理を学びたかった
全体として知見を広げるのに有意義な試験でした。三角関数の復習になりましたし、logの実用例をたくさん知ることができました。また大学で学んだ理工数学をどのように応用するのかの実例を知ることができました。
私のようなクラウドエンジニアや無線が絡んでくるネットワークエンジニアの方にお勧めできる試験です。
気になればぜひチャレンジしてみてください。
皆さんの参考になれば幸いです。