CSSにおける !important
は、特定のスタイルを強制的に適用するための強力な手段ですが、一般的には「避けるべきもの」とされています。
理由は明快で、通常のスタイルの優先順位(Specificity)や定義順のルールを無視してしまうため、後からの保守やスタイルの上書きが困難になるからです。
しかし、開発現場では「理屈ではそうでも、どうしても優先させたいスタイルがある」「外部コンポーネントや条件付きレンダリングと絡んで順序が制御できない」といった状況が少なからず存在します。
そんな「どうしても使わざるを得ない場面」において、Tailwind CSSでは非常にシンプルな記法で !important
を付けることができます。
Tailwindにおける !important
の指定方法
Tailwindでは、ユーティリティクラス名の前に !
を付けるだけで !important
を効かせることができます。
例
<div class="pb-12 !pb-0">...</div>
このように記述すると、padding-bottom: 0px !important
が適用され、前に書かれた pb-12
を無視して pb-0
が必ず効くようになります。
実際に生成されるCSS
Tailwindは !
をプレフィックスとして認識し、以下のようなCSSを出力します:
css
.pb-12 {
padding-bottom: 3rem;
}
.\!pb-0 {
padding-bottom: 0px !important;
}
注意点
-
!important
を多用すると、スタイルのデバッグや保守が極めて困難になります。 - クラスの順序やコンテキストを整理すれば済む問題に対して、安易に
!
を使うのは避けるべきです。 - あくまで**「最後の手段」としてのみ使用する**ことを前提にしてください。
まとめ
Tailwind CSSでは、!important
を使いたいときに !クラス名
で指定するだけで簡潔にスタイルの優先度を上げることができます。
通常は避けるべき !important
ですが、クラス順制御が不可能な状況や外部依存のあるスタイル調整では、最も安全かつ明示的な対処法になり得ます。
最小限に、そして計画的に活用しましょう。